A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ペッパーの好みは「白」か「黒」か?

2012-06-01 | PEPPER ADAMS
The Cooker / Lee Morgan

胡椒には黒と白があるが脂っこい肉料理には「ブラック」ペッパーが良く合う。一方であっさりした魚には白胡椒だろう。胡椒自体も黒はまだ若い実から作り、白は良く熟してから外皮を剥いだ物。好みは分かれるが胡椒の風味を味わうのにはやはり「黒」胡椒だ。

白人のペッパーアダムスのプレーは良く「黒っぽい」といわれる。デトロイト生まれ東海岸育ちのペッパーは、若い頃から周りの影響か黒っぽい演奏をしていたが、ある一時期だけ白っぽい演奏をしていた。
それはスタンケントンオーケストラを辞めて、ロスを拠点にウェストコーストの面々と一緒にプレーをしていた半年間だ。アダムス自身、「それはきっちり6ヶ月だった。何故ならば、ニューヨークからトランスファーしたユニオンカードの期限が丁度切れたから」と語っている。

この6ヶ月間は、一度ニューヨークに戻ったが、大部分ロスでウェストコーストの有名バンド、そして有名プレーヤー達と共演し、レコードの録音も多く残した。そこでの演奏はもちろんアダムス特有のゴリゴリサウンドだが、周りの演奏の中に溶け込むと多少は白っぽくなってしまっていた。もちろんそれはそれで良かったのだが・・・・。

半年の期限切れのロスでのユニオンカードをアダムスは延長せず、8月にダウンビートの新人賞を得るのと相前後して、チェットベイカーのグループも辞め、ロスでの活動を整理して故郷のデトロイトを経由して9月にはニューヨークに戻った。
早速旧知の仲間とプレーを再開したが、レコーディングにも声がかかった。そこではいきなり「黒い」ペッパーが登場する。中でも、このブルーノートのモーガンとのアルバムが本格的「ブラックペッパー」登場の第一弾だろう。モーガンのリーダーアルバムであるは、アダムスの演奏も脇役以上の熱演だ。

リーモーガンは、この年はガレスピーのオーケストラで大活躍中だった。2月にはロスでガレスピーオーケストラのメンバーと一緒に、さらに地元ウェストコーストの腕達者達と他流試合をこなし、7月にはニューポートジャズフェスティバルの舞台にも立っていた。まだ20歳になっていない少年であったが、リーダーアルバムもすでに何枚か続けて制作されていた。
その勢いあるモーガンとの共演、アダムスもまだ27歳の若手ではあったが、このモーガンの若いパワーに圧倒されながらも、ダウンビートの新人賞も伊達ではない。アダムスのバリトンも炸裂している。グループ全体がいわゆるブルーノートサウンドに包まれ、ハードバッパーアダムスの面目躍如といった演奏だ。

アダムスのキャリアも、短期間であったが西海岸での貴重な体験を経て、この年57年から第3期に入る。脂っぽい演奏に合うペッパーはやはり”Black Pepper”の始まりだ。

1. A Night in Tunisia         Dizzy Gillespie / Frank Paparelli 9:25
2. Heavy Dipper           Lee Morgan 7:07
3. Just One of Those Things     Cole Porter 7:18
4. Lover Man       Jimmy Davis / Roger "Ram" Ramirez / Jimmy Sherman 6:52
5. New-Ma             Lee Morgan 8:14

Lee Morgan (tp)
Pepper Adams (bs)
Bobby Timmons (p)
Paul Chambers (b)
Philly Joe Jones (ds)

Produced by Alfred Lion
Rudy Van Gelder ;  Engineer, Remastering

Recorded on September 29,1957 at The Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey
コメント
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