Vee Jayレーベルに残したウィントンケリーのアルバムの中の傑作と言っていいだろう。このレーベルは当時いっぱいあったインディーズのひとつだけど、まあいいものを残してくれた。ケリーはこのレーベルにサイドメンでの参加を合わせると9枚レコーディングしている。全部聴いたわけではないので、あまり決め付けるのは失礼だけど、音楽の内容自体はやはりインディーズらしいラフさが目立つ。でもやはりパワーがある。特にこのアルバムはミュージシャンのフェバリットアルバムだ。これにほれ込んでるプロミュージシャンをいっぱい知ってる。ケリーのことやそのほかこのアルバム全体のことはいずれ書くとして、今日はこのアルバムにリーモーガンと一緒に参加してるウェインショーターのプレイのことを書いてみよう。このころリーモーガンとウェインはアートブレイキーのバンドで一緒に仕事していた。歳はリーモーガンの方が若いけど、キャリアはリーのほうが長い。なにせ20歳前後からジャズの第一線でプレイしていたからね。ウェインはもちろん音楽のキャリアはあるけど、一般人には新人と思われていた。このアルバムが出たとき、日本のある評論家が、ウェインのプレイをこきおろしていたらしい。この話はサックスの山口真文さんに聞いた。ボクはその批評は読んでいない。山口さんにこの話を聞いた頃、ウェインはマイルスバンドをやめ、ジョーザヴィヌルとともにウェザーリポートで活躍していた。世界で一番注目されているサキソフォンプレイヤーだった。このアルバムを聴くと、すでに強烈な個性がある。特別の個性だ。明らかに飛びぬけた才能だ。山口さんは、「今頃、あれを書いた評論家はどうしてるだろうね?」と言って笑っていた。評論家なんてそんなものか?音楽の一番肝心なものが聞こえないのか?まあ音楽評論はみんな後のことを恐がって無難なことしか書かない。自分の耳にそこまで自信がないからね。そう思うとその評論家は勇気があったともいえるけど・・・。
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