立憲民主党 山としひろ「パワフル日記」

立憲民主党 衆議院富山1区公認内定者
44歳 
人にやさしい政治

【行政視察報告】 埼玉県志木市(3月25日)

2009年05月08日 | Weblog
 さる3月25日(水)、26日(木)に実施した行政視察について下記の通り、ご報告いたします。
 ご意見等ございましたら、よろしくお願いします。
 なお、これと同様の報告は議会事務局に提出しており、視察先で恵与していただいた資料、宿泊費、食費などの領収証とともに情報公開請求の対象となります。



【行政視察報告書】



視察日時:2009年3月25日(水) 午後1時半~
視察自治体:埼玉県志木市
視察テーマ:教育改革について

(1) 中3チューター学習制度(基礎学力アップ夢応援事業)

① 概要

 中学3年生 を対象に、9月から翌年2月まで週1回1時間 、計16回、受験対策の補習授業を行っている。2008年度、延べ1,382人の子どもが受講した(複数受講可能)。参加費無料。
 受験対策とはいえ、基礎的学力の定着に主眼を置き、学校主体で取り組んでおり、「夜スペ 」とは本質的に異なる。
 国語・数学・英語の講座に人気が集中している。また、必要に応じて基礎、応用といった習熟度別の講座も開設している。
 チューター(講師)は2008年度、22人が配置された。夏休み頃、近隣の大学に募集ビラを掲示してもらうなどして、主に大学生を募っている。講師への謝金は1回1,000円 。
 短期間でもきちんと取り組んでいる子どもがいる一方で、学習態度、意欲に欠ける子どもも一部とはいえいる。また、指導力の高いチューターをいかに確保するか、短期間でいかに学習目標に到達するかが今後の課題である。

② 考察

 中3チューター学習制度は、いくつか評価すべき点がある。
 一つ目に、教員の勤務実態を踏まえていることである。この制度は実施7年目を迎えたが、もともと教育委員会が提案したものである。背景には、教員が通常業務で多忙を極めているため、子どもにきめ細かい指導を行なう時間を確保できないという問題があった。
 教員に全てを求めるのではなく、必要なところには手をさしのべるという姿勢が大切ではないか。
 二つ目に、多額の経費を必要としないことである。チューターへの謝金とコピー代だけで補習授業を実施できる。チューターにとっても、将来の進路実現を図る上で有意義な経験を積むことができ、謝金以上のものを得られるはずである。
 三つ目に、教育格差の是正にも資することである。近年、義務教育段階においても、親の経済格差や家庭環境から生じる悪影響が教育格差拡大につながっている。この制度だけで教育格差が解消されるわけではないが、教育格差を是正する一助となっていることは間違いない。

(2) 志木市独自の少人数(25人程度)学級編制の充実

① 概要

 子どもの個性を生かし豊かな人間性を育むために、発達段階に即した少人数学級編制を目指して、2002年度より市独自で常勤講師を採用している 。
 1クラスあたりの定員の上限は、小学1、2年生で29人、3年生で32人、4年生以上で40人と決めている。常勤講師は学校長の判断で、担任や教科専科に充てられている。
 常勤講師は市臨時職員として処遇され、時間給1,500円、1日8時間勤務で年収約330万円。常勤講師にかかる人件費は市が全額しており、毎年約5,000万円以上が投じられている。

② 考察

 少人数学級編制の取り組みについては、いくつか評価すべき点がある。
 一つ目に、教育の地方分権を実践していることである。
 近年、全国の自治体で基礎的学力の定着・向上を目指して少人数教育が推進されている。にもかかわらず、学級規模は何人が適正であるかという本質的な議論がなされていない。
 そもそも、志木市が主張するように、1クラスの定員の上限を40人とする国の基準について、教育的根拠を見出すことは難しい。仮に根拠があるとしても、現行基準が定められた1970年代と現在とでは教育環境が大きく変貌しており、必ずしも最適とはいえない。
 子どもの実態を把握した上で、必要な対策を打ち出していくこと、教育の地方分権を進めることが時代の要請ではないか。志木市のように、子どもの発達段階に着目することも一つの方法である。
 二つ目に、地域内でも分権を実践していることである。
 教員の採用活動は教育委員会が全てを担うのが通例であった。しかし同じ市立小学校とはいえ、地域や保護者、子どもの実態が異なっているため、各校が求める人材は異なってくる。教育委員会から配属される人材を受け入れるという受身の姿勢では、ミスマッチが生じてしまう。そのため、常勤講師の採用にあたって、学校長が直接面接を行い、教育委員会はその結果を尊重するという方法に改められている。この点、教育委員会はどのような役割を果たすべきかを考えるのに大いに参考になる。

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