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Boogie Man: The Lee Atwater Story (2008);観た映画、Feb '11

2011年02月24日 03時16分11秒 | 見る
Boogie Man: The Lee Atwater Story

2008年

86分

ドキュメンタリー

配給; Interpositive Media LLC

監督; Stefan Forbes


ドミノ倒しのように中東の強権政治が敷かれていた国々の首長が倒れ、昨日イギリスの外務大臣にカダフィ大佐はベネズエラに逃亡したのではないかという声明が出されるとそれを跳ね除けるかのように翌日瓦礫の中で自分に歯向かうものはネズミを駆除するように一匹残らず殺害するとテレビにいきがる姿をみせていた急展開、その波が今日はまたギリシャまで及び、はては中国にも幾分か政府批判が押しよせているのではないか、との観測もニュースに出た今日、観た本作はそんな中では一昔も二昔も前のアメリカの大統領選を巡るドキュメンタリー映画だったのだが、中東、アフガン関連で言えばあながち繋がりのないことではないのだ。

それにベルギーのオランダ語テレビ局にかかったアメリカ映画でこの20年ほど海外で戦われた戦争がどのようなトラウマとダメージを自国で与えたか、というような軍隊・スリラーとでもいうようなものを観て、その1時間後にオランダ国営テレビ局にかかった本作、ドキュメンタリー映画を観たのだが、積極的にみようとおもったのは、本作の舞台がレーガノミクスからブッシュ・シニア、更にはその後大統領になるブッシュ・ジュニアにわたるアメリカ政治エスタブリシュメント内の、そこに若くして入り込み、ブレーンとなって選挙対策に辣腕をふるい、挙句がブレーン(脳)腫瘍で1991年に没するまで走り続けた男の軌跡に興味をもったこと、年齢も自分と変わらない男がなんとも信じられないような動きをしていたこと、そして86年レーガン政権時イラン・コントラ事件あたりからはホワイトハウスに出入りしていたキャリアー政治家と自分の越し方を比較してそれまでのアメリカ政治の折々に影響を与えていた人物が当時から彼に関わるジャーナリストを含めて著名の人物の証言を挟んでの構成だからそれがまるでドキュメンタリーとも思えないほどの奇妙な人物像をたちあがらせることに驚いたからでもある。

ブッシュ・シニアの大統領就任パーティーでギターを弾き歌う姿は圧巻である。 それはアメリカのエンターテイメント界にとっては桧舞台であるのだが「政治にブルースを持ち込んだ男」「ブギーマン」と称される男の一種狂気がかったパーフォーマンスでもある。 

階段をのぼりつめて88年から91年まで共和党全国委員会(The Republican National Committee 略称:RNC)委員長につくことになる。 それは日本の政党でいえば党幹事長とでもいうべき重職なのだろう。 その威光が露になるのが90年以降脳腫瘍治療のあと没後のほぼ準国葬ともみえる国の重鎮たちが葬儀に参列した光景である。

もしこの男が91年に亡くなっておらず健在だったらクリントンは大統領になっていなかった、ということが言われている。 ラムズフェルドやチェイニーが依然としてかれらのやりかたで内政外政の舵をとっていたのなら中東の今の情勢は変わっていたのかどうか興味深いところではある。


ウィキペディア(英)での本作ドキュメンタリーの項;
http://en.wikipedia.org/wiki/Boogie_Man:_The_Lee_Atwater_Story

ウィキペディア(英)でのリー・アトウォーターの項
http://en.wikipedia.org/wiki/Lee_Atwater

新潮社サイト; 有馬哲夫/著 中傷と陰謀 ―アメリカ大統領選狂騒史― (2004) 
http://www.shinchosha.co.jp/books/html/610087.html