A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

KELLY at Midnite / Wynton Kelly

2007-02-15 | MY FAVORITE ALBUM
WYNTON KELLYを聞き出すと、サイドメントして加わったものを含めてJAZZの歴史に残る名演集になってしまうが、久々に聞く物もあるので棚卸しを兼ねて続けてみる。
KELLYの伴奏物、あるいは他のリーダーのセッションへの参加は多いが、実はトリオ物は少ない。あまり主役は好まなかった性格なのかもしれない。

その中で、代表作となるとやはりこのアルバム、VEE JAY3部作の一枚だ。
この録音(1960年)前後はマイルスのグループを含めて、ドラムはJimmy Cobbとの共演が多いのだが、このアルバムは、Philly Jo Jones。KELLYがリーダーとはいえ、3人のコラボレーションが絶妙。この時期の黄金のトリオだ。

このアルバムに有名なスタンダードは収められていない。
KELLYの自作曲から始まる。TEMPERANCEとは節制と控えめといった意味。確かに派手さはないが、ミディアムテンポでなじみ易いメロディーで、いきなりKELLYの世界に入る。KELLYはジャマイカの出身で子供の頃には移ったらしいが、彼の右手から次から次に湧き出てくるような明るいフレーズは、何かラテン系に通じる血が流れているような気がする。

WEIRD LULLABYでは、一転スローな子守唄。ON STAGEでは、その名の通りタイトルどおりの夜中のライブ演奏を想像させ、SKATIN’は、思い切りファンキーに氷上を飛び跳ねるイメージ。最後のPOT LUCKはアップテンポのブルース。これは、存分に黒っぽさが前面に出た曲。KELLYの色々な側面が、コンパクトに違う趣の5曲に反映されている。

最後の、POT LUCKとは、麻薬の隠語。JAZZの歴史で麻薬は切っても切れない縁があるが、このアルバム全体がJAZZの「麻薬中毒」にかかりそうな魅惑に包まれている。

KELLYのピアノについて、本職のJAZZピアニストの目で記事が書かれている。我々のような聞き役オンリーとは違った視点でのコメントは勉強になる。

自分の持っている盤は国内盤。これもオリジナルとは微妙にデザインが違う。特に、タイトルのロゴもデザインも違うが、オリジナルでは「Midnite」のスペルが日本版では「Midnight」に変えられている。この時期のアルバムと国内盤とオリジナルのデザインの違いを比較するのも間違い探しのようで面白い。



Temperance
Weird Lullaby
On Stage
Skatin'
Pot Luck

Wynton Kelly (p)
Paul Chambers (b)
Philly Joe Jones (d)

Chicago, IL, April 27, 1960
コメント
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