暇つぶし日記

思いつくままに記してみよう

月は時間によって上弦にも下弦にもなるのだなあ、と思ったら

2008年12月08日 12時30分40秒 | 日常
シンタクラースのパーティーが始まる五時前に義弟のうちの前で大きな柳の木の上に架かる月を見たら右上弦の月だったのが夜中に戻ってみると右下弦になっていた。

と思っていたのが間違いだった。 それまで上弦下弦というのは見える白い月が上から被さっているか下から受ける形ならそれぞれ上弦、下弦だと思っていたものが家に戻って調べてみると違ったのだ。 それまで何百回ともなく見てきた月のことも正確にはちゃんと調べたことがなかったし、それに、5時前には右の上方が左側に少し被さるようだったので、ああ上弦だな、けれど夜中に見るとそれが左下から上向くようになっているので下弦だと思い、まてよ、一日のうちで上弦、下弦になるのかな、月は出ればその夜はそのまま形が変わらず沈むものだと思っていたからちょっとネットで探ってみたらそもそも上弦下弦の使い方が間違っていたのだ。

新月から新月までが28日とちょっと、それは女性の神秘、月の物の周期と符合するというのは子供のときに誰かから聞かされて何もわからないもののへえ、なるほどと納得し、中秋の名月の下、一升瓶に挿したススキの穂の基、団子ならぬオハギやお握りをの方に気が行ってあそこでウサギが搗いているのがここにあるとはとても信じられなかったのは15夜満月のこと、そこからはあやふやだ。 三日月というのはまあ、普通にそのままとれば新月から三日経った月だろうとおもっていたけれどそれも確かではなかった。 右の円が明るく左の方が湾曲しているのが三日月だがそれではその反対側の対称形はなんというのか。 やはり三日月と自分では思っていたのが間違い。 有明の月というのだそうだ。 聞いたことはあるけれど形は知らなかった。 いろいろ名前はあるものだ。

新月から三日月といってもその新月はカレンダーではいつなのかという事とは符合していないので分らない。 普通には我々はカレンダーで生活しており、今日は何月の何日、何曜日で、、と生活していて空の月との符合など子供心にはちゃんと確かめたこともなく、高校のころには寝待ちの月などという言葉も加わり、覚えさせられたもののそれが何なのか別段知ることもなく今日まできたからこの体たらくだ。

まとめると、新月、三日月、上弦、十三夜、満月、寝待ちの月、下弦、有明の月、新月と移ろい、それぞれの間隔が大体三日ということ、新月から新月が4週間、満月が2週間目、一週間でちょうど半分欠ける。 左半分が暗い時が上弦、その反対が下弦ということだ。

ここまではそれでいいのだが、今晩のように一晩の間に湾曲部がずれるようにかわるのだ。 定点観測すればそれは分るのだろうが月が出る時間も方向も違い、いつも晴れているわけでもなく、見る時間も場所も違うのでははっきりしないものの、しかし湾曲した月は6時間から8時間の間に上にかぶさっていたものがずれて下から受ける形になっている。 一日で満ち欠けは変わらないけれどアングルがかわるのだから見え方も変わるのは当然ということなのだろう。 そして今夜は月齢11ほどらしい。 新月から11日ということなのだろう。 後4日ほどで満月か。 今の月は右半分、つまり上弦からすこし膨れて十三夜まであと二日ということだ。 それが時間の経緯にしたがって角度が振れたからその軌道の傾斜で振れたということだし、その振れにしても北緯51度ほどのここオランダと北緯35度あたりの日本、それに季節によってそれぞれ差がでてくるのだからややこしい。

昔、まだ何も知らなかったころ、ガールフレンドと手を繋いだだけで上気していた頃に二人で夜の時間を示し合わせてそれぞれの家から月を眺めて気持ちを反射させようということをしたこともあるのを懐かしく思い出す。つまり、今では通信衛星で信号を反射させて地球の反対側にでも送り届け意思の疎通をはかるのだが今から40年以上前にそんな通信手段も発達していなかった頃に月の表面を反射板にして特定の思いを伝えようとしていたのだから大変科学的であったことだ。








YouTubeで志ん生、馬生、志ん朝を観る

2008年12月08日 00時02分58秒 | 見る
この文を記しておこうと思ったのはインターネットのラジオで松福亭鶴瓶のラジオ「ヤングタウン」を聴いていて、その中で池波志乃の色っぽさを語りその夫と池波の父親金原亭馬生 (10代目)のことを、馬生の父親、古今亭志ん生 (5代目)にそっくりだった、という発言に、全くそのとおり、何週か前にたまたまYouTubeで観た「目黒のさんま」NHK1980年収録、馬生54歳で若くしてなくなる2年前のものを観て驚きをもってそうおもったところだったのでやはりそうだったのかと納得したからだった。

