人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

筒井康隆著「残像に口紅を」を読む~使える文字が一つずつ減少していく実験小説~なぜかハイドン「交響曲第45番”告別”」を思い起こす

2018年03月21日 07時47分22秒 | 日記

21日(水・祝)。暑さ寒さも彼岸まで、って言うけどホントかな? 明日の天気次第ですね

ということで、わが家に来てから今日で1267日目を迎え、20日の日経平均株価が3営業日続落した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

    

      安倍内閣の支持率は日経平均以上に暴落した  安倍首相は音を上げて株を下げた?

     

        

 

昨日、夕食に「豚肉と野菜の味噌炒め」と「生野菜サラダ」を作りました

 

     

 

         

 

筒井康隆著「残像に口紅を」(中公文庫)を読み終わりました 筒井康隆は1934年大阪生まれ。同志社大学文学部卒。数々の文学賞受賞、著書多数

 

     

 

この本は、物語を一つずつ読み進めるごとに使用できる文字が減っていくというトンデモナイ実験小説です 最初は「世界から『あ』を引けば」というテーマを掲げ、文章の中に「あ」をいっさい登場させない小説が展開します 「あ」が消えると当然「愛」も消えます。そして 次のシラブルまで読み進めていくと、「世界から『あ』と『ぱ』を引けば」というテーマを掲げ、文章中に「あ」と「ぱ」をいっさい登場させない小説が展開します 以下、「世界から『あ』『ぱ』『せ』を引けば」というテーマを掲げ・・・以下同文です このようにして、物語が進むにつれて使える文字が減っていく(したがって、その言葉を使った物や人なども減っていく)条件のもと、どれだけ小説として成り立っていけるかという実験小説です

文章から言葉を抜く順番が「あ」「ぱ」「せ」となっていますが、なぜこういう順番なのかは不明です あまり無くても困らない言葉を先に減らし、どうしても最後まで使いそうな言葉を残していくというやり方だと思いますが、その基準が分かりません 唯一、素人でも想像がつくのは「最後に残る言葉は何か」という疑問ですが、大方の予想通り「ん」です

主人公の佐治は文字(と、それに伴う物や人など)が消滅していく中で、飲食し、執筆し、講演までこなしていきます。このままいくと、断筆せざるを得ない状況になります

私はこの小説を読んで、ハイドンの交響曲第45番「告別」を思い起こしました ハイドンが仕えていたエステルハージ公の館は手狭だったため、楽員は家族を同伴することが出来ませんでした。そこで、楽長のハイドンは楽員が家族に会いたい気持ちを主人に伝えるため、交響曲に工夫を凝らしたというものです それは、楽章を追うごとに役割を終えた演奏者が退出していき、最後には第1ヴァイオリン2人だけになり、消えるように曲を閉じるというものです

筒井康隆氏の実験小説とハイドンの告別交響曲とは、趣旨は異なるものの、同じように言葉(演奏者)が減っていくという点で共通しています 指揮を終えたハイドンがエステルハージ公に 長嶋監督の物まねで 「ん、どうでしょう? たまには楽員に いわゆる一つの休暇を与えては」と言ったというのは単なるウワサです

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宮下奈都「羊と鋼の森」、筒井康隆「残像に口紅を」、R.D.ウィングフィールド「夜のフロスト」、ジェフリー・ディーヴァ―「ゴースト・スナイパー(上・下)」、同「限界点(上・下)」他を買う

2018年03月20日 07時59分21秒 | 日記

20日(火)。わが家に来てから今日で1266日目を迎え、安倍晋三首相が19日午前の参院予算委員会で「行政府の長として責任を痛感している」と述べ 謝罪したと いうニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

                       昭恵夫人の証人喚問要求に応じない限り 困難な関門は突破できないと思うよ

 

         

 

昨夕、「ハッシュドビーフ」と「生野菜サラダ」を作りました 寒い日は温かいものが食べたくなりますね

 

     

 

          

 

