鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

繭玉透図鐔 Tsuba

2011-07-13 | 鍔の歴史
繭玉透図鐔 (鍔の歴史)


繭玉透図鐔 古甲冑師

 蚕が作った繭玉を題に得た、洒落た透かしの鐔。繭玉は正月飾りにも採られているように、自然の恵みの豊かさを示している。繭玉を一つだけ透かすのではなく、二つを組み合わせて綺麗な文様としているところに魅力がある。耳は環状に仕立てられてはいるが土手耳と言うべきか。このような耳の仕立てには幾つかの方法がある。①一枚の板鐔の耳を鋤き込みや打ち返しなどで厚手に仕立てる方法、②別造りの環を地板と鍛接する方法、③薄い鉄板を中空の環状に仕立て、これで耳を包むように組み合わせる方法。この鐔は③の方法ではなさそうだ。地板は厚さが2.2ミリと薄手、耳は数ミリほどに仕立てられている。地には鎚の痕跡が良く残り、黒漆が塗られていたと思われる痕跡も窺える。縦78.2ミリ。