A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ズートシムスの共演相手はビルホルマン率いるノネット・・

2015-04-02 | MY FAVORITE ALBUM
Hawthorne Night / Zoot Sims

一ジャズファンであったノーマングランツ、趣味が嵩じてJATPを興したのは若干25歳の時であった。コンサートを自分で録音に残し、これをベースにアルバム作りも始め一躍有名になり、自ら育てたヴァーブレーベルも5年間で1000枚近くのアルバムを出し活況を呈していたが、1960年12月に突然それらを売却して引退した。

しかし、ジャズ界のその後の状況に危機を感じたのか、もう一度70年代に入ると再びプロデューサーとしての再起を賭けてJATPを再開した。1972年サンタモニカのシビックホールで旗揚げをし、これを機に本格的な復活の狼煙をあげた。それに合わせて、新たにパブロレーベルを興し、アルバム作りも再開した。ピーターソンやエラなど昔JATPやVerveレーベルで活躍した面々が昔の親分の元に再び集まった。

ビッグバンドもカウントベイシーやルイベルソンなどの伝統的なオーケストラが息を吹き返した。カールジェファーソンがコンコルドレコードを設立したのも1972年。メインストリームジャズが復活したのがこの年だった。車のディーラーであったジェファーソンと異なり、ノーマングランツはかっての業界の実力者、有名どころのベテラン達が続々と集まった。

しかし、ジェファーソンと異なり、グランツの場合は新人の発掘にはあまり興味は示さなかった。その結果、ミュージシャンが次第に歳をとると、活気のあるアルバムは少なくなってしまった。最後は、両オーナーともレーベルを手放したが、結果的に後発のコンコルドがメジャーとなり、パブロを飲み込んでしまったのも仕方がないだろう。

さて、パブロが新たに契約を結んだミュージシャンの中にズートシムスがいた。確かに実力者の一人であり、リーダーアルバムも数多く作ってはいたが、どちらかというと地味な存在、スターミュージシャンの中に並んで扱われるのは初めてであったろう。
パブロレコードは、ヴァーブ時代と同様大物同士の顔合わせやジャムセッション物のアルバムを次々と世に出した。このシムスもピーターソンやジョーパスとともに、ガーシュインのソングブックをリーダーアルバムとして初登場した。そして次のアルバムはパブロとしては少し毛色が変わった、ビルホルマンのアレンジで9人編成のラージアンサンブルをバックにしたアルバムであった。

このホルマンは50年代からアレンジャーとして活躍し、70年代になってもバディーリッチやスタンケントンのビッグバンドのアレンジは提供してはいたが、ジャズの世界とは少し疎遠になっていた。このパブロの誕生と共にジャズのアレンジも本格的に復活し、カウントベイシーやルイベルソンのアルバムでは、このビルホルマンのアレンジが多く使われた。それに刺激を受けたのか、自らのビッグバンドを編成し活動を始めたのもこの頃であった。

50年代にはビッグバンドだけでなく、コンボやこのようなラージアンサンブルのアレンジも多く手掛けていたが、久々にジャジーなアレンジに気合が入ったことであろう。集まったメンバーも西海岸のスタジオミュージシャンの一流メンバーが集まった。ちょうど70年代に入り、彼らの仕事場であったテレビ番組の制作がロスに移ったこともあり、ニューヨークからスタジオミュージシャンの大移動があった。ルータバキンが秋吉敏子と共にロスに移ったのもその理由であったが、サドメルのメンバーもこの大移動で大きく変った。スヌーキーヤングやジェロームリチャードソンも移動組であったが、この録音には彼等も参加している。そして、トロンボーンにはロスの重鎮フランクロソリーノも加わっていた。

ホルマンのオリジナルに加え、エリントンナンバーやイパネマの娘など選曲も変化に富んでいるが、ホルマンも曲に合わせて個性あるアレンジで大活躍だ。デュークピアソンが自分のビッグバンドを立ちあげる前に、ブルーノートでラージコンボのアレンジを数多く書いていたが、それら中に後のビッグバンドの雰囲気を感じるのと同様、ホルマンの場合も明らかに50年代とは違って、80年以降のビッグバンドに通じる作風を感じる。

シムスの自作のダーククラウドは、昔ランバートヘンドリックス&ロスとの共演で演奏した曲だが、このアルバムでは珍しいシムスの歌も披露している。
演奏はもちろんリーダー格のズートシムスが全曲でフィーチャーされているが、重鎮揃いのバックの中ではフランクロソリーノが大活躍している。シムスとホルマンのアレンジを楽しむアルバムだが、ロソリーノのソロも掘り出し物だ。


1. Hawthorne Nights                    Bill Holman 4:42
2. Main Stem                      Duke Ellington 5:03
3. More Than You Know    Edward Eliscu / Billy Rose / Vincent Youmans  6:01
4. Only a Rose                Rudolf Friml / Brian Hooker  5:07
5. The Girl from Ipanema  N. Gimbel / A. Carlos Jobim / Vinícius de Moraes  4:10
6. I Got It Bad (And That Ain't Good)   Duke Ellington / Paul Francis Webster 6:19
7. Fillings                         Bill Holman 5:27
8. Dark Cloud                        Zoot Sims 4:21

Zoot Sims (ts,vol)
Bill Hood (bs,bcl,fl)
Richie Kamuca (ts,cl)
Jerome Richardson (as,cl,ss,as,fl)
Frank Rosolino (tb)
Oscar Brashear (tp)
Snooky Young (tp,flh)
Ross Tompkins (p)
Monty Budwig (b)
Nick Ceroli (ds)
Bill Holman (arr)

Produced by Norman Granz
Recorded at RCA Studio, Los Angels on September 20 & 21, 1976
Engineer : Grover Helsley

Hawthorne Nights
Zoot Sims
Ojc
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