昨日、市議会本会議の一般質問で登壇し、3項目について質問しました。
今回一番力を入れたのが「犬猫殺処分」の問題です。動物愛護が推進されているとはいえ、全国で年間16万匹以上の犬猫が殺処分され、悲しい最期を迎えていることに衝撃を受け、犬猫殺処分ゼロを訴えました。
動物も人間と同様、この世に生を受けた生き物であり尊い命です。動物を大切にする気持ちは、より豊かな人間社会を作ることにつながります。動物に優しいまちは人間にも優しいまちだと思います。
私の質問に対して、当局は「国の動向を見ながら殺処分を減らす取り組みを積極的に検討していきたい」と答弁しました。これを確実に実行してもらうよう、みなさんもぜひ声をあげていきましょう。
以下、質問原稿をアップします。より良い施策を打ち出すため、忌憚のないご意見をお願いします。
【一般質問】 犬猫殺処分について
動物愛護が推進されていますが、依然として数多くの犬猫が殺処分されています。人にも動物にもやさしい共生社会実現のため、犬猫殺処分ゼロを目指すべきとの立場から質問します。
まず、健康福祉部保健センターに質問します。
日本全国で飼育されている犬猫は推計約2,062万匹(犬1,087万匹、猫984万匹/2013年 ペットフード協会)にのぼります。一方、15歳未満の子どもが推計約1,633万人(2013年 総務省)と過去最低を更新しており、今や子どもの数よりも犬猫の数が多く、それだけ犬猫の存在が大きくなっています。
しかし、無責任な飼い主による飼育放棄や飼い主の生活事情、悪質なペット業者などが原因で殺処分される犬猫が少なくありません。
10年前の2004年度には、約41.8万匹(犬18.1万匹、猫23.7万匹)の犬猫が全国の自治体に引き取られ、そのうちの約94.4%、約39.5万匹が殺処分されました。それから現在に至るまで、自治体は所有者に返還したり、新しい飼い主へ譲渡したり努力してきました。また、民間の動物愛護団体による活動も活発化し、年々、引き取り数、殺処分ともに減少し続けています。
とはいえ、2012年度においても約21万匹(犬7.2万匹、猫13.8万匹)の犬猫が引き取られ(所有者不明のものが多い)、約8割の約16万2千匹(犬3.84万匹、猫12.34万匹)もの尊い命が奪われています。1日あたりに換算すると400匹に上ります。非常に悲しいことです。
さて、愛知県の犬猫殺処分の状況はどうでしょうか。愛知県は「愛知県動物保護管理センター」が犬猫殺処分を行っています。本所は豊田市にあり、支所が3か所あります。江南市を含むこの地域一帯を管轄しているのが尾張支所であり、一宮市浅井町に施設があります。
現在、愛知県では殺処分を減らすため、安易な犬猫の引き取りを断っています。度重なる引き取りや、繁殖を制限せずに生まれた子犬、子猫の引き取りなどには応じていません。飼い主の都合でどうしても飼えなくなったら、新しい飼い主を探すよう求められます。それでも見つからなかった場合のみ、センターが引き取ることになります。努力の甲斐あって、過去10年間(2003年度~2012年度)の犬猫の引き取り数の推移を見ると、犬猫ともに約85%減少しました。犬は1,411匹から223匹に、猫は9,297匹から1,253匹に減少しました。それでも約2千匹が悲しい最期を迎えています。
では、昨年度、江南市における犬猫殺処分の実態はどうなっていますか。あわせて、殺処分の方法についてもうかがいます。
愛知県、江南市における犬猫殺処分
○ 2012年度
|
引き取り |
捕獲 |
負傷 |
返還 |
譲渡 |
殺処分 |
犬 |
223 |
1,716 |
21 |
603 |
480 |
856 |
猫 |
1,253 |
|
175 |
2 |
239 |
1,187 |
