A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

オルガンの演奏の雰囲気をそのまま歌声で・・・

2015-04-19 | PEPPER ADAMS
Stay Loose / Jimmy Smith Sings Again

最近は時間の感覚が鈍くなっている。ついこの前の出来事と思っても、実は5年前の事だったりするのは日常茶飯事。それに比べて学生時代の事は一年一年を明確に覚えている。
1968年自分は浪人時代で、ジャズ喫茶通いをしていた頃。学生運動の一番激しかった時で、新宿駅の騒乱があり、東大紛争のあおりで翌年の東大の入試がなくなった年だ。

ペッパーアダムスが参加したアルバムの紹介もこの1968年に入る。この年のペッパーアダムスは、サドメルとデュークピアソンのビッグバンドの両方にレギュラー参加し、毎週のライブだけでなくリハーサルが続く毎日でスタートした。
1968年といえば、この年の夏にはサドメルに加わって来日もした年だ。
レコーディングはコンボでの演奏より、相変わらずバックのオーケストラやアンサンブルに加わる事が多かった。この頃はそれだけビッグバンドやラージアンサンブルをハックにしたアルバムが多かったということになる。

MGMに売却されメジャーレーベルとなったVerveは、他のレーベルと較べてもお金の掛け方が違っていた。リリースされたアルバムの数も膨大であったが、ジャケットはダブルジャケットとなり、アレンジャーにもバックのオーケストラのメンバーにも一流メンバーを起用していた。当然のように出来上がったサウンドはゴージャスな物が多い。結果的にそれが好き嫌いに分かれるが、コンボ好きの硬派のジャズファンからは見向きもされないことが多い。

ペッパーアダムスもデュークピアソンとの付き合いが長かったせいもあり、ピアソンがプロデュースしていたブルーノートのセッションへの参加が多かった。しかし、サドメルに加わるとオーケストラの他のメンバーに誘われたのか、彼らと一緒に他のレーベルの録音への参加も増えてきた。そして、Verveのセッションへの参加も。
この年のアダムスの最初のレコーディングもそのようなものであった。

当時のVerveはピータソン、ゲッツ、エバンス、モンゴメリーなど大物ミュージシャンが集まっていたが、オルガンのジミースミスもその一人であった。ブルーノートで何枚もアルバムを出し、ジャズオルガンでは断トツの一人者であった。そんなジミースミスがブルーノートからVerveに正式に移籍したのが1963年、Verveに移籍してからも立て続けにヒットアルバムを出していた。
代表的なアルバムのThe catを始めとして、スミスのアルバムもオーケストラをバックにしたアルバムが多くなった。オルガンというとギターとテナーとの相性がいいように感じるが、このオーケストラのダイナミックなアンサンブルとオルガンの親和性もいいと思う。
今回のアダムスのレコーディングは、このジミースミスのバックであった。

このアルバムの特徴はというと、まずはジミースミスの歌が聴けるということ。タイトル曲Stay Looseを含むオーケストラをバックにした4曲がスミスの歌とオルガンをフィーチャーしたものだ。スミスの歌というのはオルガン同様、ソウルフルなファンキーな歌だ。鍵盤のノリがそのまま歌声になったようなもの。普段歌を歌わないミュージシャンが歌を披露するとイメージとは違ったり、楽器と較べるとノリが悪い事がある。しかし、スミスの歌はイメージ通り、オルガンの演奏でも唸り声が響き渡る。



残りの3曲が、ブルーノートでアルバムを立て続けに出していたスタンレータレンタインをゲストに加えたコンボでの演奏になる。
オルガンとの相性がいいビッグバンドのバックと、テナーとのコンビの両方の編成を用意し、スミスの歌までつけた欲張り企画だ。
この頃のVerveは、このアルバムのジャケットデザインにも驚かされるが、メンバーも演奏も色々なアルバムが入り乱れ何でも有だった。

1. I'm Gonna Move To The Outskirts Of Town *
2. Stay Loose *
3. If You Ain't Got It *
4. One For Members
5. Is You Is Or Is You Ain't My Baby *
6. Chain Of Fools
7. Grabbin' Hold

(*) 1,2,3,5
Joe Newman, Ernie Royal, Snooky Young (tp)
Garnett Brown, Jimmy Cleveland, Alan Raph (tb)
Pepper Adams (bs)
Joe Farrell (ts)
Hubert Laws (fl)
Jerome Richardson (as)
Jimmy Smith (organ, vocals)
Carl Lynch (g)
Jimmy Tyrell (b)
Grady Tate (ds)
Johnny Pacheco (per)
Eileen Gilbert, Melba Moorman, Carline Ray (vocals -1)
Tom McIntosh (arranger, conductor)

4,6,7
Jimmy Smith (organ)
Stanley Turrentine (ts)
Phil Upchurch (g)
Jimmy Merritt (b)
Grady Tate (ds)
Eileen Gilbert, Melba Moorman, Carline Ray (vocals -2,4,5)

Produced by Esmond Edwards
Recorded at A&R Studio in NYC, on January 29, 1968

Stay Loose (Dig)
クリエーター情報なし
Verve
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