最高裁で婚外子相続差別について違憲判決が出されたことを受け、早速、社民党が談話を発表しました。
政府は一刻も早く、民法の相続規定を改めるべきです。これ以上、婚外子の当事者を苦しませてはいけません。同時に、選択的夫婦別姓の導入も認める改正を行うべきです。
2013年9月4日
婚外子相続差別訴訟の最高裁違憲判決を受けて(談話)
社会民主党 党首代行・幹事長
又市 征治
1.本日、最高裁大法廷は、結婚していない男女間の子ども(婚外子)の遺産相続分を法律婚の男女間の子の半分と定めた民法規定について、法の下の平等に反する 「憲法違反」との初判断を下した。これは、1995年の大法廷以降踏襲されてきた合憲判断を覆す画期的な判決である。出生時の環境によって何の責任もない子どもの価値を決め格差をつけることは許されないという司法の判断は当然であり、重く受け止めて早急な法改正に臨みたい。
2.2003年以降、最高裁は「極めて違憲の疑いが濃い」として立法府に法改正を促し、2011年の大阪高裁でも「区別を放置することは立法府の裁量判断の限界を超えている」と厳しい指摘がされてきた。社民党は、以前から「民法改正法案」を超党派の議員立法で何度も提出し成立に向けて努力してきた。しかし政府は、1996年に法務大臣の諮問機関である法制審議会から民法改正案の答申を受けながら、自民党などの強い反対によって改正法案を提出しないまま放置してきた。法改正の必要性を促されながら、本日の「違憲」判決に至ったことは、立法府の不作為であり、政府・与党は猛省すべきだ。
3.この民法規定は、法律婚を重視するとした100年以上も前の「明治民法」を引き継いだ時代錯誤のものである。いまや主要先進国でこの規定が残るのは日本だけであり、日本も批准している「子どもの権利条約」や「自由権規約」「女性差別撤廃条約」などに反し、国連人権機関から婚外子の相続格差を是正するよう再三の勧告を受けている。社会情勢が複雑化し、ライフスタイルや結婚観の多様化、結婚したくてもできない事情を抱えるケースなどによって婚外子は増加している。政府には、この「違憲」判決を真摯に受け止めて直ちに民法改正に着手するとともに、相続格差以外の婚外子差別の是正にも努めるよう強く求める。
4.婚外子の当事者の苦しみや不利益を一刻も早く解消しなければならない。社民党は次期臨時国会において、先の通常国会でたな晒しのまま廃案になった「民法改正法案」の再提出・成立を追求する。また、一人ひとりの人権を守り、平等と自由を保障するために、選択的夫婦別姓制度の導入、再婚禁止期間の見直しなどの民法改正の実現にも尽力していく。
以上