犬の殺処分数=(引き取り+捕獲)-(返還+譲渡)
猫の殺処分数=(引き取り+負傷)-(返還+譲渡)
○2011年度 (愛知県) 犬1,104匹 猫1602匹
(江南市) 犬 12匹 猫59匹
○2010年度 (愛知県) 犬1,113匹 猫2,873匹
(江南市) 犬11匹 猫82匹
質問2
江南市は、犬猫殺処分問題に対してどのような取り組みをしてきたのか、基本計画があったのかどうか、見解を求めます。
質問3
昨年9月1日、改正動物愛護法が施行されました。改正の主なポイントの一つが終生飼養(しゅうせいしよう)の徹底です。飼い主には動物がその命を終えるまでしっかり飼育することが明記されました(第7条第4項)。これに伴い、自治体による犬猫の引き取りを定めた規定が改められ、自治体は相当の事由がなければ引き取りを拒否できるようになりました(第35条第1項)。また、殺処分がなくなることを目指して、譲渡を希望する人を募るよう自治体に努力義務が課せられました(第4項)。
動物愛護や管理の推進にあたっては、県が主要な役割を果たしていますが、その普及啓発や地域住民に対する直接的な指導については、市町村にその役割が期待されます。
そこで、改正法の趣旨を踏まえて、以下のことを提案しますが、いかがでしょうか。
① 犬猫殺処分の実態を広く市民に伝える。
② 殺処分をなくすために市民に協力を呼びかける。例えば、センターに収容された犬猫が譲渡されていることや、犬の飼い方講習会が開催されていることを知らせる。収容動物検索情報サイトの活用を呼びかける。
③ 飼い主に対しては、終生飼養の義務や適切な繁殖制限措置を講ずる義務があり、その義務を怠った場合には罰則(動物の遺棄には罰金100万円など)が科せられることを啓発する。 ⇒飼い主責任を徹底
④ 犬猫が自分の所有であることを明らかにするために、マイクロチップの普及が推進されているが、数千円の費用を要する。犬猫に関する所有明示の実施率は、2010年度の世論調査では、犬が約36%、猫が約20%にとどまっている。次善の策として、首輪、名札、脚環をさせることを強く勧める。
なお、引き取りの65%、殺処分の76%を占める猫への対応が重要だということを付け加えておきます。
捨て猫逃がし問題
○ 生後数か月とみられる捨て猫が愛知県の警察に持ち込まれた。警察はセンターに保護を依頼したが、引き取ると殺処分になる可能性が高いため、逃がすように警察に伝えた。
○ 後日、警察とセンターの担当者が、動物愛護管理法違反(遺棄)で書類送検され、波紋を呼んでいる。
○ センターは、保護してもほとんど命を生かすことができないため、できるだけ引き取らない方針にしている。
○ 告発者(猫好き)の思い:捨てる人が一番悪い。警察にはしっかり取り締まってもらいたい。「猫を捨てることが犯罪だ」と社会全体で考えない限り、せっかく減った野良猫が増えてしまいかねない。
質問4
上記の改正動物愛護法第35条で定められた努力義務を実践して、東京都国立市では犬猫殺処分ゼロを、神奈川県動物保護センターでは犬の殺処分ゼロを、網走保健所では猫の殺処分ゼロを実現し、滋賀県では動物管理センターの収容数が過去最少となるなど、各自治体が実績をあげています。
犬猫殺処分は自治体の自治義務です。自治体の姿勢如何によって、取り組みが全く違ってきます。改正法の趣旨を踏まえて、江南市も犬猫殺処分ゼロを目標に掲げ、「人にも動物にもやさしい自治体」を目指していくべきです。今後の取り組みと決意についてお聞かせください。
東京都国立市
○ 2012年度に猫の殺処分ゼロを実現
○ 行政とボランティアの連携による地域猫活動
○ ボランティア団体「猫のゆりかご 国立地域猫の会」(2005年立ち上げ)が、自己資金のみで約600匹の猫の不妊去勢手術を行ってきた。
