A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

思わぬ人から思わぬ誘いが・・・・

2013-10-27 | PEPPER ADAMS
“Happy Session” & “Benny Ride Again” / Benny Goodman Quintet & Orchestra



人と人の出会いは様々。一度限りの出会いもあれば、長く続くこともある。相性もあるが、自分は会った瞬間の第一印象をかなり大事にする方だ。

一度限りと思っていたら思わずところで再会することもある。そして、その出会いから新たな人や仕事を紹介されまた新たな世界が広がることも。もちろんいいことだけではなく、出会いや紹介から人生転落の道が始まる事も多い。運不運もあるがプラス思考で考えれば世界が広がることはいい事だし、それを生かすも殺すも結局は本人次第ということだろう。

モダンジャズの台頭に連れて、一世を風靡したスイングジャズは段々と下火になっていった。特に、ダンスバンドとしてのビッグバンドは徐々に数を減らしていった。
そんな中、King of Swingともいわれるベニーグッドマンは1955年「ベニーグッドマン物語」が制作され一人気を吐いていた。グレンミラー物語は制作された時には、主役はすでに故人となっていたが、グッドマンの場合はまだ健在。今のようにネットで情報が世界に伝わる時代では無かったせいか、映画のおかげで改めて世界にその存在を伝えることができたのか、グッドマンは活動の場を海外ツアーに広げた。1957年には日本にも来日している。 
そのお蔭かどうかは与り知らないが、勢いでアメリカ国内のツアーも活発に行われていたようだ。

グッドマンも過去のスタイルを踏襲というのではなく、微妙にモダンな味付けを加えていった。それは演奏だけでなくメンバーの人選も。昔からのいつも顔ぶれではなく、モダンなプレーをするメンバーをさりげなく。このアルバムでもプレビンとのクインテットはかなりモダンな演奏だ。

 ピアノのアンドレ・プレビンは50年代の後半は西海岸で活躍し、コンテンポラリーに名作をいくつも残していた。グッドマンが海外ツアーから帰って直ぐにそのプレビンをピアノに据えて録音をした。地元のロス、ニューヨークと。
その合間にプレビンは10月6日に、先日紹介した“The Mitchells”というアルバムの録音に参加し、ペッパーアダムスと共演した。
前年はロスで活動をしていたアダムスなので2人は共演したアルバムは無くとも知らない仲ではなかったであろう。昔話に花が咲いて、何かの拍子にプレビンがアダムスをグッドマンのバンドに誘うことになった。プレビンは翌日にはミッチェルを加えた同じリズム隊でニューヨークの郊外コネチカットでグッドマンとのセッションが続いた。

アダムスの返事が2つ返事かどうだったかは分からないが、アダムスは翌週にはニューヨークを離れグッドマンのオーケストラに加わってツアーを始める。アダムスはケントンオーケストラに加わったのも、オスカーペティフォードの推薦で即決だったが、今回も素早い決断であった。

一か月近いツアーを終えたグッドマンオーケストラは11月にはニューヨークに戻り、コロンビアに録音を残すことに。
この時の録音が”Benny Ride Again”と”Happy Session”という2枚のアルバムに分かれて残されている。CDになってのアルバムはその前後の演奏や別テイクなど盛りだくさんだが、アダムスが参加したのは11月15日、18日、19日のオーケストラセッション。
Happy Session Bluesでは、アダムス節のソロも披露している。


この話には後日談があって、誘ったプレビンの方が果たしてアダムスにとっていいことをしたかどうかを気にしていたそうだ。確かに当時のアダムスは、ニューヨークに戻ってドナルドバードとコンビを組み、ジーンアモンズなどとのレコーディングを続け、よりハードバッパーとしての活動が目立っていた。
アダムスは、昔グッドマン楽団に参加したワーデルグレイが地元デトロイトで皆が興味津々で「グッドマンはどうだった?」と聞いた時、グレイは「映画のグッドマンでは彼の50%しか分からないよ」と答えていたことを思い出し、意味が良く分かったそうだ。