関西に住んでいて東京の噺家たちを直接に見聞きする機会はなく小さいときから専らラジオ、テレビで接するぐらいだった。 テレビでは花形の古今亭志ん朝(3代目)が60年代の初め、自分の番組、サンデー志ん朝、というものを持っておりテレビ時代到来のあたらしい笑いを求める新奇さに少年の私は惹かれていたし大学生の頃にはしっかりした色気や華のある落語にその精進を喜んでいた。 1980年に日本を離れてからは偶の帰省のおりにレコード屋ではほんの片隅にしかない芸能の棚の数少ないCDを買ってオランダに戻りその話芸を味わっている。 古今亭志ん朝(3代目)は語りがテキパキとまた町のお上さんたち、女を語るときには些か高音の伸びに鼻音を絡ませて色気があった。

何週間か前に馬生、52歳の「目黒のさんま」約16分を観て58歳の私は強く印象付けられた。 70年代にテレビで何度か馬生の噺を聞いている。 当時20代の私には語りの地味さと共にアーとかウーの入る間の長さが気になって特に自分から入っていくようなことはなかったのではないか。 私の歳が落語に加えて他に様々なことに興味のある腰の据わらなさ、若気というものからかじっくり彼の噺を聴く態度にはなかったのだろう。「目黒のさんま」のお殿様と家来たちの茫洋としたやりとりと殿様の思慮というような表現が秀逸でその表現の細やかさに強く惹かれた。 約16分というのは短すぎるようにも感じたし30分近い噺ではもっとじっくりと馬生の味を堪能できたのではないかとも思う。  ここでしみじみ自分の若かったときと今を比べ、同じ噺家を聞いて歳で生理的に噺家との相性、好みが違ってくる、ということがあることを理解した。 今まで見えなかったものがここで見えてきた、ということか。 しかし、若くしてこの味が分る若者というのはいるものだろうしそうするとそれはたいしたものだ。 それともこの歳になるまでそれがわからなかった自分の蒙昧を恥じるべきなのだろうか。

続けて古今亭志ん朝(3代目)の「愛宕山」約25分を観た。 その身振り、テンポのよさには相変わらず惹かれるものの手足の所作の美しさに華やかな芸を見る。 彼の兄、父親も基本的には芸人の訓練のもとになる踊りはこころえているのだから動きにはそれは観られるのだが自然に渋く沈降して志ん朝の所作と比べると地味にみえるのはそれは各人の性格でもあるのだろう。 お大尽と幇間、店の番頭とのやりとりの中に遊びの中にもそこはかとない厳しさもある。 幇間という職業の味わい深さはこの間テレビで久しぶりに観た黒澤明「乱」でのピーター扮する大名つきの幇間ともいうべき阿弥の役割はかわらないもののその言葉使い、所作にシェークスピア劇臭さが一層際立った思いがしたことを新ん朝の幇間をみてその対比が際だつのを覚える。 黒澤は幇間というものを基本的には好かないのではないかという想いがよぎる。 大尽が身を持ち崩して幇間になったという実話もあるほどでその時この幇間の豊かさをもてあそぶ客はどんな心地がしたか聞いて見たい気がする。

馬生のゆったりとした話し方とその抑揚、アーとかウー、などの間投詞、言葉のを乗せる少々咽喉に紗が丸くかかったような音質に父親、志ん生を感じたのだろうと思う。 けれど私にしても志ん生のLPもCDももたず多分60年代中頃テレビで観た名人志ん生の印象でしか比べるものがなかった。 当時は噺というより生涯の逸話が神話のように喧伝され、少年の私にはゆったりした70半ばの老人の語りというほどでしか響かずそれまでの志ん生を聴いたことがない者にはその名声が理解しかねる部分があったものの今回YouTubeで「岸柳島」1955年録画、志ん生60歳、を観て印象が一新された。 そこにはテレビで観た、ほぼ座布団に鎮座して時には聞き取りにくい声で話す老人はいなかった。 声には張りがあり動きもしっかりして名人となる面目躍如ということでありそれからの10年間ぐらいの志ん生に接することの出来なかった不幸を嘆いてみてもその頃には小学生や中学生の身、ビートルズやアメリカンポップスに魅かれて今では教科書に落語が載る時代とは違い日本の大衆話芸の古典にはまだ無垢のままだった。
 

ウィキペディア;古今亭志ん生 (5代目)の項
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A4%E4%BB%8A%E4%BA%AD%E5%BF%97%E3%82%93%E7%94%9F_(5%E4%BB%A3%E7%9B%AE)

ウィキペディア; 金原亭馬生 (10代目)の項
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E5%8E%9F%E4%BA%AD%E9%A6%AC%E7%94%9F_(10%E4%BB%A3%E7%9B%AE)

ウィキペディア;古今亭志ん朝(3代目)の項
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A4%E4%BB%8A%E4%BA%AD%E5%BF%97%E3%82%93%E6%9C%9D

You Tube; 金原亭馬生 「目黒のさんま」
http://jp.youtube.com/watch?v=Hw-0C9UCJOA&feature=related