A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

メルルイスオーケストラの良さを味わう晩年の一枚・・・

2012-06-28 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
Soft Light Hot Music / Mel Lewis Jazz Orchstra


先日宮嶋みぎわのライブに行った。彼女はこの秋からアメリカに作曲の勉強のため留学するそうだ。その前にビッグバンドのライブが3回予定されていて、この前のライブがその一回目。前回ダグラスがゲスト参加した時も聴きに行ったが、若手中心の彼女のビッグバンドの元気な演奏に感心したので、今回も期待大で出かけてみた。

彼女のオーケストラは自分の曲・アレンジが中心だが、今回はサドメルの曲も何曲か。彼女が懇意にしているヴァンガードジャズオーケストラのレパートリーなので、彼女としても自作曲と同様に力が入っていた。彼女が留学中の先生役は、ヴァンガードオーケストラのジムマクニーリーとのこと。さらに大きく育ってきて欲しい。

当日後半に演奏された曲に、このマクニーリーの作編曲の”Off The Cuff”があった。
もともとメルルイスオーケストラのレパートリーだとのことだがすぐには思い出せなかった。帰って探してみたら、このメルルイスオーケストラのアルバムに入っていた。

まだ紹介もしていなかったアルバムなのでついでに聴き返してみた。
ジャケットのイメージはジェリーマリガンの有名なアルバム "Night Lights" に良く似た感じだ。
録音自体は88年2月、丁度2年後にルイスは亡くなっているのでメルルイスの晩年の作品。本拠地ビレッジバンガードでのライブだが、サドジョーンズの曲を再び積極的に取り上げたことで有名な、“The Definitive Thad Jones”と同じ時の録音。この期間色々演奏された色々な曲をアルバム単位で編集したものだ。メンバーも当然The Definitive・・・と同じ。

前作がVol.1,2共にアレンジも含めてサドジョーンズ作品集だったのに較べて、このアルバムは2曲を除いてスタンダード曲。アレンジも、いつもの常連ではなくMike AbeneやTed Nashなどこのオーケストラでは珍しいアレンジャーばかり。ビッグバンドは昔から新人、中堅のプレーヤーがプレーヤーとしてもアレンジャーとしても一流に向けてステップアップしていく場であったが、このテッドナッシュなどは、この時期のメルルイスオーケストラでの活躍がまさにそのステージであったと思う。

このアルバムの最後の曲に収められているのが”Off The Cuff”。
今回のライブで彼女がこの曲を説明している中で、ジムの作った難しい曲であるということに加えて、ソロに合わせてバックのアンサンブルも違うのでジャズの曲としては繰り返しが少ないので長い譜面(確か12枚とか)だとの解説があった。
それを聴いてエリントンを思い出した。エリントンもソリストをイメージしながらアレンジをする。したがって、エリントンの組曲は単に大作というだけでなく、いずれの曲も奥深さを感じるのかもしれない。先日のマイクプライスのエリントントリビュートライブでもマイクプライスの分厚いスコアを前にした指揮振りはクラシックのそれを感じさせた。

ピアノとドラムの掛け合いから始まり、アンサンブルが徐々に加わってテーマがアンサンブルで演奏された後、ソプラノ、アルト、そしてピアノのソロと続くがバックのアンサンブルのエンディングに向けての高揚感が確かにすばらしい。
また、この曲はソロこそ無いがイントロからドラムの多彩な芸が求められるとのこと。
みぎわのオーケストラの広瀬も素晴らしかったが、時には酷評されることもあるメルルイスのドラミングの「良さが発揮される」曲でもある。

思わぬきっかけで聴きなおすことになったアルバムだが、いつもと違った曲を違うアレンジャーでやってもメルルイスオーケストラを感じさせる一枚だ。この88年の2月のライブはサドメルオーケストラを引き継いだメルルイスオーケストラも完成の域に達したライブだと思う。

1. Soft Lights and Sweet Music     Irving Berlin  6:12
2. Love Is Here to Stay        George Gershwin / Ira Gershwin  3:45
3. Compensation            Kenny Werner  11:49
4. Little Man (You've Had a Busy Day) Al Hoffman / Maurice Sigler / Sid Wayne 7:51
5. Lester Left Town          Wayne Shorter  8:04
6. How Long Has This Been Going On?  George Gershwin / Ira Gershwin 5:46
7. It Could Happen to You       Johnny Burke / James Van Heusen 4:50
8. The Touch of Your Lips       Ray Noble  5:44
9. Off the Cuff              Jim McNeely   10:31

Joe Mosello (tp,flh)
Glenn Drewes (tp,flh)
Earl Gardner (tp,flh)
Jim Powell (tp,flh)
Ralph Lalama (ts,fl.cl)
Joe Lovano (ts,ss,fl.cl)
Ted Nash (as.ss.fl.cl)
Dick Oatts (as,ss,fl)
Gary Smulyan (bs,bc)
Ed Neumeister (tb)
Earl McIntyre (btb)
John Mosca (tb)
Douglas Purviance (btb)
Stephanie Fauber  (f hr)
Kenny Werner (p)
Dennis Irwin (b)
Mel Lewis (ds)

Arranger :
 Mike Abene 1,4,8
 Ted Nash 2
 Kenny Werner 3
 Mike Crotty, 5,7
 Bill Finegan, 6
 Jim McNeely 9
 
John Snyder Producer
Paul Wickliffe Engineer
Joe Lopes Engineer
Paul Angelli Assistant Engineer

Recorded Live at The Village Vanguard , New York, on Feb 11, 1988 - Feb 15, 1988
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