A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ラストレコーディングはなかなか意図してできるものではないが・・・・・

2013-10-16 | MY FAVORITE ALBUM
Dream A little Dream / Gerry Mulligan Quartet

何の仕事をしていても必ず引退する時がある。
会社勤めをしていると定年退職は大きなきっかけだ。自分で仕事をしている人は歳をとるとそのタイミングをいつか意識し始めるものだ。しかし、長くひとつの仕事を続けていると自然と「体力と気力が続く限りは生涯現役」を貫く人が多いように思う。

スポーツと違って音楽の世界は年をとって益々その技に磨きがかかることも多い。先日来日したクインシージョーンズなどはその代表格だろう。プレーを辞めても、作編曲、プロデュースと色々な道はあるが、ベテランの元気な演奏する姿をいつまでもステージで見ることができるのはファンとしては嬉しいものだ。

その中で、ラストレコーディングが生まれる。意図して制作されることは少ないとは思うが、残り少ない演奏生活の集大成ともいえるラストレコーディングは人によって様々なアルバムとなって後世に残る。

しばらく前に、セルドンパウエルのEnd Playというアルバムを紹介した。自らのアルバムが少なく、リーダーとして活動も少ないパウエルのようなミュージシャンにとっては、仲間に囲まれたセッションがラストレコーディングとして残されていたのは素顔のパウエルの記念としても良かったと思う。

バリトンサックスの大御所にジェリーマリガンがいる。
プレーヤーとして、作編曲家として、バンドリーダーとして50年以上の幅広い活動暦がある。アンサンブルワークはどちらも得意であるが、ソロになるとペッパーアダムスとはある意味対極に位置するプレーぶりだが、どちらも個性があって好きな2人だ。

そのマリガンにもラストアルバムがある。1996年1月に亡くなる前の1994年と1995年にTelarcに2枚のアルバムを作っている。
結果的には95年の録音の自分の曲の作品集が本当のラストアルバムになるが。しかし、このアルバムは、自分の作品で固め、それもすべて新曲、そして普段あまり一緒に演奏したことのないゲストを迎えた演奏となると、これまでの集大成というより過去にけじめをつけて新たな船出を迎えた一枚という感じがする。

一方で、1年前のアルバムは、スタンダード曲をマリガンのワンホーンでたっぷり聴かせてくれる一枚だ。
マリガンはスモールグループでも必ずと言っていい程相手がいる。チェトベイカーやブルックマイヤーとのコラボレーションは有名だが、ブルーベックのグループに加わった時も、ブルーベックとのコラボレーションが基本だ。
ところが、このアルバムではピアノトリオは控えめで、あくまでもマリガンの独演会。スロー、ミディアムテンポの曲が多いせいもあるが、ゆったりとこれまでの人生を振り返りながら、あくまでも自分のテンポでマイペースにこなしていく。マリガンのフレーズ作りは以前のアルバムの紹介の時も書いた記憶があるが、何か日本的なノリを感じるので余計に親近感を覚える部分もある。
有名なスタンダードが並ぶ中でマリガンの曲も何曲かあるが、ウォーキングシューズをはじめとしてお馴染みの曲。スタンダードと言ってもいいかもしれない。
その中から、アルバムタイトルに選ばれたのは、”Dream A Little dream of me”。

アームストロングの歌で有名だが、


自分があの世に逝ってしまっても、この曲を聴いて自分のカルテットの夢を見て欲しいということかもしれない。好きなアルバムの一枚だ。
いずれにしても、この2枚がマリガンのラストアルバムになる。マリガンの音楽生活を振り返るにはふさわしい一枚だと思う。

自分も仕事を退くときは、ジャンルは別にして変な理屈や難しいことは無しにして、淡々とシンプルで明快な仕事をしたいものだ。

晩年の演奏だが、アルバムはこれより枯れた演奏だ。



1. Nobody Else But Me      Oscar Hammerstein II / Jerome Kern 4:09
2. Home (When Shadows Fall)   Harry Clarkson / Peter Van Steeden 6:00
3. Dream a Little Dream of Me Fabian André / Gus Kahn / Wilbur Schwandt 3:48
4. I'll Be Around                    Alec Wilder 3:16
5. They Say It's Wonderful              Irving Berlin 4:45
6. The Real Thing song review      Gerry Mulligan / Mel Tormé 4:41
7. Noblesse                     Gerry Mulligan 6:15
8. Here's That Rainy Day     DayJohnny Burke / James Van Heusen 4:25
9. Georgia on My Mind        Hoagy Carmichael / Stuart Gorrell 4:21
10. My Funny Valentine         Lorenz Hart / Richard Rodgers 4:39
11. As Close as Pages in a Boo           Sigmund Romberg 4:17
12. My Shining Hour          Harold Arlen / Johnny Mercer 4:05
13. Walking Shoes                 Gerry Mulligan 4:37
14. Song for Strayhorn               Gerry Mulligan 6:31

Gerry Mulligan (bs)
Bill Mays (p)
Dean Johnson (b)
Ron Vincent (ds)

Produced By Robert Woods
Engineer : Jack Renner

Recorded at Clinton Recording Studio A,New York City,April14-16,& April 28-29,1994


Dream a Little Dream
クリエーター情報なし
Telarc
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