HERITAGE / Bud Shank
最近「世界遺産」という言葉を良く聞く。
景観であり、文化であり、建造物であり、その結果生まれる産業であろうと、これまでの人間は自然との共生で発展を続けてきた。そのすべてが、人間が生みだした「遺産」だ
環境問題を筆頭としてそのバランスが大きく崩れようしている。その結果として遺産の消滅が待っている。
何事もそのままの姿で保存するのは難しい。大きな変化に合わせて徐々にその姿をかえつつも、事の本質を後世に引き継いでいくことが大事だと思う。
Concordの第一作目のアルバム”Sushine Express”がそれなりの評判を得て、Bud Shankはオーナーのカールジェファーソンから、次のアルバム制作の打診を受けた。
ジェファーソンからは「スタンダード曲でやってくれないか?」という依頼であった。
前作はConcorレーベルから発売されたアルバムではあったが、実は、プロデュースはシャンク自身。演奏している曲もシャンクとそのアルバムでピアノを弾いているマイクウォフォードの曲が中心であった。
必ずしも、ジェファーソンのコンセプトに合った内容ではなかった。ジェファーソンは自分の好みの一枚を作りたかったのだろう。
シャンクはこの申し出を受けたが、単に「懐メロアルバム」を作ることに同意した訳ではなかった。
シャンクは、50年代の最初から第一線で活躍していたベテラン。60年代に入ってからはスタジオ中心の活動であったが、一時はウェストコースト派を代表するアルト奏者でもあった。当時の仲間を集めて、手馴れたスタンダード曲で、懐メロアルバムを作ることは彼にとっては簡単であったろう。
ところが、シャンクは今まで色々なセッションで何百回となく演奏してきたスタンダードに、まったく新しい解釈と試みを行うことでこのアルバム作りに同意した。
まずは、楽器はアルト一本に絞る。当時は同時にLA4などでも活動し、アルトだけではなくフルートの演奏も多かったのだが。
昔はアートペッパーやリーコニッツと比較されることが多かったが、ここでは限りなくパーカーライクなアルトに徹する。
演奏は限りなくストレートなジャズ。ただし、時代の流れは取り入れた70年代のビバップでありハードバップ。
そのために、バックを努めるメンバーはベテランではなく若手を抜擢。
その結果生まれた演奏は、フュージョン全盛期に実に新鮮なハードバップのサウンドを聴かせてくれる。
手垢のついたスタンダード曲集になりがちな企画に、新しい生きた血を流入した演奏になっている。まさに、“New wine in old bottles”といえる演奏だ。
久々に聴き直したがいい演奏だ。
コンボ、そしてビッグバンドでのその後の活躍への転機となったアルバムかもしれない。
このアルバムの主役であるシャンクはまだまだ元気に現役で活躍している。先日も確か来日したはずだ。80歳を過ぎても元気に演奏を続けることができるのは、よほど「進取果敢」な精神の持ち主なのであろう。
このアルバムのタイトル”Heritage”。
まさに、懐古趣味で無く将来に向かって「遺産」をどう残すのかということだ。今世の中に問題提起され、対応を問われていることそのものだ。
そういえば、ボサノバをアメリカに紹介したのは、ゲッツより一足先にこのバドシャンク。よほど、時代の先読みができる人物なのだろう。
1. THERE IS NO GREATER LOVE
2. ELSA
3. I’M GETTING SENTIMENTAL OVER YOU
4. THREE LITTLE WORDS
5. IF I WERE A BELL
6. STELLA BY STARLIGHT
7. MY SHIP
8. DEARLY BELOVED
Bud Shank (as)
Bill Mays (p)
Bob Magnusson (b)
Steve Schaeffer (ds)
Originally released on Concord CJ-58
最近「世界遺産」という言葉を良く聞く。
景観であり、文化であり、建造物であり、その結果生まれる産業であろうと、これまでの人間は自然との共生で発展を続けてきた。そのすべてが、人間が生みだした「遺産」だ
環境問題を筆頭としてそのバランスが大きく崩れようしている。その結果として遺産の消滅が待っている。
何事もそのままの姿で保存するのは難しい。大きな変化に合わせて徐々にその姿をかえつつも、事の本質を後世に引き継いでいくことが大事だと思う。
Concordの第一作目のアルバム”Sushine Express”がそれなりの評判を得て、Bud Shankはオーナーのカールジェファーソンから、次のアルバム制作の打診を受けた。
ジェファーソンからは「スタンダード曲でやってくれないか?」という依頼であった。
前作はConcorレーベルから発売されたアルバムではあったが、実は、プロデュースはシャンク自身。演奏している曲もシャンクとそのアルバムでピアノを弾いているマイクウォフォードの曲が中心であった。
必ずしも、ジェファーソンのコンセプトに合った内容ではなかった。ジェファーソンは自分の好みの一枚を作りたかったのだろう。
シャンクはこの申し出を受けたが、単に「懐メロアルバム」を作ることに同意した訳ではなかった。
シャンクは、50年代の最初から第一線で活躍していたベテラン。60年代に入ってからはスタジオ中心の活動であったが、一時はウェストコースト派を代表するアルト奏者でもあった。当時の仲間を集めて、手馴れたスタンダード曲で、懐メロアルバムを作ることは彼にとっては簡単であったろう。
ところが、シャンクは今まで色々なセッションで何百回となく演奏してきたスタンダードに、まったく新しい解釈と試みを行うことでこのアルバム作りに同意した。
まずは、楽器はアルト一本に絞る。当時は同時にLA4などでも活動し、アルトだけではなくフルートの演奏も多かったのだが。
昔はアートペッパーやリーコニッツと比較されることが多かったが、ここでは限りなくパーカーライクなアルトに徹する。
演奏は限りなくストレートなジャズ。ただし、時代の流れは取り入れた70年代のビバップでありハードバップ。
そのために、バックを努めるメンバーはベテランではなく若手を抜擢。
その結果生まれた演奏は、フュージョン全盛期に実に新鮮なハードバップのサウンドを聴かせてくれる。
手垢のついたスタンダード曲集になりがちな企画に、新しい生きた血を流入した演奏になっている。まさに、“New wine in old bottles”といえる演奏だ。
久々に聴き直したがいい演奏だ。
コンボ、そしてビッグバンドでのその後の活躍への転機となったアルバムかもしれない。
このアルバムの主役であるシャンクはまだまだ元気に現役で活躍している。先日も確か来日したはずだ。80歳を過ぎても元気に演奏を続けることができるのは、よほど「進取果敢」な精神の持ち主なのであろう。
このアルバムのタイトル”Heritage”。
まさに、懐古趣味で無く将来に向かって「遺産」をどう残すのかということだ。今世の中に問題提起され、対応を問われていることそのものだ。
そういえば、ボサノバをアメリカに紹介したのは、ゲッツより一足先にこのバドシャンク。よほど、時代の先読みができる人物なのだろう。
1. THERE IS NO GREATER LOVE
2. ELSA
3. I’M GETTING SENTIMENTAL OVER YOU
4. THREE LITTLE WORDS
5. IF I WERE A BELL
6. STELLA BY STARLIGHT
7. MY SHIP
8. DEARLY BELOVED
Bud Shank (as)
Bill Mays (p)
Bob Magnusson (b)
Steve Schaeffer (ds)
Originally released on Concord CJ-58
後ほどゆっくり。