暇つぶし日記

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ビッグ・トラブル (2002) ; 観た映画、May 09

2009年05月11日 08時52分51秒 | 見る
ビッグ・トラブル (2002)

BIG TROUBLE

85分

監督: バリー・ソネンフェルド
製作: バリー・ソネンフェルド
トム・ジェイコブソン
バリー・ジョセフソン
製作総指揮: ジム・ウェダ
原作: デイヴ・バリー
脚本: ロバート・ラムゼイ
マシュー・ストーン


出演: ティム・アレン   エリオット
レネ・ルッソ   アンナ
トム・サイズモア   スネーク
デニス・ファリナ   ヘンリー
スタンリー・トゥッチ   アーサー
ジョニー・ノックスヴィル   エディ
ジャック・ケーラー   レオナルド
ジャニーン・ガロファロー   モニカ・ロメロ
パトリック・ウォーバートン   ウォルター
ベン・フォスター   マット
ズーイー・デシャネル   ジェニー
オマー・エップス
ジェイソン・リー
ソフィア・ヴェルガラ
マーサ・スチュワート

「メン・イン・ブラック」シリーズのバリー・ソネンフェルド監督が手掛けたドタバタ・コメディ。ある夜、ジェニーの一家は高校生マットたちの水鉄砲を使ったゲームに付き合わされ、警官まで駆けつける騒動に。そして呼び出されたマットの父エリオットらが早々に退散しようとしたところ、ジェニーの父アーサーのテレビに本物の銃弾が撃ち込まれていたことが判明する…。

上記の映画データーベースの記載だけではこのコメディーの面白さはなかなか伝わらない。 ひきもきらない小さなジョークを積み重ねて笑いのうねりとして爆発させるコメディーの伝統はスタンドアップ・コメディアンやシチュエーション・コメディーの積み重ねのあるアメリカのものだろう。 本作にしても主人公ティム・アレン主演のシットコムのシリーズで別段どうということもないアレンを見ているし悪漢、女性警官なども他のコメディーで顔を見ておりみな達者なものだと感心していた連中だったのだからディズニーの夢のお城のロゴで始まるブエナヴィスタ配給映画として家族全員で笑える映画なのだ。

荒唐無稽も面白いのだが笑いというのはこういうのがあるある、ということを広げて大げさにし体の動きがそれについていく、というのが普通だろう。 さまざまなことが二度あり三度目にひっくり返ってああ、そういうことだったのか、というようなことがある。 意味もなくばかばかしいものがその間にテンポよく挿入されていれば脳は快適に動き回り我々の笑いの中枢を振動させるのだ。

一流俳優を使わないから面白いという映画の典型だろう。 そこでは視線が一人の俳優だけに行くというのではなく誰もに満遍なく行き、その万遍さの中にスクリプトはさまざまなくすぐりを丁寧に入れてある。 テレビのあちこちで見慣れた俳優達が今までやってきたものの延長としてみられるという、ポテトチップスとビールで見るテレビ感覚である。 そうならそのドタバタを楽しむといい。 現実にある災難をドタバタにしたものなら馬鹿馬鹿しいとしてその馬鹿馬鹿しさの中に浸るたのしみがあり、たとえばだいぶ前にMTVでこういうことをしてはいけないという警告をつけてやってはいけない馬鹿馬鹿しいことをやって若者に人気を得たJackassのジョニー・ノックスヴィルなどは控えめながら納得がいくし、あちこちでマフィアや犯罪ものの刑事を演じてきた男が今までと同じようなマフィアの役でありながら荒事はウイットに富んだ言葉の示唆だけでリラックスした面白みをみせ、黒人刑事もクールに抑えた演技が笑いをそそり、達者な女性警官は典型的な能無し白人男性警官を演じる男とデコボココンビでほかのコメディーで演じたように他の能無しを仕方がないと空を仰ぎながらてきぱきとものごとを片付けるというような配役だから新しいことは何もないけれど全体が可笑しいという結構だ。

出演者全てから笑いが得られて話の格好としては主人公アレンがひとりヒーローとなる結構になっているけれどそれも冒険ヒーロー活劇映画のパロディーであるのだ。 流れやテンポの点では本作の構成がうまく行っており、一つのエピソードが徐々に絡んでいき、ああ、あれがここに続くのか、とか、常套句、クリシェの効用を十二分に生かして笑いを引き出すのだからこれは是非字幕無しで楽しむべきものだろうと思う。 吹き替えにすればよっぽど上手な台本でないと本作の笑いのエッセンスが色あせてしまう。 だから画面にあわせて日本語で字幕をいれるそのテキスト作家もしくは翻訳家には高度な知識というよりユーモアのセンスが要求されるに違いなく翻訳家自身が悪乗りをして自身の技術で観客を抱腹絶倒させるようにするのも一興だろう。 もちろんそこでは画面の動き筋書きとの齟齬があってはいけないことは当然である。

本作はシャボン玉かガス入りの清涼飲料水のようなものである。 目の前、口の中でサワサワと、目の前を歪んだ、虹色をちりばめたシャボン玉が揺らめきはじけて消えるようなものであり、一旦口の中を爽やかにした清涼飲料水はアメリカ資本主義の大切な資産であり消費後、ある期間のあとに再び消費を促す欲望をも含んだ合法ドラッグでもある。 人々はいつもさまざまな笑いを求めるのだが現在の不況の中ではとりわけ本作のような罪のない笑いは出演者も含め皆が楽しめるものである。