神保町の三省堂書店で本を8冊買いました 1冊目は宮下奈都著「羊と鋼の森」(文春文庫)です。羊と鋼(はがね)はピアノに関係があります。この本はピアノ調律師の物語です

 

     

 

2冊目は筒井康隆著「残像に口紅を」(中公文庫)です 使用する文字がだんだん少なくなっていく小説です アメトーク!とかいうテレビ番組で紹介されて話題になったようです

 

     

 

3冊目はR.D.ウィングフィールド著「夜のフロスト」(創元推理文庫)です 「クリスマスのフロスト」「フロスト日和」に次ぐ「フロスト・シリーズ」第3弾です

 

     

 

4~5冊目はジェフリー・ディーヴァ―著「ゴースト・スナイパー(上・下)」(文春文庫)です ジェフリー・ディーヴァ―の本はこのブログでも何冊もご紹介してきました

 

     

 

     

 

6~7冊目は同じくジェフリー・ディーヴァ―著「限界点(上・下)」(文春文庫)です 著者の文庫本最新作品です

 

     

 

     

 

8冊目は柚月裕子著「朽ちないサクラ」(徳間文庫)です 柚月裕子の本も何冊かご紹介してきましたが、文庫本最新作品です

 

     

 

いずれも、読み終わりしだい、当ブログでご紹介していきます

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モーツアルト:「室内楽ホール de オペラ~林美智子の『フィガロ』!」(全アリアカット重唱版)を聴く~全開!鵜木絵里のスザンナ

2018年03月19日 08時07分12秒 | 日記

19日(月)。わが家に来てから今日で1265日目を迎え、政府が 2019年5月1日の新天皇の即位に伴う皇位継承の儀式に 女性皇族が参列しない方向で調整に入る というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      いつまでこんな封建的なことやってんだろう 昔は女性の天皇だっていたのにさ

 

             

 

昨日、晴海の第一生命ホールで「室内楽ホールdeオペラ~林美智子の『フィガロ』!」を聴きました モーツアルトの歌劇「フィガロの結婚」の”縮刷版”です 2年前の2016年3月27日に開催された「林美智子プロデュース~オペラの楽しみ『コジ・ファン・トゥッテ』」がとても楽しかったので、次回も是非、と思って楽しみにしていた公演です

出演は、フィガロ=黒田博、スザンナ=鵜木絵里、アルマヴィーヴァ伯爵=加来徹、伯爵夫人=澤畑恵美、ケルビーノ=林美智子、ドン・バジリオ=望月哲也、バルトロ=池田直樹、マルチェリーナ=竹本節子、アントニオ=晴雅彦、ピアノ演奏=河原忠之で、日本語台詞台本・構成・演出は林美智子です

歌劇「フィガロの結婚」はダ・ポンテの台本にモーツアルトが作曲し、1786年5月1日にウィーン・ブルク劇場で初演されました フランス革命前夜の貴族社会が崩壊する寸前の伯爵家が舞台となっています 封建的な権利を行使して妻の小間使いスザンナを意のままにしようとするアルマヴィーヴァ伯爵に対し、使用人フィガロが伯爵夫人の協力を得て伯爵の横暴を阻止する「狂おしき一日」(ラ・フォル・ジュルネ)を描いています

 

     

 

自席は1階6列12番、左ブロック右通路側です。会場は8割くらい入っているでしょうか ステージ左手にグランド・ピアノが置かれ、2脚3組の椅子が置かれているだけのシンプルな舞台です 背面のスクリーンには物語の登場人物たちの相関図がそれを歌う歌手の写真入りで映し出されています

開演時間になり、後ろの方で声が聞こえてきたかと思ったら、ケルビーノに扮した林美智子とアントニオに扮した晴雅彦が、これから物語が始まることを告げているところでした 前方の席だと後方を振り返って見なければ何が起こっているのか分からないので困ります すぐに河原忠之のピアノにより軽快な序曲が演奏され、登場人物たちがステージに現れます

