自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

「ごはんジャパン」富士山岡村牛(テレビ朝日系列)の録画

2016-10-31 20:07:54 | 自然と人為

    
 乳牛に和牛を交配してF1(交雑牛)を生産する方法は全国に普及していますが、富士山の裾野の朝霧高原で、そのF1雌牛を放牧してハイブリッド牛を生産している日本で唯一の牧場があります。そこで生産された牛肉が「富士山岡村牛」です。この写真は2009年11月14日、15日に富士山岡村牧場現地研修会で訪問したときのものです。

 本物の食材を探す旅の番組「ごはんジャパン」(テレビ朝日系列)で、「富士山岡村牛」(録画)が紹介されました。また、BSフジでも翌日、10月30日PM2時から「静岡であそぼ」で紹介されています。
 あの料理界の巨匠、熊谷 喜八さん(KIHACHI)に「富士山岡村牛」が魅力ある食材として見出されました。何故、魅力ある食材として「味」と「飼い方」が認められたのか。その放送を録画して紹介させていただきます。なお、放送予告では熊谷 喜八さんの紹介ブログと牛を放牧する意義について解説しています。

    
 放送の冒頭には、朝霧高原が酪農地帯であることを示す乳牛の放牧風景が紹介されています。放牧頭数は土地の条件により0.5~1頭/haが基準とされていますが、富士山岡村牧場(4ha)には4産の牛を最年長とする5頭のF1雌牛が放牧されています。
 アカ毛の牛が1頭いますが、あか毛和牛にしては少し赤が強いと思ったら、和牛(黒毛和種)は被毛の遺伝子がホモになるように改良していますが、乳牛(ホルスタイン種)との交雑でアカ毛が出るのもいるようです。このアカ毛のF1は人懐こくて手をペロペロ舐めるそうです。これらのF1雌牛から「美味しい赤身肉」の子牛が生まれます。

    
 牛を放牧することで、自然分娩で強い子牛が産まれます。子牛は母牛からミルクを飲ませてやりたいのですが、そうすると親子分離したときに親子が呼び合って、返って可愛そうなので、母牛の乳と同じ40℃で人工哺乳しています。
 牛は草食動物ですので、放牧すると牛と共生しているセルロース分解菌が反芻胃内だけでなく、排糞を通して畜舎全体に増えます。また、GMO(Genetically Modified Organism:遺伝子組み換え作物)を与えないことで、牛の消化管内も牧場全体もGMOフリーにしています。

 「赤身肉」の匠の極意は、牛1頭1頭の顔が見える関係で健康管理して育て、「牛が笑っている牧場」を目指している点にあります。
 子牛の時から喜んで腹いっぱい食べてくれる乾草を値段が高くても与えています。安いエサではなく牛が喜んで食べてくれる健康で安全で、環境にも良いエサを第一に考えている。人も牛も笑って生きることは幸せな証拠ですよね。


 「赤身肉」の匠は自分の思いを達成するために「お金」はなかったけど、それを苦労とは思わなかった。家族はデパートに行っても「見るだけよ」と子供自らが言いながら育った。そして取材の日、赤身肉大好きな藤吉久美子さんは「美味しい! お肉記念日!」と最高の褒め言葉。F1雌牛の放牧により生産されたハイブリッド牛にとっては、日本全国普及に向けての門出を後押ししてくれる記念日となった。
 なお、牛乳は62℃~65℃30分で殺菌するパスチャライズ牛乳(低温殺菌牛乳)がタンパク質を破壊せず欧米では普通なことは知っていましたが、赤身肉を美味しく食べる料理法として60度2時間焼く方法があるとは思いつきませんでした。料理の匠、熊谷 喜八さんの柔軟な発想に脱帽です。

F1雌牛の放牧によるハイブリッド牛生産
 世界の最先端を目指すハイブリッド牛生産は、酪農におけるF1生産、F1雌牛の放牧によるハイブリッド子牛の生産、ハイブリッド子牛とF1経産牛の肥育、ハイブリッド牛肉の処理と販売、ハイブリッド牛生産のための種雄牛の能力検定と精液配布の5部門からなる。
 F1雌牛の放牧による子牛生産は広大な土地を必要とし、利益を上げるための経済ではなく、里山を管理して豊かな地域の生活を次の世代に残す「経世済民」のために実施したい。そのために、F1による種雄牛の現場能力検定を目的として立ち上げた「畜産システム研究所」のスタッフを充実させ、農家の生活を守るための「農協」と市民の生活を守るための「生協」、これに法律で住民を守る行政を含めた仕事のシステム化を積極的に研究し、実践していくことが必要です。

 新しい陣容で仕事を始めるために、牛の放牧による里山管理を地域で試験的に始めている「大谷山里山牧場」とハイブリッド牛生産の先端を走っている「富士山岡村牧場」を中心に、牛肉の処理流通業者、精液販売業者、この研究所に参加を希望する方々に新しい体制の発足を呼びかけて、来秋から新しい仕事を持つ研究所が稼働するように準備を開始したい。

参考: 予告!「富士山岡村牛」の食材の魅力 (ごはんジャパン|テレビ朝日で放送)
     録画: 予告! 熊谷喜八&藤吉久美子 静岡「富士山岡村牧場」
     録画: 富士山麓・朝霧高原 「匠が育てる極上の赤身肉」
     録画: 「静岡であそぼ」 究極の静岡食材 岡村牧場(富士宮市)「富士山岡村牛」


初稿 2016.10.31 更新 2016.11.14(録画変更) 画像更新 2019.9.2

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