去る1月29日、千葉県習志野市役所を訪問し、視察を行いました。経費は政務活動費から支出しましたので、報告書をアップします。ご一読いただければ幸いです。ご意見・ご質問がありましたら、よろしくお願いします。
行政視察報告書
江南市議会議員 山 登志浩
2014年1月29日(金曜日)、千葉県習志野市役所で「地域担当制」について視察を行った。市民経済部協働まちづくり課長の花澤光太郎氏、同課係長の仁王俊明氏から概略をご説明いただき、質疑応答を行った。地域担当制についての要旨・特記事項と所感は以下の通り。
要旨・特記事項
○ 地域担当制は昭和43年8月1日に発足し、現在に至るまで40年以上続いている。通常業務とは別に、市職員を一定の地域(小学校区を中心に16ヶ所)に担当者として配置している。市民との対話・交流を通じて、より広く市民の意向を市政に反映させ、職員の意識改革を促し、「市民本位のまちづくり」を目指している。
○ 職員採用時の配属地域でずっと活動を続けることが原則。地域に根差した活動を行い、顔の見える行政を目指している。職務として有給で対応しているが、負担になるほどの仕事量ではない(仕事全体の10%に満たない)。なお、平成24年度の時間外手当(管理職を除く)の支給実績は、341人に769時間分、約194万円であった。
○ 「まちづくり会議」は、地域住民の意思によって、自発的に設置された任意の組織。地域の各種団体の代表者や地域担当職員などによって構成されている。地域における意見や要望などを直接市政に反映させる場としての役割を担っている。
○ まちづくり会議からの要望は、地域担当職員を通じて担当部局へ伝えられ、後日まちづくり会議に回答がなされる。
○ 生活に密着した要望が多く、要望の半数以上が、道路関係(維持管理・改善など)で占められている。ただし、要望に対して、特別枠の予算を確保しているわけではない。現年度あるいは次年度以降の通常予算の範疇で対応している。
○ 課題は、まちづくり会議の構成メンバーなどの高齢化。人材育成の必要性を感じている。最近、地元の大学が主導するかたちで、学生が地域活動に参加する動きが見られる。長年蒔いてきた種が芽を出すようになってきた。
所感
(1)
自治体行政の運営には多くの困難な課題が立ちはだかっており、行政主導で何もかも解決することはできない。そこで、「市民協働」のまちづくりの必要性が叫ばれている。
市民協働の成否は、市民と行政の距離をどれだけ縮められるかにかかっている。その点、習志野市においては高度経済成長期の頃から、地域担当制を発足させ、地域との信頼関係の構築に腐心してきた。
自治体は市民生活に密着した市民サービスを提供している。だからこそ、市民が何を求めているのかを把握するため、職員が積極的に現場に飛び込んでいかなければならない。職員の汗をかく姿を見て、市政に対する市民の理解が広がっていき、まちづくりへの参画が進むことが期待される。
江南市においても、ぜひ習志野市の地域担当制の取り組みを参考として、市民との日常的な接触の機会を増やしていただきたい。
(2)
上記(1)と関連するが、まちづくりを担う人材の高齢化やメンバーの固定化は、悩ましい課題である。背景として、政策を議論し決定する場に若者がおらず、自治体行政に若者の声を生かすという姿勢が乏しいことが考えられる。
江南市は新年度より地元の愛知江南短期大学との連携強化を図ることとしており、その動きを注視していきたい。
(3)
まちづくり会議から出された要望については、地域担当職員が直接回答するほか、習志野市ホームページに一覧が公開されている。自治体への要望について、市民や自治会からは「要望した(つもりな)のに返事がない」「いつまでたってもやってもらえない」といった不満の声が少なからず聞かれる。
緊急性を要するものに即応するのは当然だが、市民は必ずしも「満額回答」を要求しているわけではない。要望に対していかに誠実に対応したのか、その過程を分かりやすく示すことで、おおむね納得が得られるだろう。
江南市においては、各自治会に要望に対する進捗状況をお知らせしているが、さらに一歩進んでホームページで全ての要望事項を公開すべきである。