In This Corner / Art Blakey
西海岸サンフランシスコの郊外にあるConcord市を拠点として立ち上がったコンコルドレーベル。そこに登場するミュージシャンの多くは、西海岸を拠点として活動するベテランジャズメン達。
70年代の初め、テレビの仕事の多くがニューヨークから映画の町ハリウッドに移って来たのを機に、ニューヨークでスタジオワークをしていた多くのジャズプレーヤーも西海岸に居を移した。
彼らは引き続き生活のベースとしてはスタジオワークやテレビ出演が中心であったが、地元でジャズのセッションも楽しんでいた。ところが、70年代の初めは、彼らベテラン達が得意とするメインストリームジャズは必ずしも「メインストリーム」ではなかった。
それ故、これらの演奏がコンサートやレコードの形で広く世に広まることはなかった。
そこに一役かったのが、カールジェファーソンが立ち上げた地元コンコルドでのジャズフェスティバル、そしてその記録を残すことでスタートしたのがコンコルドレコード。
軌道に乗り出すと次々とベテラン達が再び表舞台に登場しだした。
更にベテランに続いてスコットハミルトンのような次の世代を担う若手達も。
アルバム枚数も70枚に近づいた中での御大アートブレイキーが登場した。
ブレイキーに何か違和感を持った理由は、まだまだ現役で自分のグループを率いて全国を股にかけて活躍していたということだ。
50年代のモダンジャズの発展に貢献したブレイキーの知名度は全国区で、いや世界中でまだまだ高かった。
ブレイキーは昔の仲間達とプレーをしていたのではない。昔からいつも新人を起用し、常に新しい「ジャズメッセンジャー」を率いていた。
その中から巣立っていた大物は多い。古くはクリフォードブラウンであり、リーモーガン。
フュージョンの世界で第一人者となったチャックマンジョーネも在籍していた。
そして、80年代には次の世代を支えることになったウィントンマルサリスも。
このアルバムは、そのアートブレイキーがコンコルドの本拠地に程近いサンフランシスコを訪れ、地元のクラブキーストンコーナーに出演した時のライブレコーディング。
ブレイキーのドラムイントロから始まる。ハイハットを効かせたいつものブレイキーのドラミングだ。ライブの臨場感を感じる。
そして、カリプソ風のリズムに乗ってパメラは始まる。メンバーが若いせいか音作りもプレーも若々しい。ブレイキーのドラミングもそれにつられてか、若手のプレーに引っ張られている。
中でも光るのは前年にリーダー作を出してデビューしたてのジェイムスウィリアムスのピアノだ。
メッセンジャーズのピアノはファンキーなスタイルを思い浮かべてしまうが、元々ゴスペルやR&Bの素養を持ち合わせた上に、新しい感覚をも備えたウィリアムスのピアノがメッセンジャーズの新鮮さを際立たせる。
改めて、それまでのコンコルドのアルバムを辿ってみると、ジェファーソンのプロデュースを離れたシェリーマンやバドシャンクのレギュラーグループのアルバムが何枚かある。
このアルバムも、いつものジェファーソンではなく、Frank Dorritieのプロデュース。
大ベテランたちが皆一回り以上若い若手のメンバーを率いて頑張っているブレイキーの今のプレーをそのまま収めている。ベテランの昔の仲間達と和気藹々としたセッションもよいが、若手を率いて溌剌としたプレーをしているのは刺激を受ける。
最近の自分の生活を振り返えってみると、自分自身、仕事も好きなゴルフも若手に混じってやることが多い。昔の仲間との集まりだとついつい昔話に花が咲くが、若手だと当然明日に向かった前向きの話題が多い。
ブレイキーがこのアルバムを録音した時が59歳。
ブレイキーもバディーリッチも若手に囲まれて最後まで現役を続けることができた。
自分も、ジャズを聴くことは昔を振り返ることの方が多いが、他はまだまだ彼らを見習って若手に混じって現役を続けたいものだ。
コンコルドレーベルもこの後全国区で活躍する現役のベテランプレーヤーが続々と登場するようになる。このアルバムが、地元のマイナーレーベルからメジャーレーベルへ向けての節目になったような気がする。
1. Art Blakey Intro Blakey 1:17
2. Pamela Watson 9:31
3. Unlimited Williams 6:36
4. In This Korner Williams 7:47
5. The Song Is You Hammerstein, Kern 7:28
6. Dark Side, Light Side Cables 10:11
7. Blue for Two Ponomarev 7:33
Produced by Frank Dorritie
Valery Ponomarev (tp)
David Schnitter (ts)
Bobby Watson (as)
James Williams (p)
Dennis Irwin (b)
Art Blakey (ds)
Recorded live at "Keystone Korner", San Francisco, CA, May 8, 1978
Originally released on Concord CJ-68
