A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

オリジナルへの拘りには色々あるが・・・・・

2012-03-04 | MY FAVORITE ALBUM
Double Or Nothin' / Howard Rumsey presents Conte Candoli & Lee Morgan

ジャズの世界ほど過去の録音が何度も再発される音楽は無いのではなかろうか。やはりワンアンドオンリーな演奏は時代を超えて伝えられていく美術品のようなものだ。代表格はブルーノート、手を変え品を変えニューリリースされる。今度は限り無くオリジナルを再現するアナログディスクが発売されているようだが。そして、コレクターの皆様の中には、オリジナル盤をひたすら追い求めていらっしゃる方もいる。中にはプレスにまで拘って。確かにレコードの場合は、いろいろな点で微妙に違いがあるのは確かなので、本の初版本よりは意味があるとは思うのだが、自分はあまりオリジナル盤には拘りが無い。

一方で、アルバムとして世に出てくるものは、何回かの録音セッションからピックアップされて編集された物である。いわゆるお蔵入りした別テイクや、時間の都合でカットされた物など、オリジナルのレコーディングというものはアルバムとは別に存在する。CDの時代になり、収録できる時間も長くなったことによって、ボーナストラックなどと称して、改めて世に出てくる物も多い。これはこれで、オリジナルのレコーディングの意味は大きい。自分はどちらかというと、このボーナストラックの方に食指が動く、オリジナルセッションに興味がある方だ。
ディスコグラフィーにはALBUM INDEXとSESSION INDEXの両方があるので目的に応じてこの使い分けが大事だ。

このジャケットに写る2人のトランペッターはコンテカンドリとリーモーガン。2人とも若いが特にリーモーガンの若い顔つきが印象に残る。接点が見え難い2人の共演の経緯には興味が沸くものだ。
ガレスピーのオーケストラに加わってツアーをしていたリーモーガンは当時まだ若干18歳。そして1957年の2月18日ロスに滞在している時、他のメンバーと一緒に御大ガレスピー抜きでの録音セッションに参加する。そこで生まれたのが有名な“Dizzy Atmosphere”。特にリーダー名も明記されておらず、御大抜きでも御大の雰囲気でということになると、同じトランペットのモーガンの役割が重要になってくる。
そのセッションを跨いで2回の別のセッションが行われた。それが、このアルバムに収められている録音だ。同じようにガレスピー抜きのメンバー同士の録音であれば続編のようなものだが、コンテカンドリ達が加わっているところに別の意味がある。

実は、ロスへの滞在中にガレスピーオーケストラの面々は、当時の西海岸のジャズのメッカでもあったジャズクラブ“Light House”に客演していた。このハウスバンドにコンテカンドリやフランクロソリーノが加わっていたが、当然のようにこの両バンドが一緒にプレーをすることになった。結果は推して知るべし。オーナーのハワードラムゼイはこれを何とか録音したいと思い段取りを始めたが、いかんせんガレスピーバンドの面々のロスへの滞在期間は残り僅か。そこで、自分のグループの録音とのダブルセッションにして録音することにして2日間で録音したのがこのアルバムが生まれた経緯だそうだ。

ハワードラムゼイ自身も当日はディレクター役に徹し、ベースの演奏は仲間のレッドミッチェルにお任せとなった。2つのバンドが集ったが、結果収められている中身はラムゼイのオールスターズの演奏が2曲、ガレスピーメンバーだけの演奏が1曲。残りの6曲が両バンドのメンバーが入り乱れてのセッションとなっている。特に、モーガンとカンドリの競演が聴けるのはMotoとWildwoodの2曲だけだ。
アルバムジャケットの写真とタイトルだけを見ると何か騙された感じはするが、中身がガレスピーオーケストラのメンバーと、Light House All-starsの東西対抗大バトルということが分かると納得の内容だ。オリジナルのリバティーのアルバム(見たことが無いので実際は?)はLight house all starsの演奏除きで チャーリーパーショップのリーダーアルバムになっていたようなので余計中身の演奏の真意が分かり難い。
果たして、何を持ってオリジナルと言ったら良いかどうか?


1. Reggie of Chester        Golson 4:36
2. Stablemates           Golson 5:08
3. Celedia             Golson 4:40
4. Moto               Cooper 5:43
5. The Champ            Gillespie 4:40
6. Blues After Dark         Golson 7:45
7. Wildwood             Gryce 5:52
8. Quicksiler            Silver 3:56
9. Bye, Bye, Blues         Bennett, Gray, Hamm 4:05

Lee Morgan (tp)
Conte Candoli (tp)
Frank Rosolino (tb)
Benny Golson (ts)
Bob Cooper (ts)
Dick Shreve (p)
Wynton Kelly (p)
Wilfred Middlebrooks (b)
Red Mitchell (b)
Charlie Persip (ds)
Stan Levey (ds)

Recorded at Liberty Studio in Hollywood, California, on February 14 & 27, 1957

DOUBLE OR NOTHIN'
Conte Candoli & Lee Morgan
FRESH SOUND

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