一般質問 ネット(スマートフォン)依存症対策について
質問要旨1
子ども(小中学生)のスマートフォン(通話機能付きの小型パソコンと理解すべき。新型携帯電話ではない)や携帯電話(ケータイ)の所持、ネット接続の実態について把握していますか。学校においてはどのような教育を行ってきましたか。
質問要旨2
子どもをネットにアクセスさせない、スマホやケータイを持たせないという対応は、現実的に難しく逆効果になることもあり、適切ではありません。ネットやスマホのメリットを生かす方向で、うまく付き合う方法を考えていかなければなりません。
最近子どものネット依存(スマホ依存)の深刻な実態が伝えられていることをどのように受け止めますか。
学校の役割、保護者の役割、保護者や関係機関との連携強化についての所見をうかがいます。
【メモ】
○ 質問のポイント
・ 子どものスマホ所持の急増が、ネット依存の増加に拍車をかけていることを踏まえ、対策を講ずる必要がある。
・ スマホを取り上げても、根本的解決にはつながらない。早期発見と適切なアドバイス、家族の協力がかみあえば深刻化するのをかなり防げる。
・ 親への啓発や家庭でのルール作り、学校での呼びかけ、学校や保健所のカウンセラーの研修、対応できる医療機関の拡充に取り組む必要がある。
○ 子ども携帯電話の所持率
・ 小6 24.3% 中1 42.3% 中2 49.8% 中3 48.6%(ベネッセ 2012年調査)
・ 携帯電話を持つ中学生のうち、約25%がスマホを所持している(内閣府 2012年11月調査)。すなわち、中学生全体の約1割以上がスマホを所持しており、今後も増え続ける可能性が高い。
○ ネット依存
・ 使用時間を減らすことができない、やめようとしてもやめられない。
・ 自分の意思で利用をコントロールすることが難しくなったり、ネットをしていないと不安でイライラして日常生活に支障をきたしたりするような状態。
・ 健康への影響として、睡眠障害、抑うつ症状、栄養失調、エコノミークラス症候群、引きこもりがちになり骨量や筋力が低下すること。
・ 症状が深刻化すると、生活が昼夜逆転して不登校になり、本人の健康や人生設計、家族関係が崩壊する場合がある。
・ ネット依存の中学生は6%、高校生は9.4%で、推計51.8万人に上る(厚生労働省 2013年8月調査)。大人のネット依存率は約2%なので4倍も高い。
・ 平日で5時間以上使用しているのは、高校生女子は15%、高校生男子が14%。中学生は男女とも9%。
・ これまではパソコンやケータイでしかネットに接続できなかったが、スマホは外出先やベッドの中などで四六時中利用できるため、ネット依存に陥りやすい。
・ 無料通話アプリLINEはグループ間の連絡に使われるなど、インフラ化している。一方、「既読」が表示されるので、いったんトークが始まるとなかなかやめられない。いじめの原因になっている。
・ 若者はネットを自在に操っているようで、実はネットにのみこまれている。
・ バーチャルの世界で友達が増えたり、注目されたりしても、現実の人間関係は希薄である。子どもを取り巻く家庭環境や友人関係に問題があり、社会の生きづらさが原因で、ネット世界に逃げ込んでいるとも考えられる。
○ 親・家庭の役割
・ ネットやスマホの危険性を知る。
・ 利用方法について話し合い、ルールを作る。親のお金を使っていることを意識させる、利用時間を区切る、充電は居間で行う、新しいアプリをダウンロードする時は話し合う………
○ ネット依存以外の問題点
・ スマホはケータイとは違い、本体にフィルタリングをかけるだけでは不十分である。
・ 「コンプガチャ」に代表されるソーシャルゲームやオンラインゲームや、インターネットショッピングで多額のお金をつぎ込むが社会問題となっている。
・ 保護者がケータイやスマホの利用ルールを決めていると考えていても、子どもは必ずしもルールとして認識していない。
○ 内閣府「子どもの安全に関する世論調査」(9月7日発表)
・ スマートフォンを利用することについての不安
- 「感じる」 46.9% 「どちらかといえば感じる」 25.5%
・ 不安の内容(上位2項目)
- 「他者とのトラブルや犯罪被害に巻き込まれるおそれが高くなること」
- 「ネット上で子どもに悪影響を与える情報を閲覧するおそれが高くなること」
○ スマホの歴史
・ 最近、急に出現したわけではない。
・ 1990年代後半、カナダでブラックベリーという製品が発売され、2000年代半ばからアメリカのビジネスマンを中心として、広く用いられている。
・ 日本で評判になったのは、2007年、スティーブ・ジョブズがiPhoneを売り出してから。