西海岸サンフランシスコの郊外にあるConcord市を拠点として立ち上がったコンコルドレーベル。そこに登場するミュージシャンの多くは、西海岸を拠点として活動するベテランジャズメン達。
70年代の初め、テレビの仕事の多くがニューヨークから映画の町ハリウッドに移って来たのを機に、ニューヨークでスタジオワークをしていた多くのジャズプレーヤーも西海岸に居を移した。
彼らは引き続き生活のベースとしてはスタジオワークやテレビ出演が中心であったが、地元でジャズのセッションも楽しんでいた。ところが、70年代の初めは、彼らベテラン達が得意とするメインストリームジャズは必ずしも「メインストリーム」ではなかった。
それ故、これらの演奏がコンサートやレコードの形で広く世に広まることはなかった。
そこに一役かったのが、カールジェファーソンが立ち上げた地元コンコルドでのジャズフェスティバル、そしてその記録を残すことでスタートしたのがコンコルドレコード。
軌道に乗り出すと次々とベテラン達が再び表舞台に登場しだした。
更にベテランに続いてスコットハミルトンのような次の世代を担う若手達も。
アルバム枚数も70枚に近づいた中での御大アートブレイキーが登場した。
ブレイキーに何か違和感を持った理由は、まだまだ現役で自分のグループを率いて全国を股にかけて活躍していたということだ。
50年代のモダンジャズの発展に貢献したブレイキーの知名度は全国区で、いや世界中でまだまだ高かった。
ブレイキーは昔の仲間達とプレーをしていたのではない。昔からいつも新人を起用し、常に新しい「ジャズメッセンジャー」を率いていた。
その中から巣立っていた大物は多い。古くはクリフォードブラウンであり、リーモーガン。
フュージョンの世界で第一人者となったチャックマンジョーネも在籍していた。
そして、80年代には次の世代を支えることになったウィントンマルサリスも。
このアルバムは、そのアートブレイキーがコンコルドの本拠地に程近いサンフランシスコを訪れ、地元のクラブキーストンコーナーに出演した時のライブレコーディング。
ブレイキーのドラムイントロから始まる。ハイハットを効かせたいつものブレイキーのドラミングだ。ライブの臨場感を感じる。
そして、カリプソ風のリズムに乗ってパメラは始まる。メンバーが若いせいか音作りもプレーも若々しい。ブレイキーのドラミングもそれにつられてか、若手のプレーに引っ張られている。
中でも光るのは前年にリーダー作を出してデビューしたてのジェイムスウィリアムスのピアノだ。
メッセンジャーズのピアノはファンキーなスタイルを思い浮かべてしまうが、元々ゴスペルやR&Bの素養を持ち合わせた上に、新しい感覚をも備えたウィリアムスのピアノがメッセンジャーズの新鮮さを際立たせる。
改めて、それまでのコンコルドのアルバムを辿ってみると、ジェファーソンのプロデュースを離れたシェリーマンやバドシャンクのレギュラーグループのアルバムが何枚かある。
このアルバムも、いつものジェファーソンではなく、Frank Dorritieのプロデュース。
大ベテランたちが皆一回り以上若い若手のメンバーを率いて頑張っているブレイキーの今のプレーをそのまま収めている。ベテランの昔の仲間達と和気藹々としたセッションもよいが、若手を率いて溌剌としたプレーをしているのは刺激を受ける。
最近の自分の生活を振り返えってみると、自分自身、仕事も好きなゴルフも若手に混じってやることが多い。昔の仲間との集まりだとついつい昔話に花が咲くが、若手だと当然明日に向かった前向きの話題が多い。
ブレイキーがこのアルバムを録音した時が59歳。
ブレイキーもバディーリッチも若手に囲まれて最後まで現役を続けることができた。
自分も、ジャズを聴くことは昔を振り返ることの方が多いが、他はまだまだ彼らを見習って若手に混じって現役を続けたいものだ。
コンコルドレーベルもこの後全国区で活躍する現役のベテランプレーヤーが続々と登場するようになる。このアルバムが、地元のマイナーレーベルからメジャーレーベルへ向けての節目になったような気がする。
1. Art Blakey Intro Blakey 1:17
2. Pamela Watson 9:31
3. Unlimited Williams 6:36
4. In This Korner Williams 7:47
5. The Song Is You Hammerstein, Kern 7:28
6. Dark Side, Light Side Cables 10:11
7. Blue for Two Ponomarev 7:33
Produced by Frank Dorritie
Valery Ponomarev (tp)
David Schnitter (ts)
Bobby Watson (as)
James Williams (p)
Dennis Irwin (b)
Art Blakey (ds)
Recorded live at "Keystone Korner", San Francisco, CA, May 8, 1978
Originally released on Concord CJ-68