立憲民主党 山としひろ「パワフル日記」

立憲民主党 衆議院富山1区公認内定者
44歳 
人にやさしい政治

年金問題の請願について、賛成2件、反対1件を討論

2012年03月18日 | Weblog

請願第7号「総て(すべて)の高齢者に3.3万円の年金を支給する請願書」 不採択討論

 

 請願第7号「総て(すべて)の高齢者に3.3万円の年金を支給する請願書」について不採択にすべきとの立場から討論を行ないます。

 第一の理由として、財源を確保することが困難だからです。2004年度から2007年度にかけて、基礎年金国庫負担割合が従来の3分の1から、段階的に36.5%に引き上げられました。さらに、国庫負担割合2分の1を実現するためには、36.5%との差額分にあたる2.6兆円以上の巨額の財源を毎年確保しなければなりません。そのため、政府は2009年度から、財政投融資特別会計の剰余金といった臨時財源の活用や、東日本大震災の復興債の補てんで対応してきました。しかし、これも限界となり、新年度においては、消費税増税に道筋をつける年金交付国債の発行を予定しています。

 数年間分の財源の確保すら苦慮している状況にあって、総ての高齢者に基礎年金の半分(3.3万円)を(無条件で)支給するというのは過大な要求であり、容認することはできません。

 第二の理由として、現在の年金制度の土台となっている国民年金(基礎年金)の制度は、保険料で財源を賄うことを柱とした社会保険方式を採用しているからです。基本的に保険料を納めなければ給付が受けられない仕組みですが、支払った保険料額や期間に応じて給付額が決められるため、負担と給付の関係が明確となっています。昨今、少子高齢社会やグローバル化による労働環境の悪化、世界的な景気減退によって、国民年金の制度創設時に想定されなかった問題が生じていることは確かです。しかし、保険料を全く納付してこなかった国民と、厳しい家計をやりくりして保険料を納付し続けてきた国民を同列に扱うことには違和感を覚えます。また、毎年度引き上げられている年金保険料を支払っている現役世代に新たな負担を求めることにもつながります。

 国民年金の制度は、政府と国民(被保険者・受給者)との間で相当期間、継続してきた契約です。請願の要求は、契約内容を根底から覆す内容であり、国民全体の合意が得られるとは思えません。

 抜本的な解決策としては、国民的議論と合意を得た上で、早期に最低保障年金などの新たな制度を導入すること以外に考えられません。

 無収入や低所得の高齢者の生活保障については、現行の年金制度だけに解決策を求めるのではなく、福祉・介護・医療など社会保障制度全般を視野に入れて対応すべきです。

 以上のことから、請願を不採択としたいと考えます。議員各位のご賛同をよろしくお願いします。

 

請願第8号「年金2.5%の削減をやめる請願書」 採択討論

 

 請願第8号「年金2.5%の削減をやめる請願書」について採択すべきとの立場から討論を行ないます。

 政府は2月10日、「国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案」を提出しています。その主な内容は2つあり、「基礎年金国庫負担2分の1関係」と「特例水準の解消関係」です。

 特例水準の解消については、1999年度から2001年度までの間に、物価が下落したにもかかわらず、年金額を特例的に据え置いた影響で、法律が本来想定している水準(本来水準)よりも、2.5%高い水準となっているものを2012年度から3年間で解消しようというものです。

 特例水準が設けられた当時、「いずれ物価や賃金が上昇した際、本来水準との差額分を相殺すればよい」と考えられていましたが、賃金や物価の下落傾向に歯止めがかかりませんでした。そのため、特例水準の存在により、本来の給付水準に比べて給付増となっている分については、現役世代などに負担が転嫁されています。そのため、世代間の公平を図る観点から、2.5%分の年金を削減すべきとの主張に道理があると言えなくもありません。

 しかし、国民年金法改正案には、これまで年金と連動して同じスライド措置が取られてきた児童扶養手当、特別児童扶養手当、障害児福祉手当、被爆者の健康管理手当などの特例水準(1.7%)の解消する内容もあわせて盛り込まれています。すなわち、年金受給者だけなく、ひとり親家庭、障害者や原爆被爆者にも影響が及ぶことから、慎重な対応が求められます。

 また、いずれの特例水準も、新年度から3年間で一気に解消することとされており、相対的に所得が少ない高齢者には厳しい措置といえます。

 もっとも、社民党は基礎年金国庫負担を2分の1に引き上げる財源として消費税の増税分をあてるのは認められないという立場から、法案そのものに反対しています。請願内容は法案反対を前提にしたものであることから、採択することはやむを得ないと考えます。

  

請願第9号「年金支給年齢の引き上げをやめる請願書」 採択討論

 

 請願第9号「年金支給年齢の引き上げをやめる請願書」について採択すべきとの立場から討論を行ないます。

 今日、超少子高齢社会が現実のものとなり、長期的に持続可能な年金制度を運用していくためには、抜本的な年金改革が求められます。平均寿命が世界トップレベルである我が国においては、年金の支給開始年齢の引き上げが改革の一つの選択肢となり得るという主張にも一定の理解ができます。

 だだし、60歳代の人々が年金を受給するまでの間、働き続けることができるようにすることが大前提です。残念ながら、現状では一律の定年延長が企業や官公庁に法的に義務付けられておらず、働くことを希望しても必ずしもかなわない状況となっています。

 厚生労働省の調査「高年齢者の雇用状況」によると、昨年6月1日現在、「希望者全員が65歳まで働ける企業」の割合は47.9%で、全体の半数以下にとどまっています。さらに、70歳以上の雇用を確保している企業の割合は17.6%に過ぎず、裏を返せば、70歳まで働けない企業が8割に上ります。

 総務省「労働力調査」をみても、65歳から69歳の労働力率は、2010年時点で男性が48.9%、女性が27.4%と、男女とも、60歳から64歳の労働力率の6割程度にとどまっています。

 働いて十分な所得を得る機会が確保されない中で、財政が厳しいことを理由に安易に年金の支給開始年齢を引き上げると、60歳代の人々の生活破たんを招きかねません。厚生労働省「国民生活基礎調査」によると、65歳以上の高齢者世帯の世帯所得のうち年金の占める割合が約7割、所得が年金のみの高齢者世帯の割合が約6割という家計の実態を踏まえて、慎重な対応が求められます。

 仮に、支給開始年齢を引き上げるにしても、欧米の事例に学び、高齢者の生活設計が急に狂わないよう引き上げ決定から実施まで十分な期間を設けるという配慮しなければなりません。

 さらに、高齢者の雇用拡大が、私たち若者の雇用や賃金相場に与える影響についても、十分な検討が必要です。

 よって、請願を採択することはやむを得ないと考えます。

 議員各位のご賛同をよろしくお願いします。

 


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