この公演は「全アリアカット重唱版」のサブタイトル通り、フィガロの「もう飛ぶまいぞ~」も、ケルビーノの「恋とはどんなものかしら」もなく、ソロのアリアが一つも歌われません すべて二重唱以上のアンサンブル曲が選ばれているのが大きな特徴です

第1幕ではフィガロとスザンナの小二重唱「5・・・10・・・20・・・」、スザンナとマルチェリーナの二重唱「どうぞお先に、まばゆい奥さま」、伯爵とドン・バジリオとスザンナの三重唱「何だと!すぐに行って」が歌われました 可笑しかったのは鵜木絵里のスザンナと竹本節子のマルチェリーナによる二重唱「どうぞお先に~」です。この二人はそれぞれ役柄がピッタリで、コケティッシュな魅力の鵜木絵里と、新国立オペラの「フィガロ」のマルチェリーナと言えばこの人をおいて誰もいないと思うほど当たり役の竹本節子のやり取りは、思わず声を出して笑ってしまいます

 

     

 

休憩後の第2幕では、伯爵役の加来徹、伯爵夫人役の澤畑恵美、スザンナによる三重唱「スザンナ、出ておいで」、スザンナとケルビーノによる二重唱「開けて、早く開けて」、フィガロ役の黒田博、バルトロ役の池田直樹、ドン・バジリオ役の望月哲也、アントニオ役の晴雅彦も加えた八重唱「この悪たれ小僧、早く出てこい」が歌われました とくにフィナーレの八重唱は傑作中の傑作です。重唱に次ぐ重唱の「ノン・ストップ・モーツアルト」です 聴いていてワクワクします

2度目の休憩の後、第3幕と第4幕が続けて歌われます 第3幕からは、マルチェリーナ、フィガロ、バルトロ、ドン・クルツィオ、伯爵、スザンナによる六重唱「この抱擁でわかっておくれ」、スザンナと伯爵夫人による手紙の二重唱「そよ風に寄せて」、フィガロ、スザンナ、伯爵、伯爵夫人によるフィナーレ「行進曲だ・・・さあ行きましょう」が歌われました。澤畑恵美と鵜木絵里による手紙の二重唱はとても軽やかで美しかったです

第4幕ではフィナーレの全員による十一重唱「そっと近づいていってやろう」が歌われました 結局、モーツアルトはすべての人を許してしまうのです 伯爵の手先だったバジリオとマルチェリーナは実はフィガロの両親だったし、恋に恋するケルビーノも悪くない、伯爵も最後は自分の過ちを認めて夫人に謝罪した、結局だれも悪い人はいない これがモーアルトのオペラ「フィガロの結婚」の神髄でしょう

歌手陣は誰もが素晴らしかったと思います  アルマヴィーヴァ伯爵を歌った加来徹はバッハ・コレギウム・ジャパンでも活躍している今売り出し中のバリトンですが、演技力も期待できる若手のホープです 伯爵夫人を歌った澤畑恵美はもはやベテランの域に達している美しいソプラノです フィガロを歌った黒田博は声量もある魅力のバリトンです アントニオを歌った晴雅彦はコメディータッチの役柄がピッタリです。第4幕の夕暮れのシーンでは黒いマントを着て登場し「ホーホー」とフクロウの鳴き真似をして夜を告げた時は、伯爵夫人の澤畑恵美が唖然として口をあけ、会場は大爆笑でした

その中で、最も活躍が目立っていたのはスザンナを歌った鵜木絵里です 歌は抜群に上手いし、ユーモアのセンスが頭抜けています 頭に描いた敵を前にして取るファイティング・ポーズといい、ダンスの音楽が流れた時の一昔前のトラボルタ風の踊りといい、会場のそこかしこで笑い声が聞こえました 彼女の歌を聴き、一挙手一投足を見ているだけでとても楽しかったです まさに鵜木絵里のスザンナ全開!でした

 

     

 

