鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

浜松千鳥図鐔 政随 Masayuki Tsuba

2011-09-14 | 鍔の歴史
浜松千鳥図鐔 (鐔の歴史)


浜松千鳥図鐔 政随

 安親、利壽、乗意の三者は奈良三作と呼ばれて有名だが、これに政随を加えて四天王と呼ぶことがある。先の三者の次の世代に当たり、自らだけでなく多くの弟子が活躍して江戸金工の隆盛を直接担っており、いわば金工の大きな主流となったのが政随の浜野派である。安親のように多方面に興味を抱いたものであろう、多くの作品を遺している。
 この鐔の千鳥もかなり文様化されている。松樹は切羽台を中央に大胆な構成。鋤下彫りと薄肉彫を組み合わせた手法ながら立体感に満ち、風に馴れて屈曲した様子が的確。その背後には夕日か。金、銀、朧銀、赤銅の千鳥が、姿態を異にして飛翔する様子を高彫象嵌で表わしている。下地は鉄地に簡潔な波文。優れた作品である。72.8ミリ。