鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

梅樹透図鐔 Tsuba

2011-07-27 | 鍔の歴史
梅樹透図鐔 (鍔の歴史)


梅樹透図鐔 甲冑師

 梅の花の一部が欠けているが、総体の魅力を減ずるものではない、優れた鐔である。指先で弾くと、カランとして乾いた響きがあり、古鐔のそれと風合いは同じ。肌合いも古調であり、意匠の新鮮味から江戸時代の作と極められたものであろう。少なくとも桃山時代はあろうかと推測している。花蕊の極細の線の繋ぎが繊細であり、
これでは錆び込んで欠落しても仕方あるまい。意匠も優れている。江戸時代に流行した赤坂や肥後のそれとは全く異なる、根元の構成などは古金工の図採りをも思わせよう。厚さは3ミリの平坦で、縦86.9ミリ。□