カーテンコールが繰り返され、出演者がステージ中央に集まって椅子に座り集合写真のポーズを取ると、会場のあちこちでケータイやスマホが掲げられ にわか撮影会になりました 「えっ ウソッ マジ」と思ってスクリーンを見ると、「撮影してSNSで拡散してください」と書かれていました もっと早く教えてくれよ、とスマホの電源を入れた時には集合写真ポーズは解かれ、下の写真になりました

 

     

 

とても楽しい公演でした 総合プロデューサーの林美智子さんに大きな拍手を送ります ところで次回の公演は「ドン・ジョバン二」のアンサンブル・バージョンでしょうか

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東京二期会公演でベッリーニ「ノルマ」(セミ・ステージ形式)を聴く~大村博美、城宏憲、小泉詠子、妻屋秀和にブラボー!

2018年03月18日 07時59分37秒 | 日記

18日(日)。わが家に来てから今日で1264日目を迎え、エンゼルスの大谷翔平が16日、ロッキーズとのオープン戦に登板し 1回3分の1を投げて7安打7失点と打ち込まれ、2回途中でKOされた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      「山高ければ 谷深し」っていうからね  ロッキー山脈は高く大谷は深い ってか

 

             

 

昨日、渋谷のオーチャードホールで東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ公演、ベッリーニ「ノルマ」(セミ・ステージ形式)を聴きました

オペラと言えば東京文化会館という刷り込みがあるので、いつも通りJR上野駅で降り 目の前の文化会館に入ろうとすると、建物から出てくる人の波に出会いました。「なんか変だ」と思ってチケットを見ると「オーチャードホール」と書いてあるではあ~りませんか ヤッチマッタ 以前も同じような凡ミスがあったので、すぐに銀座線の上野駅まで走り、地下鉄に飛び乗りました。開演時間の45分前の4時15分です。タイミングから言えばほとんど間に合わない時間です 渋谷駅に着いたのは4時53分。開演まであと7分です。またしても走りました。スクランブル交差点をぶっちぎって 汗びっしょりで会場の自席に着いたのは5時01分でした 滑り込みセーフ自民・公明党です 

皆さん、くれぐれもコンサートに行く時はチケットで開演時間と会場を再確認しておきましょうね って 自分が気を付けろよ ってことですよね

ということで、歌劇「ノルマ」はベッリーニ(1801-35)が30歳の時に作曲し、1831年12月にミラノ・スカラ座で初演された「ベルカント・オペラの最高傑作」です

この公演は17日と18日のダブルキャストですが、17日の出演は、ドルイド教の巫女長 ノルマ=大村博美、ローマのガリア地方総督 ポリオ―ネ=城宏憲、ドルイド教の高僧でノルマの父 オロヴェーゾ=妻屋秀和、若い尼僧 アダルジーザ=小泉詠子、ノルマの侍女 クロティルデ=成田伊美、ローマ軍隊長 フラーヴィオ=前川健生、管弦楽=東京フィル、合唱=二期会合唱団、指揮=リッカルド・フリッツァ、演出=菊池裕美子です

 

     

 

舞台は紀元前50年頃、ローマ帝国の支配下にあるガリア地方(現在のフランス)。ドルイド教徒たちはローマとの戦いを願っており、ドルイド教徒の長であるオロヴェーゾの娘で巫女のノルマが神託を告げるのを待ちわびている しかし、ノルマは密かにローマの将軍ポッリオーネとの間に子供をもうけており、彼の心が離れたことに悩んでいる ポッリオーネは若い巫女アダルジーザに心を移していた。一緒にローマに行こうと誘われたアダルジーザは 悩み、ノルマに相談にやってくる。しかし、巫女が恋愛をすることは禁じられている  恋の相手が同じ人物とは知らないノルマはアダルジーザを励ますが、そこにポッリオーネが登場、三角関係が露呈する 事情を知って苦しむアダルジーザ、激怒するノルマ、アダルジーザを想うポッリオーネとの三重唱が歌われて幕が閉じる(以上第1幕)

ノルマは2人の息子を殺して自殺しようとするが、どうしても出来ない アダルジーザがやってきて、自分は身を引き、ノルマと よりを戻すようにポッリオーネを説得すると語る。しかし、ポッリオーネがそれを拒否したことを知り、ノルマは怒りのあまり聖なる銅鐸を3回打ち鳴らして人々を集め、ローマに宣戦布告する そこに捕らえられたポッリオーネが引き出されてくる。人々を下がらせたノルマは、アダルジーザを諦めれば命は助ける、と告げるが、彼は拒否する。そこで、ノルマは「裏切り者の女がわかった」と人々を集め、「それは自分だ」と告白する そして2人の息子を父オロヴェーゾに預けると、自ら火刑台へと登っていく(以上第2幕)

 

     

 

自席は1階18列15番、センターブロック左から3つ目です。会場は6割くらい埋まっているでしょうか この公演はセミ・ステージ形式で上演されます。舞台上の手前にオケがスタンバイし、その後ろに高いステージが設けられ、さらにその後ろに合唱が構えるという舞台作りになっています 東京フィルはいつもの通り ヴァイオリン・セクションを左サイドに集める編成を採ります。コンマスは依田真宣氏です

2017年10月からベルガモ・ドニゼッティ音楽祭音楽監督を務める スキンヘッドも鮮やかな リッカルド・フリッツァが登場し指揮台に上がります さっそく、このオペラのエッセンスを凝縮したようなドラマティックな序曲が演奏されます この前この会場で聴いたグルヴェローヴァの歌う史上最低のノルマの時も感じたのですが、音が籠ったように聴こえます オケがピットでなくステージ上で演奏しているのにも関わらず そのように聴こえたということは、やはり会場の音響特性の問題でしょうか それでも、第1幕が始まると慣れてきたせいか、気にならなくなりました なお、ステージ奥の壁面には、自然を描写した映像が映し出され、聴衆を飽きさせない工夫が凝らされています

このオペラで最初に登場して歌うのはノルマの父でドルイド教の高僧 オロヴェーゾですが、新国立劇場でお馴染みの妻屋秀和氏は存在感が抜群です 説得力のあるバスで会場を圧倒します そして、ポリオ―ネとフラーヴォが登場し 歌のやり取りがありますが、ポリオ―ネを歌った城宏憲氏は高音が良く伸び、魅力のあるテノールです。どんなフレーズを歌っても安定感があります そしていよいよノルマの登場です。私がこのオペラで一番聴きたいのはノルマが月の女神に祈りを捧げて歌うカヴァティーナ「清らかな女神よ」です 大村博美さんが純白の衣装で登場、フルートのメロディーに導かれて歌い始めます。ゆったりとしたテンポ、抑制された声で美しいメロディーを歌い上げていくこの曲ほど難しい曲も珍しいと思います 大村さんのカヴァティーナは見事でした 日本人もここまで歌える水準まで来ているのか、とあらためて感じ入りました

次いで、アダルジーザが登場しポリオ―ネとの二重唱を歌いますが、小泉詠子さんは声も美しく歌唱力に安定感があります この後、何度かノルマと二重唱を歌うことになりますが、大村さんのノルマとの二重唱は息もピッタリで、見事なアンサンブルでした 特に第2幕第1場の二人の友情が完全に戻った証として歌われる「ご覧になってください、ああ、ノルマ」での二重唱はテンポ感も良く、気持ちよく聴くことが出来ました

リッカルド・フリッツァ指揮東京フィルは歌手に寄り添うばかりでなく、自らベルカントを歌い上げ ベッリーニの魅力を十二分に表出しました

全体を通して感じたのは、二期会の歌手陣のレヴェルの高さです   とくに主役級の歌手陣は聴きごたえがあります。「ノルマ」が大好きで、どうしても生演奏で聴きたくてチケットを買いましたが、聴いて良かったと思いました

 

     

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ステファン・ブル二エ+ルノー・カプソン+読売日響でモーツアルト:歌劇「ドン・ジョバン二」序曲、ブゾーニ「ヴァイオリン協奏曲」、R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」を聴く

2018年03月17日 08時02分03秒 | 日記

17日(土)。わが家に来てから今日で1263日目を迎え、米紙ワシントン・ポストが15日、トランプ大統領がマクマスター大統領補佐官を交代させる方針を固めたと報じた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

                 政府要人で首になるのはこれで何人目?  そもそもなぜ選任したのかが問題だな

 

         

 

昨日、夕食に「スペアリブ」と「生野菜とタコのサラダ」「エノキダケとチンゲン菜のスープ」を作りました 骨付き肉は1本140グラムありますが、1時間半煮込んだので何とか味が浸み込みました

 

     

 

         

 

昨夕、サントリーホールで読売日響第576回定期演奏会を聴きました プログラムは①モーツアルト(ブゾーニ編):歌劇「ドン・ジョバンニ」序曲、②ブゾーニ「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」、③リヒャルト・シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語り」です ②のヴァイオリン独奏はルノー・カプソン、指揮はステファン・ブル二エです

 

     

 

指揮は 当初予定されていたヘンリク・ナナシが急病のため来日できなくなったため、急きょ1964年スイス生まれで ドイツを中心に活躍しているステファン・ブル二エ氏に変更となりました


     


オケはいつもの読響の並びで、左サイドにヴァイオリン・セクションを集めています   コンサートマスターは特別客員コンマスの日下紗矢子さん その隣は長原幸太コンマス、ヴィオラ首席は鈴木康治、柳瀬省太、チェロはソロの遠藤真理 と揃っているのに第2ヴァイオリン首席の瀧村依里さんの姿がないのは寂しいところです

1曲目はモーツアルト(ブゾーニ編)歌劇「ドン・ジョバンニ」序曲です 1787年にプラハで初演されたこのオペラの序曲は、モーツアルトがお酒を飲んでコンスタンツェとおしゃべりしながら一晩で書き上げたと言われています 通常は、静かに終結して そのまま第1幕に入るため、やや中途半端な感じで終わってしまいます   ブゾーニ(1866-1924)はドン・ジョバン二が地獄に堕ちた後、残された人たちが各自の想いを歌うフィナーレの六重唱のメロディーなどを取り入れて、軽快に終わるように編曲しました 私はこのバージョンで聴くのは初めてでしたが、それなりに説得力があり 楽しむことができました

2曲目はブゾーニ「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」です   この曲は1896年から翌97年にかけて、親友でライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンマスを務めたヘンリ・ペトリのために作曲された単一楽章の作品です

1976年フランス生まれのルノー・カプソンが登場しスタンバイします 若干お腹の出過ぎたステファン・ブル二エの指揮で曲が開始され、スマートなカプソンのヴァイオリンが入ってきますが、最初にその音に接した瞬間から「ああ、フランスだ」と思いました。イタリア生まれのドイツの作曲家ブゾーニの作品ですが、カプソンのヴァイオリンから出てくる音はフランスそのものです 作品は超絶技巧の難曲ですが、カプソンはモノともしないでクリアしていきます

会場いっぱいの拍手とブラボーに、カプソンはグルック(クライスラー/カプソン編)歌劇「オルフェオとアウリディーチェ」から「精霊の踊り」を極度の集中力で演奏、聴衆のクールダウンを図りました


     


休憩後のプログラム後半はリヒャルト・シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」です この曲はシR.シュトラウス(1864-1949)が1896年に完成した管弦楽曲です ドイツの哲学者ニーチェの同名の著作から着想を得て作曲しましたが、彼の哲学を音楽で表そうとしたものではなく、ニーチェという天才を讃えるものとして作曲したのでした 「序奏」と8つの部分(「世界の背後を説く者について」「大いなる憧れについて」「歓喜と情熱について」「埋葬の歌」「科学について」「病から回復に向かう者」「舞踏の歌」「さすらい人の夜の歌」)から成ります

