チューリヒ、そして広島

スイス・チューリヒに住んで(た時)の雑感と帰国後のスイス関連話題。2007年4月からは広島移住。タイトルも変えました。

広島聖文舎の話

2014年11月27日 22時57分32秒 | Weblog
*以下の文章は、私が所属している日本キリスト教団甲東教会(兵庫県西宮市)の「ヨルダン会報」(昔風に言えば壮年会の文集)に寄稿したものです。会報が発行されたので、こちらにも転載することにしました。文集では載せなかった写真を途中に挟んでいます。

----------------------------------------------------

広島に来て8年目になるが、こちらでも仕事柄本屋さんにはよく行く。丸善、ジュンク堂、紀伊國屋といった大きな書店が広島市内には揃っており、ある意味では西宮より便利である。ネット通販も使うが、やはり実物を手に取って確かめてから買うことが多い。

これら大手書店もキリスト教関係の書籍を揃えているが(とくに八丁堀の丸善は充実している)、日本キリスト教団出版局や新教出版社、教文館といったキリスト教系出版社の本は、努めて広島聖文舎から買うようにしている。聖文舎は、市内の中心地である八丁堀交差点から北東に歩いて5分ほどの距離だが、昭和中期を思わせる古い(初めて行った時は、廃墟かと思ったくらいの)ビルの2階にあり、気をつけておかないと見過ごしてしまう(2つ隣の交番が、この店のことを知らなかった)。薄暗い階段を上り、これまた古い引き戸を開けて入るのだが、ちょっと一見さんには入りづらい店構えである。

(広島聖文舎の店構え)


(左端の入口に、営業中を示す小さな看板が。)


(中に入ると薄暗く、正面の階段が昔の映画風。)
  

(階段を上がりきると店が見える)
 

聖文舎」といえばキリスト教書店の老舗名称で、(残念ながら閉店してしまった)西宮聖文舎には、学生時代から随分とお世話になった。キリスト教専門書店の常で、あまり売れない本(著者の一人として申し訳なく思う)もたくさん抱え、しかも昨今の電子書籍だのネット通販だのといった「逆風」にさらされ、営業は楽でない、というより苦しいはずである。事実、あちこちのキリスト教専門書店が経営危機だという話は頻繁に耳にする。顧客が少なく、しかも遠くに住んでいることが多い広島のような地方の書店は本当に大変だと思う。加えて、広島聖文舎の営業は慎ましやかである。広島に来て8年目になるが、最初の5年くらいは殆ど接触がなかったし、今でも積極的に売り込む姿勢はない(学校教師はいい顧客になり得るはずなのに)。広島や山口の教会を回って、教会用品などを配達するのがどうも主たる仕事となっているらしい。お世辞にも商売上手とは言えず、傍から見ている限りでは、もっと本が売れるようになる可能性は十分あるように思える。

キリスト教出版という同じ業界の関係者としての連帯感もあるし、自分の書いたものを売っていただいているという感謝の気持ちもある。応援の意味も込めて、数年前からは努めて広島聖文舎で本を買うと共に、昨年からは、「広島聖文舎便り」(毎月発行)に、本の紹介文を書くようになった。自分が聖文舎で買った本から選び、800字くらいで紹介しお薦めしている。これでただちに販売効果があるとは思えないものの、時々は反応があるので、無駄でもないようである。広島聖文舎のフェイスブックページでも公開されているので、ご高覧いただければ幸いに思う。

たくさん売れる本を書くのが一番の応援だとわかってはいるが、こればかりは今のところ何ともならない。広島聖文舎にも出版社にも申し訳ないことである。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