A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

久々に猪俣さんのドラムを聴いた。猪俣さんといえばザ・サードを思い出す・・・

2014-12-20 | MY FAVORITE ALBUM
猪俣 猛&The Third Concert / Original Composition by Norio Maeda


連日楽しいスイングするビッグバンドを聴かせてくれるライブハウス「TN Swing Jazz」。最近はボーカルのゲストを加えた日も増えてきたようで益々楽しみだ。ゲストが加わるとレギュラープログラムとは違った演奏も楽しめるが、先日ドラムの猪俣猛氏をゲストに迎えた日があった。

猪俣猛はジャズを聴き始めた頃、ファンで良く聴きにいったが、最近はなかなかライブで接する機会が無かった。時代と共に色々な編成のバンドを組んでいたが、中でも自分のお気に入りはビッグバンド編成のザ・サード。今でもこの編成で年に数回演奏をしているようだが、日程が合わなかったり、遠隔地であったりで聴く機会には恵まれていない。
そんな猪俣氏が、ゲストとはいえビッグバンドでの演奏が聴けるという事で、楽しみにして出掛けてみた。ここのハウスオーケストラのリーダーは稲垣貴庸。猪俣氏の弟子ということで、この師弟対決も楽しみであった。

ステージは稲垣さんがプレーするレギュラーバンドの演奏と、ドラムが猪俣さんに替わった演奏と各ステージが2部構成になっていたが、猪俣氏の演奏する曲はいつもの譜面ではなく、猪俣氏とは盟友の前田憲男のアレンジによるものを使用。その意味でもいつものステージとは違った雰囲気を楽しめた。

スマートな風貌であった猪俣氏も、久々に見る姿は確かに歳をとられた感じがしたが、いざドラムセットの前に座るとそれも杞憂、以前にも増してダイナミックなドラミングを聴かせてくれた。歯切れの良いドラムは健在であった。



今からちょうど40年前の12月、渋谷公会堂でこの猪俣猛とザ・サードのコンサートが行われた。この観客席には自分も座っていた。40年前の1974年はデュークエリントンの亡くなった年。その偉大な作曲家の死を悼んで、このコンサートの第一部はデュークエリントンの曲を特集したプログラムであった。以前この模様を収めたアルバムは紹介した。

先日のTN Swing Jazzのステージで演奏した曲もエリントン、ベイシーの十八番の曲が多かったが、このコンサートで演奏された曲(アレンジ)は無かったように思う。

そして、このアルバムはその続き。第2部は、このオーケストラのオリジナル曲でプログラムが組まれた。曲の途中のMCでも語られているが、結成されてから3年目。この間何度も演奏してきた曲が並んでいる。その点ではやり慣れた曲で、演奏の完成度は高いと思う。

このザ・サードのアレンジはすべて前田憲男のアレンジを使用していたので、実質的に猪俣・前田の双頭ビッグバンドといってもよかった。この1974年というと、あのサドメルが2回目の来日を果たした年。このザ・サードもレギュラーバンドとはいえ日常的に活動をおこなっている訳では無く、自分達の曲を繰り返し演奏し切磋琢磨するリハーサルバンド。その意味ではサドメルオーケストラの日本版ともいえるビッグバンドであった。

このバンドの特徴は、基本はビッグバンドの標準編成と同じだが、サックスだけはアルト3本、テナーは1本の編成となっている。それにソプラノやフルートなどを多用するので、サドメルのオーケストラのサウンドと似ている点もある。サックスセクションだけでなく、ホーンセクションもテューバやメロフォニウム、フリューゲルホーン、ピッコロトランペットなどとの持ち替えがあり、それだけで雄^ケストラ全体が多彩なサウンドを生み出している。

前田憲男のアレンジがオールマイティということもあるのだろう、当時のクインシージョーンズオーケストラに似た部分があったかと思うと、2世代くらい前のクインシーの雰囲気を感じさせるアレンジもある。また4ビートだけでなく、8ビートもあるが、曲の途中でのリズムやテンポの変化も多いのが特徴だ。前田自体のプレーもエレキピアノの加えてオルガンも良く使っていた。ロストワールドではテナーの西条孝之助が加わり西条節のクールトーンがアレンジとピッタリだ。

猪俣氏のライブを聴いて久々にこのアルバムを聴いたが、今聴いても完成度の高かったビッグバンドだと思う。今はどのような曲を演奏しているか知らないが、もう一度生で聴いてみたいビッグバンドだ。先日の三木敏悟のインナーギャラクシーといい、ベテランのオーケストラの復活も楽しみだ。

TN Swing Jazzには今度は前田憲男さんがゲストで出るという。これも何か違った雰囲気の前田マジックを聴かせてもらえそうな気がする。時間が取れれば出掛けてみようと思う。

1. 朝顔 (The Chant of Morning Glory)
2. In Quiet
3. 6/8 + 3/4 = 11/2
4. Lost World
5. ゆりかごの歌 (Cradle Song)
6. Resignation



猪俣 猛 (ds)
前田 憲男 (p,org)
荒川 康夫 (b)
中牟礼 貞則 (g)
水谷 公正 (g)
中島 御 (per)
Jake Concepcion (as,ss
鈴木 重男 (as,ss)
清水 万紀夫 (as,cl)
三森 一郎 (ts,ss)
原田 忠幸 (bs,bcl)
鈴木 武久 (tp,ptp.flh)
伏見 哲夫 (tp,flh)
福島 照之 (tp,flh)
吉田 憲二 (tp,mellopho)
キジ 西村 (tb)
中沢 忠孝 (tb)
山下 晴生 (tb)
堂本 重道 (btb,tuba)

Recorded live at 渋谷公会堂、Dec. 4 1974
コメント
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