暇つぶし日記

思いつくままに記してみよう

冬枯れの槿(むくげ)

2011年02月14日 19時00分49秒 | 日常

三年ほど前の夏にこの花が咲いた時に写真を添え、次のように書いた。

http://blogs.yahoo.co.jp/vogelpoepjp/49168376.html

毎年夏には庭の隅に植わっている槿が美しい花を咲かせて南国にある親戚のハイビスカスに想いをよせ、その色の移り変わりを楽しんでいるのだが、夏の盛りにはあれだけ嵩が高いうえに活気があるほどの立ち木が今は見る影もない骨だけになってそこにある。 というよりあれだけの空間はどこにいった、という訝しさにも襲われる。 そして、そこには落ちずにそのままの実か花の袴のようなものがぶら下がっていて、それは結実しそびれた綿の実のようにも見えなくもない。

今日もまたこの3,4日ほど続いている鬱陶しい天気で、一日中家の中に居て、外気を吸おうかと裏庭に出た折りにこれを発見したという次第だ。 今更「発見」でもないものだ。 この植木もここにはもう何年も植わっているからいままで散々見ているはずなのだが、「心ここに在らざれば視れども見えず」ということか。 それとも、、、美しいものには目が行くが、一旦それが過ぎて衰え、周りの冬枯れのなかにあればそれには眼が行かない、ということか、そういうような諺とか詞を思い出そうとするのだが、今日の天気のような頭にはそんなものははっきりとは思い浮かばず、なるほどメディアには見た目は華やかで小さいハイビスカスかムクゲかというような娘ばかりが露出しているからなあ、と短絡的に、人はそんな時期ばかりに眼が行き、それが過ぎれば誰も目も向けないものでそれと同じか、という俗情にも納得しそうになるのだった。

古井由吉の秀作に「槿」というのがあるがあれには「あさがお」と振り仮名がついていた。 その作に魅入られたのももう30年近く前だ。