暇つぶし日記

思いつくままに記してみよう

オオバンの家族

2014年04月08日 03時17分44秒 | 日常

日曜に家人の妹が友人と共同でギャラリーをやっている町で景気付けに幾つかのギャラリーが集まって音楽をやるから来ないかと誘いがあってので家人と二人で出かけた。 古い町のショッピングセンターの水路に沿って幾つかギャラリーがあり、皆のんびりとあちこちを見ながら四方山話をしていたのだが前の水路に架かる小さな橋の傍にオランダ語で meerkoet, 英語で eurasian coot、ラテン語では fulica atra、和名 オオバン(大鷭)の家族が巣を築いていて小さいのが幾つも生まれたところだった。 

人通りが結構あるのに物怖じせずに巣をかけているのは珍しく、それも自然の脅威よりも人間とそれに纏わる動物達のほうがまだ脅威がすくなく、それにまたこの水路の底には他よりも植物や虫の幼虫などが生息しているからなのだろうと想像した。 メールクートというのは湖水のクートという意味でクートというのは英語と綴りが違うだけで発音は同じオオバン(大鷭)であってこの鳥は水辺ではいつも普通に見られる本当にどうということの無い鳥なのだがここでしばらく上から眺めているとなかなか面白い。 この鳥とよく似た fuut (英名 Great Crested Grebe, 和名 カンムリカイツブリ)というのもいるのだがこちらの方はこのバンより優雅でスマートなのだけれど数で言うとバンの10分の1程度だろうか。 保護鳥になってはいても普通にどこでも見られる鳥だ。 けれどどこにもいてユーモラスなのはこちらのオオバンの方でカイツブリのように常に移動しているということもなくぼんやりとかれらの動きを眺めているのにはいい鳥だ。

このあいだ散歩していて白鳥ならぬ黒鳥の家族が通り過ぎて写真に撮ったと書いた。 今日もここで同じようなことが起こっていた。 只違うのはここは巣に定住していて雛は生まれたてだということだ。 現に巣に坐る雌の下にはまだ卵が3つあって母親はそれを孵している上に殻からでたばかりの目が開いたか開かないかというような雛も体の下にいた。 雄はというと忙しくあたりで水底に潜り水草の葉のついた茎や虫などを採ってきて三羽の雛の口に順番に餌として与えている。 何とも忙しいことだ。 これに近々まだ3つの卵からこういうのが出てくるはずでそうなったときの忙しさを想像して余りある。 幼い子供をもったお父さんのよく働くこと、自分達もこの20年以上このようにして子供たちに食わせていたように思うから多少とも同情気味になる。 母親はというとどっしりと巣に構えていて卵を温めながらたまに周りを見渡してちょろちょろ忙しく動き回る産毛の斑な雛たちを監督するといった態だ。 オスはひとわたり餌を運んだあとそこを離れ近くの浮いた大木の丸太の上で一休みというところでありオスとメスが一緒に入るにはこの巣は小さすぎるし、たとえ巣に上がったとしてもゆっくりする暇は与えられないだろうから一定の距離をもって自分の場所をみつけてそこで息をつくといったところだろう。 あと一週間もしない間に雛たちも水の上に出だすから一層オスの役目も多くなり大変なことだ。 白鳥やカイツブリの方はまだその住み方に余裕があるようにみられるけれどバンの家族は庶民的で大忙しだ。 バンの雄には時には家に帰る前に一杯ひっかけて息をつくカフェーやバーというようなところはないのだと、そんなことを思いながらこちらはそこを離れて近くのカフェーのテラスに腰を下してバンの父親の代わりに白ビールを飲んだ。