富岡製糸場世界遺産伝道師協会 世界遺産情報

「富岡製糸場と絹産業遺産群」は日本で初めての近代産業遺産として2014年6月25日付でユネスコ世界遺産に登録されました。

中島 知久平邸が公開されます。

2013年03月12日 22時39分49秒 | 世界遺産伝道師協会

普段非公開の中島知久平邸が太田市の計らいで公開されます。

 

3月17日(土)18日(日)所在地は太田市押切町1417です。

問い合わせ先 群馬県太田市教育委員会文化財保護課

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「建築WG」第4回勉強会(現地)報告(養蚕農家をどう見るか)

2013年03月12日 22時20分25秒 | 世界遺産伝道師協会

「建築WG」第4回勉強会(現地)報告 

 

今年度は、村田敬一先生を講師に迎え、3回の座学を行ってきました。今回はそれを土台に、時代の変遷とともに民家が建築学的に変わっていく様子・特徴を実際に3か所の民家(阿久沢家住宅、旧関根家住宅、高山社跡)を見て回り勉強するというものです。

 3月5日(火)9時、前橋市新堀町の駐車場から講師の村田敬一先生、近藤会長を始め17名が4台に分乗して出発しました。

 見学に先立ち先生から「民家見学資料」が配付されました。3民家について、民家史からの観点として平面型、規模(階数)、土台、建具、大黒柱・釜・袖摺柱、柱間隔・差鴨居・普通鴨居、天井・床、2階床の出梁・軒船、客間2間の柱内法、屋根形式・葺材・グシ、閉鎖性(壁の多さ)・全体の立ちの項目が挙げてあります。また、養蚕からの観点として総2階、天窓、欄間、縁側・土庇、2階天井、床下・天井・屋根面の換気、火炉(仕様・火力)、養蚕の場・生活の場、上蔟の場、蚕の飼育等(棚飼い・条桑育・飼育回数・収繭量、桑園等)の項目が挙げてあります。回った民家で先生の説明を聞きながら各欄に記入できるようになっています。

 最初に前橋市柏倉町の「阿久沢家住宅」を訪ねました。17世紀末の建造で名主等を務めた旧家です。平家建、寄棟造、茅葺。先生の外観の説明で棟の「クレグシ」についても理解できました。芝土を載せた棟の納め方で、アヤメやユリを植えることにより、その根が棟を固める役目をするということです。屋根の手入れが悪いために雑草が生えたわけではないのです。

家屋面積の約半分が土間です。大黒柱等は4面ともチョウナで仕上げています。板敷の「ザシキ」、畳敷きの「コザ」、板敷の「ナンド」からなる3間取り型です。阿久沢家が裕福な階層だったといえるそうです。客間であるコザにだけは天井があります。しかし床の間はまだ設けられていません。

ナンド(オク)は寝間であり、出産・湯灌などにも使われる大事な部屋なので出入り口以外は土壁でふさがれた部屋となっているのだそうです。民家の年代判定は柱と柱の間の内法(うちのり)寸法で分り、12.0尺が江戸と明治の境だそうで、12尺より大きくなるほど古い年代だそうです。先生は持参の巻尺で実際に測って、12.05尺なので江戸時代の建造であることを証明されました。その他細部に亘って説明され興味津々の参加者でした。

 続いて大室公園の一角にある旧関根家住宅に向かいました。冬季の平日は閉鎖しているのですが民家園保存会の会長に前もって連絡し開けていただきました。この住宅は前橋市飯土井町から移築復元したものです。1838(天保9)年頃の建造の赤城型民家です。屋根は茅葺、棟はクレグシです。1階は表に8畳2間、裏に6畳2間の田の字型間取りです。座敷、ナンド共に床の間を備えています。

小屋組は、2本一組の合掌型の斜材を梁または桁で受ける三角形の扠首(さす)組で、とても優れものだそうです。扠の勾配は矩(かね)勾配といわれる45度です。いわゆるトラスは日本にも昔からあったのだと先生は説明されました。また長押で固めるのでスジカイがいらないのだそうです。見た目は総2階ですが全体を使わず、部分的に使っています。使っている部分が少ないほど年代が古いようです。

 旧関根家を辞して途中の大型店で揃って昼食を摂り、高山社跡に向かいました。藤岡市教委の寺内さんと高山社を考える会の解説当番の方が迎えてくれました。

 主家は木造2階建、切妻、瓦葺で3つの天窓が載っています。主家は船(せがい)造になっています。普通は出し梁造とセットになっているのだそうです。ほとんど同じ構造の町田菊次郎住宅には船はありません。復元というのは難しい問題で当初がどうだったかの判断が難しい、増築等の年代が決まればその時点での復元というのも有りうるとの先生の説明です。高山社は幕末の田島弥平旧宅から時代が下っている分進歩があるそうです。それは炉の使用、欄間の発達、床下換気孔等です。また、2階の天井をスノコ天井にしてその上の階も利用しようと屋根裏まで意識しています。高山社の一番の特徴は、3階の天井裏にさらに換気窓を設けていることだといいます。先生は高山社の造りは繭の製造工場であると表現されます。

また先生は「養蚕法」の第3章「蚕室」の項を分りやすくまとめた資料を配付、丁寧に説明されました。その中心になる教えは「蚕を飼うのはなるべく乾燥する所が第一」ということでした。

 高山社跡を見学後、200m西方にある高山長五郎の墓をお参りして勉強会の締めくくりとしました。

 村田先生にはお忙しい中を4回に亘りご指導いただき深く感謝いたします。参加の皆さん、中身の濃い勉強会でお疲れ様でした。

来年度は、5回程度の活動を予定しています。内容は世界遺産となる予定の建物の建築学的な見方のガイド資料作成等、参加メンバーの皆さんが知恵を出し合って楽しいWGになることを願っています。指導は引き続き村田先生が引き受けてくださいます。

多くの方々の参加をお待ちしています。 

        

 (Y.I 記)

 

 

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