立憲民主党 山としひろ「パワフル日記」

立憲民主党 衆議院富山1区公認内定者
44歳 
人にやさしい政治

【行政視察報告】 東京都港区(3月26日)

2009年05月08日 | Weblog
【行政視察報告書】



視察日時:2009年3月26日(木) 午前10時~
視察自治体:東京都港区
視察テーマ:(1)学校法律相談制度について、(2)土曜特別講座について

(1) 学校法律相談制度について

① 概要

 港区立の幼稚園、小学校、中学校における複雑かつ様々な法律問題への対応方法について、港法曹会(任意団体)の弁護士に相談し、アドヴァイスを受ける。全国初の制度で、2007年6月から実施されている。2009年度、委託金として200万円を支払っている。
 相談が必要な場合、学校から教育委員会事務局に書面で依頼し、事務局が担当弁護士と調整し、面談日時を決める。緊急を要する場合については、ファックスなどによる相談も可能となっている。
 2009年3月1日現在、18件の相談が寄せられた。その内訳は「子ども同士のトラブル」7件、「学校・園の対応に対する苦情」4件、「離婚調停中の親権争い」3件、「教師に対する苦情」3件などとなっている。その中で訴訟にまで発展したケースはない。

② 考察

 近年、保護者・地域住民から理不尽、非常識なクレームが寄せられ、学校現場が混乱している。「モンスターペアレント」ということばさえ定着しつつある。一昔前であれば、大人同士で話し合って解決できた問題であっても、最近では法的に訴えられるという事態も想定される。そのため、一部の教師や担当者に自力で問題解決するように求めることは、結果として問題を大きくする危険をはらんでいる。
 教師は教育のプロではあっても法律のプロではない。よって、たとえ自分の対応に問題がないと思っていても、相手側から声高に「訴えてやる」と叫ばれたら萎縮してしまう。
 この制度を活用すれば、必要に応じて弁護士に相談することができ、安心して冷静に対応できるのではないか。そして、教員は本来の業務にもっと専念できるのではないか。
 ただ、この制度は相手側と「対決」するためのものではない。実際、弁護士が相手側に会って対峙することはない。あくまでも学校が主体となって対応し、問題を未然に防ぐ、もしくは拡大を防止すると解するべきではないか。
 江南市の公立小中学校においては、幸い、都市部の公立学校ほど深刻な問題を抱えているわけではない。しかし、万が一対応が難しい問題が発生した場合、外部(弁護士など)との連携も視野に入れ組織的に対応すべきである。

(2) 土曜特別講座について

① 概要

 区内全ての公立中学生を対象に、土曜日の午前中、国語、数学、英語について進学塾講師による講座を年30回開催し、学力向上を図っている。参加費は無料(保護者負担なし)であり、約6~7割の中学生が参加している。各教科とも、基礎コースと発展コースの2コースが用意され、習熟度に応じた個別対応型の指導がなされている。
 2005年度から実施しており、2009年度は約5,000万円で株式会社学研に委託している。

② 考察

 土曜特別講座においては、公立中学校と民間進学塾の連携が図られている。港区に限らず、首都圏ではそうした動きが広がっており、杉並区立和田中学校の地域本部のように受験対策(有料)までも実施しているところさえある。
 学力を向上させることは何よりも教師の責任であることは言うまでもない。しかし、子どもの学力格差が広がり、学校を取り巻く環境が厳しくなっているため、教師は多忙を極めている。また労働法制上、休日に補習講座を行うよう命ずることは難しい。
 全てを学校や教師に求めるのではなく、必要に応じて外部の力を活用することがあってもよい。むろん、学校・教師の責任放棄と誤解されないよう保護者や地域住民に説明責任を果たすことが前提となる。
 また、そもそも子どもにとって必要な学力は何か、すなわち何のために勉強するのかということについて考えていかなければならない。学校選択制(完全自由制)が導入されていること、私立・国立中学校への進学率が極めて高い(約半数)という港区の特殊な教育事情の中で、周りの目を気にする余り、「学力」が本来とは違った意味で解釈されるおそれがある。今後、きちんとした検証がなければ、結局、受験対策の講座と何ら変わりないものになってしまう。

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