【一般質問】 住民票の写し等の第三者交付に係る本人通知制度について
質問1
「独立行政法人日本学生支援機構」からの第三者請求の実態について説明を求めます。
質問2
現在のところ、自分の住民票の写し等が第三者請求、交付されたのかを知るすべがあるのかどうか、説明を求めます。
質問3
「プライム事件」では、全国で1万件もの住民票の写し等の不正取得が判明し、社会に大きな衝撃を与えました。江南市に対しても司法書士の職務上請求書を使って14件の請求が行われたことが、関係者の情報公開請求により明らかになっています。
効果的な不正請求・取得の防止対策は喫緊の課題です。個人情報保護と自己情報コントロール権の確立のため、事前登録型本人通知制度をぜひ導入していただきたいですが、見解を求めます。
【メモ】
○ 個人情報の大量不正取得事件
・ 自治体、警察、ハローワーク、運輸局、携帯電話ショップ、電力会社、ガス会社などから個人情報が大量に不正取得される事案が相次いだ。探偵業者が、士業や内部の協力者を通じて犯行に及んでいた
・ プライム事件:愛知県警捜査員(暴力団捜査担当)の戸籍謄本や住民票が不正に取得された事件。司法書士の職務上請求書を偽造していた。
・ 不正に取得された個人情報によって、脅迫やストーカーなどの犯罪が発生している。先日は、逗子市でストーカーによる殺人事件も発生しており、個人情報が命に関わる問題に直結する。戸籍、住民票が結婚相手の身元調査に使われている。
○ 江南市への不正な第三者請求
・ 情報公開の結果、プライム事件関連で14件(県内では570件)、ベルリサーチ事件関連で5件(440件)の不正な請求が行なわれたことが判明した。
○ 住民票の写し等の第三者交付
・ 自己の権利行使、義務履行のために記載事項を確認する必要がある場合。
・ 国や地方自治体の機関に提出する必要がある場合。
○ 住民票の写し等の第三者交付に係る本人通知制度
・ 住民票(本籍・国籍・地域入り)の写し、戸籍謄本・抄本、戸籍附票の写し等を、代理人や第三者に交付した場合、事前に登録した本人に交付したことを知らせる制度。
・ 目的
① 不正請求及び不正取得の防止(不正請求の早期発見につながり、個人情報の不正利用防止や事実関係の早期究明が期待できる。)
② 不正請求の抑止(制度があることにより不正が発覚する可能性が高まるので、不正請求を躊躇させる効果が期待できる。)
・ 県内の実施自治体:名古屋市、豊田市、豊川市、東海市、あま市、津島市、知立市、扶桑町、大治町(9自治体)
・ 全国379自治体で実施(被害告知型を含む)
・ 戸籍法、住民基本台帳法に基づく制度ではない。
・ 強制執行や財産保全などでの国民の正当な権利行使が妨げられるとの指摘があるが、実際に問題が発生したとの報告はない。
○ 「独立行政法人日本学生支援機構」奨学金問題
・ 安城市民の相談例:大学在学中、日本学生支援機構から奨学金を借りた。卒業後、親が返済を行なっており、一度も延滞したことはなかった。ある日、(すでに実家を離れている)子の転出先に同機構から郵便物が届いた。なぜ転出先を知っているのかを問い合わせたところ、実家に郵便物を送っても届かなかったので、第三者交付請求で安城市から子の住民票を取得していたことが判明した。
○ 問題の背景
・ 個人情報の売買がビジネスとして成り立っていたのは、身元調査などのため、個人情報を求める者が少なからずいたからである。
・ 個人情報の不正取得や漏洩を防止するために、自治体や企業が管理体制を強化すること、担当者の倫理意識を高めることは不可欠である。しかし、どれだけ厳しい対策を講じても、市民の意識を改めなければ問題はなくならない。
・ 愛知県「平成24年度 人権に関する県民意識調査の結果について」(3月19日発表)⇒「家柄・血筋」に関して、「結婚相手を決めるとき、家柄とか血筋を問題にする風習」「結婚にあたり、家柄や家族状況を調べること(聞き合わせ)」「企業が採用選考のとき身元調査をすること」について、どう思うかをたずねた。「当然だと思う」「おかしいと思うが、自分だけが反対しても仕方がないと思う」との回答が、差別を否定する回答を上回った。さらに10年前、5年前の調査よりも、差別を容認する回答の割合が高くなっている。