【一般質問 原稿】 学校における諸問題について
就学援助制度
質問1:公立小中学校の学校徴収費(給食費を除く)の年間納入額はいくらですか ?
質問2:今年度の要保護・準要保護就学援助費の執行状況(人数、金額、受給率)とその傾向(過年度との比較、前年同期比など)について簡潔に説明してください。
準要保護の認定基準がいくつかあります。そのひとつに、「地方税法に基づく個人の事業税の減免、市町村民税の非課税・減免又は固定資産税の減免並びに国民健康保険法に基づく保険税の減免・徴収の猶予」とあります。しかし、地方税は前年度所得をもとに課税するかどうか判断されます。そのため、たとえ現に失業して収入が絶たれている人であっても、市民税などが減免の対象とならないことがあります。また、時期・タイミングが悪いと、前々年度の所得が基準とされるケースもあるでしょう。そうすると、就学援助を受けられるかどうか懸念されます。
質問3:年度途中で申請がなされるケースはどれくらいありますか?また、その理由にはどのようなものがありますか?
質問4:やむにやまれず職を失うなどして家計が急変した保護者への対応について見解を求めます。また、生活保護制度など他のセーフティネットとの関連もあり対応が難しい場合もありますが、認定基準のひとつにあげられている「その他経済的理由」について柔軟に運用すべきではないでしょうか?
質問5:認定基準のひとつに、「児童扶養手当法に基づく児童扶養手当ての支給」とありますが、子育て支援課との連携についてはどのようになっていますか?
昨年9月定例会でも一般質問したように、就学援助制度を必要とする人に利用してもらうには、周知徹底を図るしかありません。
質問6:岩倉市のホームページのように、就学援助の申請用紙と記入例をダウンロードできるようにしたらどうでしょうか?
モンスターペアレント
「モンスターペアレント」とは、小学校教員を経て現在は日本教育技術学会会長の向山洋一さんが名づけた和製英語です。
「うちの子の成績を上げて。」
「台風でも仕事を休めないし、うちは共働きだから保健室で子どもを預かってほしい。」
「運動会でのピストルの音や音楽がうるさい。中止して。」
「子どもが病気で休んだ間の給食費を返却してほしい。」
こんな要求を学校にねじこむ、昼夜を問わず教員の自宅に電話をかける、といったモンスターペアレントが全国的に出現し問題となっています。
質問7:近年、保護者からの理不尽な要求やクレームの実態はどのようになっていますか?また、全国的にこうした問題が広がっていることについてどのように認識していますか?
親を妖怪視することはおだやかではありません。しかし、全国にはモンスターペアレントにより自殺という悲惨な結果を招いたと思われる事案があります。2002年、埼玉県狭山市立保育所長(女性)が、園児同士のけんかで軽いけがをした両親から4か月にわたりつきっきりの保育を命じられ、苦情を言い続けられたあげくに、保育所の対応を批判する内容証明郵便を送りつけられたことなどにより、うつ病を発症し、自らの命を絶ちました。
また2006年、東京都新宿区立の新任教師(女性)が「無責任な私をお許しください。すべて私の無能さが原因です」という遺書を残し、自殺しました。彼女は死の数日前、親しい友人らに宿題の出し方に不満を持つ親から執拗な抗議を受けていると打ち明けていました。クラスと家庭を結ぶ連絡帳にはこの親からの苦情がびっしりと書き込まれ、「あなたは結婚や子育てをしていないから経験が乏しいのではないか」などと人格攻撃をも受け、一人悩み苦しみ抜いた末に死を選んでしまいました。
こうした事案に象徴されるように、現場の教員は大変頭を痛めています。
2007年ごろからモンスターペアレント対策に乗り出す自治体が増えています。教育委員会が対応のためのマニュアルを作成したり、地域に「学校問題解決支援チーム」をつくったりするなどさまざまな取り組みがなされています。中でもトップを切って注目を集めたのは、東京都港区教育委員会の「学校法律相談制度」です。かつては、子ども同士のけんかでケガをしても、親同士の話し合いで解決できました。しかし、今では学校外でのけんかであっても、学校が責任を問われます。このため、慰謝料など法的な事項が絡んだ場合に、校長などが弁護士の指導・助言を受けることができる制度です。
質問8:保護者からの理不尽な要求やクレームへの対処に関して、当該教職員への相談、支援体制(メンタルケアを含む)はどのようになっていますか?また、管理職(校長、教頭)、教育委員会が連携して組織的な対応を確立する、あるいは外部機関に相談すべきですが、見解を求めます。
一部の保護者の理不尽な要求やクレームへの対応はもちろん必要です。しかし、モンスターペアレントという「言葉」が独り歩きし、保護者と学校の分断を激しくし、保護者の教育への参加や発言・行動を封じることにつながらないか危惧されます。
保護者から寄せられる声の中には、子どもの学校生活を向上させ、質の高い教育活動を展開する上で重要な示唆を含んでいるものがたくさんあります。多くの常識ある保護者はモンスターペアレントに迷惑を被っており、ごく一部のモンスターペアレントに名を借りて、保護者全体が悪くなっているかの論調で、保護者の発言を封じることにならないよう注意する必要があります。
質問10:学校の教育活動のへの質的向上、信頼向上のためには、保護者とどのように関わっていくことが大切であると考えていますか?
