鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

洛中洛外図鐔・縁頭 細野惣左衛門政守 

2009-11-07 | 
洛中洛外図鐔・縁頭 細野惣左衛門政守                   


 

 
洛中洛外図鐔・縁頭 細野惣左衛門政守
 細野政守(まさもり)が生きた同時代の京都近郊の風景を題に得た作品。京都の町並みが遠くに見え、広がる畑地には苗を植える者、種を蒔く者、運ぶ者などが描かれ、また、左奥には鷺の餌を漁る様子が添えられている。裏面は農家の庭先。採り入れた作物を干しているのであろうか、岡の上から俯瞰しているような構成とされている。縁頭は洛西を流れ降る桂川(かつらがわ)の風景。桂川は上流で伐採した材木を筏に組んで流し降ろす要路の一つ。ところがこの筏流しは、実は都に住む者にとっては風雅の一つと捉えられ、花見と共に楽しみとされていた。この縁頭では、釣をする者を主題とし、その背後を筏が降っている場面としている。いずれも四分一地に毛彫、金銀素銅赤銅の平象嵌で描き出している。