A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

初対面の皆を和ませるには座持ちの良い介添え役が不可欠・・・

2012-06-08 | MY FAVORITE ALBUM



Sittin’ In / DizzyGillespie, Stan Getz, Paul Gonsalves, Coleman Hawkins

ニューポートジャズフェスティバルを翌週に控えた1957年6月26日、ちょうどロスではペッパーアダムスが初アルバムの制作の準備をしていた頃だ。ディジーガレスピーはニューヨークにいた。最強のビッグバンドメンバーでのニューポートジャズフェスティバル出演を前に気持ちも昂ぶっていたことだろう。この年で4回目を迎えたニューポートだが、ガレスピーは初参加でもあった。

ニューヨークのスタジオに3人のテナー名人が集まった。スタンゲッツ、コールマンホーキンズ、そしエリントンオーケストラの重鎮ポールゴンザルベスの3人だ。声をかけたのはノーマングランツ。
コンコルドオールスターズの日本ツアーの舞台で実現した3テナーの競演。同じような競演はノーマングランツ率いるJATPも得意にしていた。そもそもConcordオールスターズの発想はミニJATPのようなものだったので、両者で企画発想が似てくるのは当然だが、元祖JATPを率いるグランツのメンバーを集める力は強大であった。

何も音楽の世界だけでなく、何をやっても面識の無いもの同士がいきなり「一緒にどうぞ」といわれても、場が和むのにはしばらく時間がかかる。接待の席などでよく経験する場面だ。そこで必要なことはそれぞれを知っている人間がしばらく男芸者を演じて場を作ることだ。それには誰とでもすぐに打ち解けるキャラを持った人物が望ましい。

スタジオでいつもの大ジャムセッションが始まる訳だが、それぞれは有名人のこの3人が一同に介して演奏したことは今までいなかった。忙しい3人に何度も集合をかけリハーサルを重ねるのは難しいし、それはグランツのやり方でもなかった。
一発勝負のセッションを上手く成功させるために3人の取りまとめ役として起用されたのがディジーガレスピーだった。顔の広いガレスピーは3人とそれぞれ共演経験があったし、何と言ってもガレスピーが長年ジャムセッションで鍛えた経験と演奏スタイルは、セッションリーダーとして皆の演奏を取りまとめるには最適であった。

たいそうなアレンジを用意することもなく、ガレスピーリードで演奏が始まる。曲はガレスピーのディジーズアトマスフィア。ゴンザルベスのテナーが前の年のニューポートでのステージを思い起こさせるように熱っぽい。図太いホーキンスに、丁度クールでありながら脂が乗ってきたゲッツのプレーが何の違和感なく続く。
バラードプレーが2曲あるが、これは各自のショーケース、2回目は多少ミディアムテンポで変化をつける。3人の特徴あるトーンが好対照だ。
夜中から始まった録音は夜明けには早々に終了し、夜明けの街にいつものセッションを終えた後のように朝食を摂りに出かけていった。やはり取りまとめ役がしっかりしていると仕事は捗るし、結果、皆が持っている腕を生かしたいい仕事が残せるものだ。

1. Dizzy Atmosphere
2. Ballad Medley:
   I'm Through With Love
   Without A Word Of Warning
   Sweet Lorraine
   Love Walked In
   September Song
3. The Way You Look Tonight
4. Ballad Medley
   On The Alamo
   Stompin' At The Savoy
   This Time The Dream's On Me
   Time After Time
   Gone With The Wind

Dizzy Gillespie (tp)
Stan Getz, Paul Gonsalves, Coleman Hawkins (ts)
Wynton Kelly (p)
Wendell Marshall (b)
J.C. Heard (d)

Recorded at WOR Studios, NYC, June 26, 1957




Sittin in (Reis) (Dig)
Dizzy Gillespie
Verve
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