書籍案内『ここまでわかった 徳江製糸場』
富岡製糸場世界遺産伝道師協会調査研究奨励事業の採択を受け発刊された図書を紹介します。
徳江製糸場はかつて伊勢崎市曲輪町に立地し、地元では「丸窓の製糸場」と呼ばれ、戦前において当地域を代表する製糸場でしたが、昭和6(1931)年の事業閉鎖以降約90年を経過した現在では、当時の様子を知る人もなく、伝える資料等も限られたことから、その実態については明らかにされていませんでした。
近年の研究成果としては令和3年1月に「徳江製糸所の研究~新訳・徳江八郎伝~」としてまとめましたが、その後、令和3・4年度「絹ラボ」事業の支援を受けての研究が進み、これ等を通じて徳江製糸場の創業から終焉迄の約半世紀にわたる経営実態等を明らかとすることができました。
研究の成果として、徳江製糸場は「戦前において富岡製糸場に次ぐ歴史を有し、一貫して輸出用の優等糸や高格糸を生産した伊勢崎・佐波地域を代表する製糸工場」であったことが示されました。
本書は写真や図表等を多く取り入れることで研究成果の一部を分かり易くまとめ、地域の絹産業の実態を多くの人に伝えることを目的に発行されました。
『ここまでわかった! 徳江製糸場』目次
はじめに
1.徳江八郎と徳江製糸場
2.戦前における伊勢崎・佐波地域の製糸業
3.『徳江製糸場繪葉書』を読む
4.徳江製糸場施設の変遷
4-1.建物配置の基本構成
4-2.繰糸場と繰糸器械
4-3.煮繭場と煮繭機
4-4.繭関連建物と繭乾燥機
4-5.製糸場施設の変遷
5.製糸場工女の実態
6.製糸場の経営実態
6-1.株式会社設立以前の経営
6-2.株式会社徳江製糸場の設立
6-3.購入繭の生産地
6-4.株式会社設立以後の経営
結びに ~絹遺産を伝承する~
(書籍体裁:A5判、本文88P、モノクロ、ガンダレ製本、マットPP加工、令和5年1月23日発行、著者・発行 笠原実)