暇つぶし日記

思いつくままに記してみよう

旧警察署

2014年04月16日 13時04分25秒 | 日常

町の中を自転車でのんびり周っていて今まで何度も前を通り過ぎていたのにそのときにはあまり注意していなかったけれどあるときに目が行くということがある。 その一つがこの旧警察署の建物だ。 定期的に行くエリックの散髪屋のすぐ傍でそのあたり一帯が大体同じような時代に建てられたものだから特にそれだけが目立って眼を惹くということはないけれど今回そこを通ったとき工事中でもあったのでこれからこの建物をどうするのか、ということにも少しは興味も行き自転車を停めて写真を撮る気にもなったのだ。 

入り口の左側には市の紋章である交差した赤い鍵と右側には建てられた年の1927という数字が見える。 それは昭和二年であるから実際に設計、デザインされたのは大正時代ということになる。 興味深いのは入り口の上にある BUREAU VAN POLITIE (警察署)という文字のデザインだ。 当時のモダンな文字デザインで書かれて、この書体は今でも時々みられ、ことに1960年代、70年代にレトロ趣味、リバイバルとしてレコードのジャケットデザインの書体としてあったのを記憶している。 だからこのような形にここで出会うと警察署という厳ついイメージを何とかしようと当時の最先端のこのデザインを使ったのだろうかと想像がそこに向かうようなものでもある。 

この建物も多分歴史的建築物の範疇に入るのだろうから記念物として外観は保存されていることは確かで今慌てて写真を撮ることもないのだが初めてちゃんと眺めた記念にシャッターを押した。 どこでもそんな建物だったらそんな規制、義務も多くあり、外観はもとより内部の構造も出来るだけ残すという条件で建築、改装許可が下りるというもののようだ。 家人や知人たちが時々展覧会を催すギャラリーは旧郵便局の建物で、そこは市や当局の差し迫った再建計画というものも今のところはないからそれが出てくるまで芸術家達の連盟に無料貸与ということになっているのだが、広いガランとしたスペースの奥に当時の大金庫がそのまま保存されていて、銀行にもあるような厚さが50cm以上の鉄のドアを潜って中に入ればそこに展示作品の一部が架かっているというそんな面白い体験もできる。 

この旧警察署の施主はどんな人か、組織かしらないけれど警察署だったら留置所もあったはずでそんな檻もそのままにしてはおけないのだろうか。 昔、小学生低学年のとき大阪南部の地元の警察署に社会見学として訪れたことがあり、まだ使われているというその薄暗い留置所の中に何人かと一緒に入れられて暫し戸を閉められたことがある。 そのときの居心地の悪い怖いような思いは忘れられない。 それだけのためにかなりの住居、オフィススペースになるような留置所を残しておくということはしないのだろうが、もしこれが官庁などの公共施設ならなんらかの形で残しておくのも博物館的アトラクションになるだろう。 けれど多分そうはならないだろうと思いながら、いつかこの建物の中に入ってもとの留置所がどこにあったのか跡を辿れる機会がくることを期待してそこを離れた。