【行政視察報告書】
江南市議会議員 山 登志浩
視察日:2009年11月18日(水曜日)
視察先:千葉県野田市
視察テーマ:公契約条例について
自治体の入札改革によって、一般競争入札の拡大や総合評価方式の採用などが進められている。しかし、依然として入札制度の多くは、「最小の費用で最大の効果」(地方自治法)を追求し、価格というファクターを最重要視して業者を選ぶ仕組みとなっている。この仕組みのもとでは、自治体はできるだけ安い金額で業者が落札することを期待する。近年、経済情勢の悪化ゆえに価格競争が激化しているため、事業者も仕事を得ることに必死になり、低価格であっても落札している。
そのしわ寄せは、下請け業者や委託業者のもとで働く労働者に及び、不安定かつ低賃金の労働を強いられている。その結果、自治体の仕事を担っていながらまともな生活ができない「官製ワーキングプア(働く貧困層)」を生み出している。
野田市はその現状を直視し、全国初となる公契約条例の制定に踏み切った。「労働基準法や最低賃金法を遵守してさえいれば、あとは事業者と労働者の間の問題だ」という姿勢の自治体が多い中で、公契約条例が官製ワーキングプア問題改善に与える影響は小さくない。条例制定をきっかけにして、原資が税金で雇われている人々をワーキングプアの境遇に貶めることは許されないという意思が自治体に浸透していくことを期待する。
江南市は構造改革宣言、行財政構造改革「集中改革プラン」によって、事務事業の民間委託、民営化を推進してきた。これを全否定するつもりはないが、行政サービスの提供のあり方は市民の利益に直結する。したがって、そこで働く人々の待遇についても十分考慮する方策を検討すべきである。
野田市の公契約条例は、労働者の適正な労働条件を確保することによって、公契約の社会的価値の向上を図り、市民が豊かで安心して暮らすことができる地域社会の実現を目的に掲げている(第1条)。
しかし、野田市が目指すところは、国における公契約法の制定である。本来、労働条件、特に賃金については、ひとつの自治体だけで解決できるものではない(前文)。そのため、野田市は条例制定の数年前から全国市長会を通じて法制定を要望してきた。しかし、国においていまだに法制定の動きが見られない。だからといって現状を見過ごすわけにはいかない、対応が後手に回ってはいけないという思いから、条例制定に踏み切り、国が必要な措置を講ずるよう促した。
これからは地方分権の時代と言われている。自治体に求められるのは、国の法制定や方針を待ってから対応するという受身の姿勢ではなく、明確に法に違反しない限り思い切ったことをやるという積極的姿勢である。地方が国をリードしていくというぐらいの気概をもって行政運営にあたるよう江南市政にも求めたい。
江南市議会議員 山 登志浩
視察日:2009年11月18日(水曜日)
視察先:千葉県野田市
視察テーマ:公契約条例について
自治体の入札改革によって、一般競争入札の拡大や総合評価方式の採用などが進められている。しかし、依然として入札制度の多くは、「最小の費用で最大の効果」(地方自治法)を追求し、価格というファクターを最重要視して業者を選ぶ仕組みとなっている。この仕組みのもとでは、自治体はできるだけ安い金額で業者が落札することを期待する。近年、経済情勢の悪化ゆえに価格競争が激化しているため、事業者も仕事を得ることに必死になり、低価格であっても落札している。
そのしわ寄せは、下請け業者や委託業者のもとで働く労働者に及び、不安定かつ低賃金の労働を強いられている。その結果、自治体の仕事を担っていながらまともな生活ができない「官製ワーキングプア(働く貧困層)」を生み出している。
野田市はその現状を直視し、全国初となる公契約条例の制定に踏み切った。「労働基準法や最低賃金法を遵守してさえいれば、あとは事業者と労働者の間の問題だ」という姿勢の自治体が多い中で、公契約条例が官製ワーキングプア問題改善に与える影響は小さくない。条例制定をきっかけにして、原資が税金で雇われている人々をワーキングプアの境遇に貶めることは許されないという意思が自治体に浸透していくことを期待する。
江南市は構造改革宣言、行財政構造改革「集中改革プラン」によって、事務事業の民間委託、民営化を推進してきた。これを全否定するつもりはないが、行政サービスの提供のあり方は市民の利益に直結する。したがって、そこで働く人々の待遇についても十分考慮する方策を検討すべきである。
野田市の公契約条例は、労働者の適正な労働条件を確保することによって、公契約の社会的価値の向上を図り、市民が豊かで安心して暮らすことができる地域社会の実現を目的に掲げている(第1条)。
しかし、野田市が目指すところは、国における公契約法の制定である。本来、労働条件、特に賃金については、ひとつの自治体だけで解決できるものではない(前文)。そのため、野田市は条例制定の数年前から全国市長会を通じて法制定を要望してきた。しかし、国においていまだに法制定の動きが見られない。だからといって現状を見過ごすわけにはいかない、対応が後手に回ってはいけないという思いから、条例制定に踏み切り、国が必要な措置を講ずるよう促した。
これからは地方分権の時代と言われている。自治体に求められるのは、国の法制定や方針を待ってから対応するという受身の姿勢ではなく、明確に法に違反しない限り思い切ったことをやるという積極的姿勢である。地方が国をリードしていくというぐらいの気概をもって行政運営にあたるよう江南市政にも求めたい。
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