ベニーグッドマン物語のサントラが気に食わなくて、再度コロンビアでアルバムを作り直すほど気難しいという印象があったグッドマンであったが、実際に仕事を一緒にすると実に面倒見が良く、クラシックも演奏するグッドマンからバルトークの曲についても教えてもらい、何よりグッドマンオーケストラの譜面は実によく書かれていて実に勉強になったということだったそうだ。プレビンの心配は杞憂であったということだ。

その後もアダムスは機会があるとグッドマンのバンドに参加することもあったようなので、プレビンとの再会、そしてグッドマンオーケストラへの参加はプラスに働いたようだ。グッドマンだけでなく、ケントン、ファーガソン、グッドマン、そしてサドメルと続くオーケストラへの参加はどうやらアダムスによっては「吉」と出る誘いであったようだ。



●Benny Ride Again

1. Mission To Moscow          2:48
2. Benny Rides Again          4:34
3. The Earl               2:50
4. Oh, Baby               4:26
5. Fascinating Rythm           2:20
6. Everything I've Got Belongs To You  4:37
7. Whispering              2:42
8. All The Thi\Ngs You Are        3:49
9. You Do Something To Me        3:15
10. It Could Happen To You        3:25
11. Stereo Stomp             2:53
12. Benny Rides Again [Alternate Take]  4:18
13. The Earl [Alternate Take]      3:25
14. Oh, Baby [Alternate Take]      4:09
15. Atumn Nocturne            4:11
16. More Than You Know       4:54
17. You Couldn't Be Cuter        2:12
18. Oh Gee, Oh Joy            2:57
19. It's All Right With Me        5:02
20. Easy To Love             5:22
21. Who?                 4:22

● Happy Session

1. Happy Session Blues          5:10
2. You'd Be So Nice To Come Home To   4:30
3. The King And Me            4:53
4. Indian Summer             4:35
5. What A Diff'rence A Day Make     3:33
6. Batunga Train             2:56
7. Having A Ball             7:41
8. Clarinet A La King          3:28
9. Macedonia Lullaby           3:52
10, Diga Diga Doo            3:35
11. Happy Session Blues (Alternate Take) 5:21
12. The King And Me (Alternate Take)   4:52
13. What A Diff'rence A Day Make (Alternate Take) 3:26
14. Batunga Train (Alternate Take)     3:23
15. Macedonia Lullaby (Alternate Take)   4:32
16. Diga Diga Doo (Alternate Take)    3:11
17. Cherokee               3:19

Benny Goodman (cl)
John Frosk (tp)
Ermet Perry (tp)
Allen Smith (tp)
Benny Ventura (tp)
George Cooper (tb)
Rex Peer (tb)
Hale Rood (tb)
Herb Gellar (as)
James Sands (as)
Babe Clark (ts)
Bob Wilber (ts)
Pepper Adams (bs)
Russ Freeman (p)
Turk Van Lake (g)
Milt Hinton/George Duvivier (b)
Shelly Manne (ds)
Recorded in New York, November 15,17,18 1958

Taft Jordan(tp)
Buzz King(tp)
Eddie Bert(tb)
Vernon Brown(tb)
Harry DiVito(tb)
Skip Galluccio(as)
Ernie Mauro(as)
Dick Hafer(ts)
Buddy Tate(ts)
Gene Allen(bs)
Sir Roland Hanna(p)
Chuck Wayne(g)
kenny Burrel (ds)
Henry Grimes(b)
Roy Burns(ds)
Urbie Green(tb)
Zoot Sims(ts)
Don Lamond(ds)
Marthsa Tilon (Vcl)
Recorded in New York, July 7 & 14, 1958

Benny Goodman (cl)
Andre Previn (p)
Barney Kessel (g)
Leroy Vinneger (b)
Frank Capp (ds)
Recorded in Hollywood, September 3 & 4, 1958

Benny Goodman (cl)
Andre Previn (p)
Red Mitchell (b)
Frank Capp (ds)
Recorded in Stamford Conneticut, October 7, 1958

Benny Goodman (cl)
Russ Freeman (p)
Turk Van Lake (g)
George Duvivier (b)
Shelly Manne (ds)
Recorded in New York, November 19, 1958

Benny Rides Again!
クリエーター情報なし
Essential Jazz Class


Happy Session
クリエーター情報なし
Essential Jazz Class
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする