前回も少し触れましたが、同じ様な年数を、同じ様な打順で過ごした選手を比較した場合、チームによって打席数に多少の差こそ出ても、その差が大きく違う事はないでしょう。従ってその選手たちの打率等を比較する場合、ほぼ同じ条件に近いものになるかと思います。しかし盗塁に関しては、選手達が試みなければ始まりません。サイン、単独、ヒットエンドランのケース等ありますが、当然ながらランナーが走らなければ盗塁は成り立ちません。ここに盗塁の特性があると思います。一般的に数多く試みるという事は、盗むのが困難なバッテリー相手とか、困難な場面でのスタートもあろうかと推測出来ます。逆に比較的安全な場合のみ、スタートを切っていれば、数は伸びなくとも、成功率は高くなるかと思えます。福本豊は、1364回の企画数で1065回成功の78.1%の成功率、対して広瀬叔功は719回の企画数で596回成功の82.9%の成功率です。明らかに企画数に大きく差があり、同じ土俵で二人の盗塁成功率を比較するには、かなり無理がある様に思えてなりません。広瀬叔功が安全な場合のみスタートしている事はあり得ないでしょうが、約倍の企画数、5%位の成功率の差という事で、私としては福本豊の盗塁により敬意を表したいと思います。