すぎもとまさと
吉幾三
吉幾三
研ナオコ
マッチを擦れば おろしが吹いて
線香がやけに つき難(にく)い
さらさら揺れる 吾亦紅
ふと あなたの 吐息のようで・・・
盆の休みに 帰れなかった
俺の杜撰(ずさん)さ 嘆いているか
あなたに あなたに 謝りたくて
仕事に名を借りた ご無沙汰
あなたに あなたに 謝りたくて
山裾の秋 ひとり会いにきた
ただ あなたに 謝りたくて・・・
小さな町に 嫁いで生きて
ここしか知らない 人だった・・・
それでも母を 生ききった
俺, あなたが 羨ましいよ・・・
今はいとこが 住んでる家に
昔みたいに 灯がともる
あなたは あなたは 家族も遠く
気強く寂しさを 堪(こら)えた
あなたの あなたの 見せない疵(きず)が
身にしみていく やっと手が届く
ばか野郎と なじってくれよ
親のことなど気遣う暇に
後で恥じない 自分を生きろ
あなたの あなたの 形見の言葉
守れた試しさえ ないけど
あなたに あなたに 威張ってみたい
来月で俺 離婚するんだよ
そう, はじめて 自分を生きる
あなたに あなたに 見ていて欲しい
髪に白髪が 混じり始めても
俺, 死ぬまで あなたの子供・・・
線香がやけに つき難(にく)い
さらさら揺れる 吾亦紅
ふと あなたの 吐息のようで・・・
盆の休みに 帰れなかった
俺の杜撰(ずさん)さ 嘆いているか
あなたに あなたに 謝りたくて
仕事に名を借りた ご無沙汰
あなたに あなたに 謝りたくて
山裾の秋 ひとり会いにきた
ただ あなたに 謝りたくて・・・
小さな町に 嫁いで生きて
ここしか知らない 人だった・・・
それでも母を 生ききった
俺, あなたが 羨ましいよ・・・
今はいとこが 住んでる家に
昔みたいに 灯がともる
あなたは あなたは 家族も遠く
気強く寂しさを 堪(こら)えた
あなたの あなたの 見せない疵(きず)が
身にしみていく やっと手が届く
ばか野郎と なじってくれよ
親のことなど気遣う暇に
後で恥じない 自分を生きろ
あなたの あなたの 形見の言葉
守れた試しさえ ないけど
あなたに あなたに 威張ってみたい
来月で俺 離婚するんだよ
そう, はじめて 自分を生きる
あなたに あなたに 見ていて欲しい
髪に白髪が 混じり始めても
俺, 死ぬまで あなたの子供・・・
作曲家・杉本真人氏が母親を亡くして打ちひしがれているとき、友人の作詞家・ちあき哲也氏が彼の気持ちを詞にし、それに杉本氏が曲をつけ、
歌手「すぎもとまさと」としてみずから歌ったのが、この曲、「吾亦紅」です。
吾亦紅は山野に自生するバラ科の多年草、・・・地味ながら、毎年しっかり花をつけるその姿に母親の生き方を見たのでしょうか。
また、ちあき氏自身もその数年前に母親を亡くしており、この曲には二人の心情が重なって反映されています。
歌詞には杉本の母に対する思いがストレートに吐出されており、小説でいえば私小説のような作品なのかもしれません。
平成19年(2007)2月、シングルがリリースされましたが、音楽会社が商業性に乏しいと判断したため、初回発売枚数は258枚にすぎませんでした。
しかし、その1ヶ月後、大きな転機が訪れます。
北海道のSTVラジオでミニライブが収録されたとき、観客・スタッフに感情移入して号泣する人が続出、放送後もリスナーから多くの反響があったといいます。
その年の暮れには、オリコン総合チャートでベスト10入り。さらに、すぎもとまさと氏はその年のNHK紅白歌合戦に、58歳にして初出場を果たしました。
後半の歌詞「・・・あなたに威張ってみたい 来月で俺 離婚するんだよ」がわからないという人がよくいます。
離婚することをなぜ威張るんだ、というのです。
詩・詞は省略や飛躍・誇張・比喩をよく使いますから、字義通り受け取ると納得できない場合があります。
誰しも多かれ少なかれ、思い通りにならない人生を送っています。
この詞の主人公も同じで、ままならないことのなかに結婚生活があったのかも、泥沼化した夫婦関係が生活全般に重い影を落としていたかもしれません。
にもかかわらず踏ん切りがつかず、惰性で日々を送っていたと推測されます。
しかし、彼はついに決心しました。
「あなたには後で恥じない自分を生きろ、と常々いわれていたけれど、やっとけじめをつけて、自分本来の人生を取り戻すことにした。
吾亦紅は山野に自生するバラ科の多年草、・・・地味ながら、毎年しっかり花をつけるその姿に母親の生き方を見たのでしょうか。
また、ちあき氏自身もその数年前に母親を亡くしており、この曲には二人の心情が重なって反映されています。
歌詞には杉本の母に対する思いがストレートに吐出されており、小説でいえば私小説のような作品なのかもしれません。
平成19年(2007)2月、シングルがリリースされましたが、音楽会社が商業性に乏しいと判断したため、初回発売枚数は258枚にすぎませんでした。
しかし、その1ヶ月後、大きな転機が訪れます。
北海道のSTVラジオでミニライブが収録されたとき、観客・スタッフに感情移入して号泣する人が続出、放送後もリスナーから多くの反響があったといいます。
その年の暮れには、オリコン総合チャートでベスト10入り。さらに、すぎもとまさと氏はその年のNHK紅白歌合戦に、58歳にして初出場を果たしました。
後半の歌詞「・・・あなたに威張ってみたい 来月で俺 離婚するんだよ」がわからないという人がよくいます。
離婚することをなぜ威張るんだ、というのです。
詩・詞は省略や飛躍・誇張・比喩をよく使いますから、字義通り受け取ると納得できない場合があります。
誰しも多かれ少なかれ、思い通りにならない人生を送っています。
この詞の主人公も同じで、ままならないことのなかに結婚生活があったのかも、泥沼化した夫婦関係が生活全般に重い影を落としていたかもしれません。
にもかかわらず踏ん切りがつかず、惰性で日々を送っていたと推測されます。
しかし、彼はついに決心しました。
「あなたには後で恥じない自分を生きろ、と常々いわれていたけれど、やっとけじめをつけて、自分本来の人生を取り戻すことにした。
胸を張ってそういえるようになったよ」と、亡き母に報告しているのです。
これが「威張ってみたい」という言葉として表現されているわけです。
子どもは白髪やはげ、シワだらけの老人になっても、母親の、そしてもちろん父親の子どもです。
親が亡くなった後でも、苦しいとき、悲しいとき、心のなかで助けを求めるのは、いつも親ではないでしょうか。
これが「威張ってみたい」という言葉として表現されているわけです。
子どもは白髪やはげ、シワだらけの老人になっても、母親の、そしてもちろん父親の子どもです。
親が亡くなった後でも、苦しいとき、悲しいとき、心のなかで助けを求めるのは、いつも親ではないでしょうか。