オケが拡大しフル・オーケストラ態勢になります ステファン・ブル二エが再登場し、さっそく演奏に入ります。「序奏」は1968年スタンリー・キューブリック制作映画「2001年宇宙の旅」で使われ、大きな話題を呼びました トランペットによって演奏されるモティーフとティンパニの連打、パイプオルガンの音の風圧はまさに宇宙的な広がりを感じさせます ただ、この曲の不幸な点は「序奏」だけが有名で、あとがどうなっているか、普通の人たちは興味がないことです しかし、注意深く耳を傾けると、ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラによる魅力的なソロが聴かれたり、管楽器が美しいメロディーを奏でたりと、変化に富んだ興味深い作品であることが分かります

今回のブリニエ氏への指揮者変更は、読響から迫力あるボリューム感たっぷりの音を引き出した点で成功だったと思いますが、ブル二エ氏自身はもっとダイエットした方が良いと思います 小さな親切 大きなお世話 と言われそうですが

 

     

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梅田俊明+パーヴェル・ミリューコフ+東京都交響楽団でチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」、シューマン「交響曲第1番」他を聴く~春の伊吹を届けてくれた演奏に拍手!

2018年03月16日 07時51分01秒 | 日記

16日(金)。わが家に来てから今日で1262日目を迎え、ネット通販最大手の米アマゾンの日本法人「アマゾンジャパン」が、取引先に対して不当な「協力金」を負担させた疑いがあるとして、公正取引委員会が同社に独占禁止法違反(優越的地位の乱用)容疑で立ち入り検査した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       アマゾンは責任を痛感すべきところを 責任を通販してるらしい(今日は苦しいな)

 

         

 

昨日、夕食に「ニラのスタミナ丼」「生野菜とサーモンのサラダ」「ワンタンスープ」を作りました 「ニラ~」は息子のリクエストですが、美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨夕、池袋の東京芸術劇場コンサートホールで東京都交響楽団のコンサートを聴きました これは「2018都民芸術フェスティバル」参加公演です。プログラムは①ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」、②チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」、③シューマン「交響曲第1番変ロ長調”春”」です ②のヴァイオリン独奏は2015年チャイコフスキー国際コンクール第3位のパーヴェル・ミリューコフ、指揮は梅田俊明です

 

     

 

「2018都民芸術フェルティバル オーケストラ・シリーズ」も今回が最終回です 自席1階J列10番、左ブロック右から3つ目の席ともこれでお別れです

オケのメンバーが配置に着きます。弦は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの都響の編成です  コンマスは山本友重氏、第2ヴァイオリン首席には双紙氏の隣にエンカナ(遠藤香奈子)さん、ヴィオラ首席・鈴木学氏の隣には先日聴いたエピス・クァルテットの村田恵子さんがスタンバイしています

1曲目はドヴォルザークの序曲「謝肉祭」です ドヴォルザーク(1841~1904)は1891年から翌年にかけて演奏会用序曲「自然と人生と愛」を作曲しましたが、これは第1部「自然の中で」、第2部「人生(謝肉祭)」、第3部「愛(オセロ)」の3部作からなります この第2部が単独で演奏される機会が多いというわけです あえて名前は伏せますが、当ブログの読者ゆえさんはこの曲が大好きです

梅田氏が指揮台に上がり、さっそく演奏に入ります。冒頭から「謝肉祭」のタイトル通り、お祭りの賑やかな光景が目に浮かぶような色彩感溢れる演奏が繰り広げられます この1曲を取ってみてもドヴォルザークはチャイコフスキーと並ぶメロディーメーカーだと思います

2曲目はチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」です この曲は、チャイコフスキーの友人(実は男性の愛人)のヴァイオリニスト、ヨシフ・コーテクがもたらしたラロの「スペイン交響曲」(実質的なヴァイオリン協奏曲)に刺激を受けて作曲した作品です 当時の大ヴァイオリニスト、レオポルド・アウアーから演奏不能と言われたりして不運なスタートを切った作品ですが、モスクワ音楽院教授のアドルフ・ブロツキーの後押しを得て世に認められるようになったと言われています 今ではとても信じられないことです 第1楽章「アレグロ・モデラート~モデラート・アッサイ」、第2楽章「カンツォネッタ:アンダンテ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ・ヴィヴァシッシモ」の3楽章から成ります

