自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

日本人とは何者なのか~日本を愛するドナルドキーン

2015-12-09 15:51:26 | 理性と感性
 若いときに「源氏物語」の英訳に接して以来日本を愛し、「日本文化は日本人だけのものではない 」と日本文学を世界文学として紹介し、「東日本大震災を契機に、日本国籍を取得し、日本定住を決意した」 ドナルドキーンさんは、日本人の特徴を「あいまい(余情)、はかなさへの共感、礼儀、清潔、よく働く」と表現している。

NHK「ドナルドキーンの日本」後編 日本人とは何者なのか」より
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 愛する日本人の特徴はともかくとして、「日本人が世界の人とは違う特殊な人間だと思っているように見える言動」に、ドナルドキーンは疑問を抱き続けてきた。それは若いときに戦争で日本軍の自決や玉砕を目の前にした時から、愛する日本人を真面目に誠実に考え続けてきた疑問でもあった。その思いは番組の次の言葉に表されている。
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 高度経済成長期に「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と自信満々となった日本人に対して、「道を誤りつつあるのではないか?」と危惧した司馬遼太郎は、日本に精通したキーンさんにメッセージを求めて、ある新聞社の会合で「この新聞社は駄目だ!良い新聞にする唯一の方法はドナルドキーンを雇うことだ!」と言ったという。今こそ、手遅れにならないようにすべてのメディアにドナルドキーンを採用して欲しいものだ。

 司馬遼太郎は軍国主義に利用される恐れがあるから、『坂の上の雲』の映像化を頑なに拒否していたが、NHKはドラマ化した。明治維新ものはNHKの十八番であるが、日本を取り巻く国際状況を説明しないので、坂本竜馬を含めて勤王の志士は国民的英雄になっている。これも世界を無視した国民の歴史観形成につながっていよう。

 ここでNHK「ドナルドキーンの日本(後編)」について、つたない紹介をするのが悔しい。NHKは公共放送として、番組を保管し、いつでも公開する義務がある。視聴者が素晴らしい番組だと伝えたくても、番組によっては著作権を理由に公開をブロッグする理由は何か!

 ドナルドキーンさんを紹介した動画は多い。そのことがキーンさんの努力に報いることでもあろう。ここでは私の知り得たブログと動画を紹介しておく。

参考:
ドナルド・キーン氏は日本人の何に感動したのか(1)
ドナルド・キーン氏は日本人の何に感動したのか(2)
『果てしなく美しい日本と私』ドナルド・キーン 1/3(動画)
『果てしなく美しい日本と私』ドナルド・キーン 2/3(動画)
『果てしなく美しい日本と私』ドナルド・キーン 3/3(動画)
キーン・ドナルド 90歳を生きる 石川啄木を語る(動画)

 ドナルドキーンが感じた「日本人が世界の人とは違う特殊な人間だと思っているように見える言動」は、世間が狭い日本人が、そこが世界の基準であるかのように振る舞うことから、そう見えるのではなかろうか。最近は隣近所の世間と言う共同体は影を薄めているが、学校にしても会社にしても狭い世間があり、メディアでは真面目よりもお笑いが優遇され、貧富の格差や情報の格差が真面目に対するイジメやパワハラを生んではいないか。

 日本は神の国だと自慢する元首相もいるが、仏の慈悲と神の赦しが世界(キリスト教については少なくともアーミッシュの人々)の常識だと思う。イスラム教の「目には目を」も、「目をつぶしてしまった罪には自らの目で償う」という意味で、過度な報復を防ぐことが目的だ。自我自尊の神は日本独自のものであろうが、この日本人の閉鎖性については次の機会に触れたい。

初稿 2015.12.9


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