A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

2人の明るいキャラの共演はCMにも使われたが・・

2015-02-25 | MY FAVORITE ALBUM
Take Double / Clark Terry & Jon Faddis

クラークテリーの訃報が届いた。しばらく前、病床から盲目のピアニストを指導するドキュメンタリーがあったが、長い闘病生活だったようだ。享年94歳、晩年までプレーを続け名人芸を聴かせてくれたが、またジャズの歴史の生き字引であり、すべてのトランぺッターの師匠ともいえる一人が逝ってしまった。

好きなミュージシャンは?と聞かれて、すぐに名前がでるミュージシャンは何人かいる。
長くジャズを聴いていると時代と共に好みも変化し他に何人もいるが咄嗟には出てこない。しかし、意識して集めた訳でもないのに、新旧合わせて多くのアルバムを持っているミュージシャンは、やはり潜在的に好きなミュージシャンなのだろう。
自分にとって、このクラークテリーはそのような一人だ。

エマーシーのクラークテリーというアルバムは、ジャズを聴き始めた頃に買い求めたアルバムだ。何故このアルバムを買ったか覚えていないが、それ以降もテリーの参加しているアルバムを買う機会は多かった。オスカーピーターソントリオとの共演アルバムも良く聴いた。ボブブルックマイヤーとのコンビも好きなアルバムだった。そして、テリーのビッグバンドも。さらに、キャロルスローンとのボーカルデュエットも好きなアルバムだ。

クラークテリーは昔からビッグバンド生活が長かった。それもカウントベイシーとデュークエリントンの両方のオーケストラに在籍した珍しい存在だ。その後クインシーのオーケストラの立上げにも加わり、マリガンのコンサートジャズバンドにもいた。そしてスタジオワークも多く、主役でなくとも、良く知られたアルバムのバックに参加したことも数多い。自分が紹介したアルバムだけでも、テリーが参加しているアルバムは30枚近くある。

クラークテリーは後進の良き指導者であったことも有名だ。若いマイルスを始めとして、クインシージョーンズを鍛えたのもテリーだった。クインシーがビッグバンドを立ち上げた時、自ら参加したのも、弟子が立派に育ったのが嬉しかった親心からだったかもしれない。
誰にも好かれる職人肌の面倒見の良い大先輩だったようだ。

ジョンファディスは、ある意味クラークテリーのライバルであったディジーガレスピーの直系の後継者と呼ばれていた。ガレスピーを師と崇め、ガレスピーのスタイルをまね、あの45度上に向いたトランペットを手にしていたこともある。ガレスピーも可愛がっていた。ハイノートを武器に色々なバンドで活躍してきたが、最近はあまり聴く機会がなかったのだが・・・。

そのファディスが昨年来日した。斑尾によく来ていた時は、若々しいプレーが売りであったが、昨年久々にライブを聴きに行くと、精悍さにすっかり貫禄がついてどっしり落ち着いた感じになっていた。若いと思っていたこのファディスも還暦を過ぎて、そろそろ長老の仲間入りをする歳になっていた。サドメルに参加して来日してから、すでに40年も経っているのだから当然と言えば当然であるが。

今回の公演はワンホーンのコンボという事もあり、ハイノートを駆使したダイナミックなプレーというよりは、時はリリカルに、そして時には小気味良く、味わいのあるプレーを披露してくれた。ガレスピー直系と思われているが、実はアームストロングからマイルスまで名だたるプレーヤーを研究しつくしたといわれ、どんなプレーヤーの演奏もできるという実力者だ。

このファディスとクラークテリーが一時コンビを組んだ事がある。
1980年代の丁度半ば、世の中ジャズブームに沸いていた頃、ジャズミュージシャンやジャズの名曲が数多くブラウン管に登場した。サミーデイビスJr,でヒットしたサントリーホワイトのコマーシャルにもジャズマンを起用したシリーズがあった。ロンカーターやハービーハンコックに続き、このクラークテリーとジョンファディスのコンビが3作目で起用された。それをきっかけに作られたアルバムがこのアルバムだ。

1曲目、2曲目がそのコマーシャルの曲。それに追加のセッションが行われ一枚のアルバムに仕上がっている。CMに使われた曲は、CMに合わせて明るい楽しい雰囲気の曲。
他も、ブルースからカリブ調のMiami Stretchがあったかと思えば、エリントンナンバーのスイングが無ければ・・では、2人のスキャットの掛け合いも楽しめる。
けっして大作ではないが、2人のキャラクターを上手く掛け合わせた楽しいアルバムだ。


1. Straight Up  2:45
2. Take Double  2:48
3. Traffic Jam  5:35
4. Blues for K. K.  8:04
5. Miami Stretch  6:47
6. It Don't Mean a Thing (If It Ain't Got That Swing)  8:27
7. Climbing Old Fuji  6:10

Clark Terry (tp,flh)
Jon Faddis (tp,flh)
Harold Danko (p) #1,2
Dado Moroni (p)
George Mraz (b) #1,2
Jimmy Woode (b)
Terry Lyne Carrington (ds) #1,2
Ed Thigpen (ds)

1,2 
Recorded at Clington Recording Studio, New York, February 27, 1986
Others
Recorded at Powerplay Recording Studio, Maur Zurich, Switzerland, May 19, 1986

テイク・ダブル
クリエーター情報なし
フィリップス
コメント (2)
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