教員の過重労働とメンタルケア
モンスターペアレントへの対応に時間が割かれて、子どもと過ごす大切な時間が奪われていることは事実です。しかし、それ以前に、教員は多忙な日々を送っています。
文部科学省は2006年に「教員勤務実態調査」を40年ぶりに実施しました(2007年5月発表)。それによると、1日の平均勤務時間が、小学校教員で10時間28分、中学校教員で11時間8分となっており、1日平均2時間以上の残業をこなしています。また40年前と比べると、小学校で2時間33分、中学校で3時間9分それぞれ勤務時間が長くなっています。
問題は勤務時間の中身の変化です。この40年間で教員が減らさざるを得なかった時間は、授業の準備時間(1日1時間程度)と休憩時間でした。休憩時間にいたってはほとんど取れていない状況(10分程度)です。
逆に増えた時間は、授業時間と事務です。特に事務についてはこの40年間で倍増し、勤務時間の2割弱が事務にかかる時間で占められています。こうしたことから、9割もの教員が「子どもと接する時間が欲しい」と望んでいます。勉強を教えることはもとより、いじめや不登校などの生徒指導のどれをとっても子どもとの対話が求められる職業であるにもかかわらず、なかなか子どもと接してばかりいられないのが現状です。教員個人の資質だけに目を向けても、教員の勤務実態のありようは見えてきません。
質問11:一般教員の一日あたりの平均勤務時間(校務文書作成事務、会議、課外活動、持ち帰り業務など一切を含む)、超過勤務・長時間労働の実態について、どのように把握していますか?
質問13:有給休暇の取得状況はどのようになっていますか?
質問14:文部科学省の調査などから明らかになっている、教員の勤務実態(特に恒常的な超過勤務・長時間労働)をどのように受け止めているのか見解を求めます。
教員の負担を裏付ける数字が出ています。精神性疾患による休職者は2005年には1993年の4倍に達しました。当時の伊吹文部科学大臣も「忙しいのが原因」と国会答弁しています。2007年12月に発表された文部科学省の「公立学校調査」でも、2006年の病気休職者は、公立小・中・高等学校などの教員7,655人(前年度比638人増)に上り、うちうつ病などの精神性疾患は4,675人(前年度比497人)で61%を占めました。いずれも過去最高です。特に、精神性疾患による休職者は14年連続の増加となっています。これについて、文部科学省でさえ、仕事の多忙さ、複雑さに加えて、保護者や同僚との人間関係など職場環境が厳しくなっていることが背景にあり、対策を急ぎたいと述べています。
質問15:ここ数年間で、病気や自殺で現職教員が亡くなったという事案はありますか?
質問16:病休取得者数及び精神疾患による病休取得者数、並びに病気休職者数及び精神疾患による病気休職者数の推移やその原因をどのように把握していますか?
質問17:市教育委員会では、精神性疾患の教員にどのようなサポートをして、その克服を支援していますか?
全国的に教職員の病気休職者が増えている中で、労働安全衛生法が改正され、2008年までに完全施行されました。
週40時間を超える労働が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められるときは、労働者の申し出を受けて、医師による面接指導を行わなければいけません。また、週40時間を超える労働が1月あたり100時間を超えた労働者及び2~6か月間の平均で1月80時間を超えた労働者全てに面接時指導を実施するなどの努力義務が課せられています。そもそも法的に「時間外労働」という概念がなかった学校現場でこれをどのように実践していくかが問われています。
質問18:教育委員会として、超過勤務解消に向けてどのような改善策を検討していきますか?また、その前提として労働時間の把握や産業医の配置を要望します。