神奈川県動物保護センター(平塚市)
○ 2013年度に犬の殺処分ゼロを実現(2012年度は92匹)
○ 2013年度の犬の収容数は612匹。病気などで死んだ29匹を除き、飼い主に返還されたり、ボランティア団体や新しい飼い主に譲渡された。
○ 30以上の団体・個人がボランティアとして登録。昨年9月に引き取り手数料(1匹1,220円)を無料化。
○ シャンプー・トリミングのボランティアと協力し、犬の見栄えを良くして譲渡しやすくする工夫を重ねている。
最後に、以下のことを要望します。
① 民間の動物愛護団体、獣医師会との連携を模索すること。
② 犬猫の不妊去勢手術への補助制度を今後も継続し、拡充すること。
③ 新しい飼い主を探し、譲渡の機会を増やすために、多くの人々が集まる公共施設などで譲渡会を行うこと。
④ 殺処分をなくすための推進計画を策定すること。
続いて、教育委員会へ質問します。
質問5
動物という小さな命に向き合うことによって、命の尊さが分かり、子どもの成長にもつながるものと確信します。学校現場で動物に触れあう機会を設けること、犬猫の問題(例:「78円の命」 豊橋市)を題材として命の授業に取り組むことを検討すべきですが、見解を求めます。
「78円の命」
○ 豊橋市の小学6年生女子(当時)が書いた作文。2012年10月、スピーチ大会で本人が朗読し、最優秀賞を受賞した。
○ 近所でかわいがっていた野良猫が生んだ子猫が県動物保護管理センターに引き取られたことを知った。インターネットで調べると、動物の殺処分の費用が一匹78円であることを知り、「動物の命の価値が78円でしかないように思えて胸が張り裂けそうになった」「動物とはいえ、人間がかけがえのない命を勝手に奪ってもいいのか」「生き物を飼うことは一つの命に責任を持つことだ」などと綴っている。
○ 豊橋市内の動物愛護団体は「78円の命」と題した絵本作りを進めている。
○ 豊橋市教育委員会も「78円の命」を学校の道徳教育に生かすことを検討している。
①安易に飼い始め、躾の失敗や飼い始めた頃の興味が薄れて飼うことが嫌になった
②転勤やそれまでの借家・賃貸住宅から一戸建てや分譲マンションへの転居等、飼育・生活環境の変化
③主たる飼い主(父親又は祖父等)が死亡し残された家族も介護などの必要がありペットの世話をすることが困難となった
④避妊・去勢等の対応をしておらず、子犬・子猫が生まれた
これらの原因それぞれに対処法が異なると思います
①であればペットショップでの購入時又は譲渡会などでの手続き時に適切に飼育できるかをきちんと精査すること、また飼い始めた後に参加できる講習会やセミナーのようなもので飼い主意識を向上させる事
②であれば、原因を絶つこと自体が難しいため、議員ご提案のように公共施設などでの譲渡会等を推進することが望ましいように思います。
③に分類される類型が今後増加することが考えられますが、こちらも対応は②と同様に譲渡会が望ましいですが、ペットも高齢となっていることが考えられますので譲渡希望者からは積極的に選ばれないことが心配されます。
④についても①と同様に飼い主意識の問題であるため、飼い始めた時に適切に案内することが必要であると思います。なお、動物保護管理センターから譲渡される犬・猫は避妊・去勢済みの個体が譲渡されますので、対応が必要なのはペットショップなどで購入された場合のみです。
最後に、誰もペットを殺したいと思って飼い始めるわけではないと思いますので、飼い始める最初に避妊去勢を推奨し、動物の習性や躾について学ぶ機会を設けるだけでも現状を変える大きな一助になるのではないかと思います。
動物殺処分は人間社会の問題を映し出していると思います。
広く普及啓発に取り組んでいきます。