上のチラシの写真と違って顎髭を蓄えたパーヴェル・ミリューコフが登場しスタンバイします 彼はサンクトペテルブルクにおいて演奏家の育成に取り組んでいる「音楽の家」と日本演奏連盟との若手演奏家の交流の一環として、同連盟の招聘により来日したとのことです

梅田氏のタクトで第1楽章が開始されます 序奏が終わりミリューコフのヴァイオリンのソロが演奏されます。最初に感じたのはパワフルなヴァイオリンだな、ということです オケを巻き込んだ第1楽章の熱演が終わると、2階右サイドから拍手が起こりました 先日のチャイコフスキー「悲愴交響曲」でのフライングと同じ位置の席と思われます。第1楽章が終わっただけなのに、なぜ拍手が起こるのか? それはプログラムの解説を読んでいないからです 少なくともこの曲は3つの楽章から構成されていることをあらかじめ調べておくべきで、楽章間で拍手をすることは指揮者と演奏者の緊張感の持続を損なう可能性が強いということを知るべきです

ミリューコフは、第2楽章に入ると一転、抒情的な演奏に終始します そして第3楽章では再度パワフルな演奏を展開、圧倒的なフィナーレを迎えます 全楽章を通じてオーボエ、クラリネット、フルートといった木管楽器群が素晴らしい演奏でソリストを支えました

鳴りやまない拍手とブラボーに、ミリューコフはイザイの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番」から「バラード」を圧倒的な超絶技巧で演奏し、聴衆の度肝を抜きました

 

     

 

休憩時間に、昨年夏の「フェスタサマーミューザ」でご一緒した神奈川在住のSさんと会い、あいさつしました お互いにこのシリーズの8公演連続券の購入者ですが、彼は2階席で私は1階席のため、シリーズ1回目=1月19日の東京フィルのコンサートで挨拶して以来 昨日までお会いできませんでした 「ヴァイオリン、迫力がありましたね」「良かったですね」「次回は夏のミューザですね。聴きに行かれるでしょう?」「行きます」「それではその時まで」という会話を交わして別れました。考えてみると、私はその前に、3~4月に「東京・春・音楽祭」があり、5月に「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」があり、6月に「サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン」があります でも、そんなの あっという間にやってくるでしょう

休憩後のプログラム後半は、シューマン「交響曲第1番変ロ長調”春”」です シューマンは1840年9月、ピアノの師であるフリードリヒ・ヴィークの執拗な反対を押し切って娘クララと結婚しますが、その翌年の1841年に交響曲第1番の作曲に取り掛かり 同年3月31日にメンデルスゾーン指揮ゲヴァントハウス管弦楽団により初演されました   第1楽章「アンダンテ・ウン・ポコ・マエストーソ~アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・アニマート・エ・グラツィオーソ」の4楽章から成ります 当初シューマンは各楽章に「春のはじめ」「たそがれ」「楽しい遊び」「春たけなわ」というタイトルを付けましたが、最終的には削除しています しかし、このタイトルはこの作品を聴くうえで大きな助けになります 第1楽章冒頭の金管楽器によるファンファーレは、まさに「春のはじめ」を表現しています 抒情的な第2楽章は「黄昏」そのものです 第3楽章の弾むようなスケルツォは「楽しい遊び」に満ちています そして第4楽章の喜びに満ちた音楽はまさに「春たけなわ」です

梅田俊明+都響は、演奏を通して春の伊吹を会場の聴衆に届けました 時は2018年3月15日、この日にピッタリの「スプリング・シンフォニー」でした

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新国立オペラでドニゼッティ「愛の妙薬」を観る~ルクレツィア・ドレイ(Sp)、サイミール・ピルグ(Tr)、レナード・ジローラミ(Br)、大沼徹(Br)、吉原圭子(Sp)にブラボー!

2018年03月15日 08時02分24秒 | 日記

15日(木)。わが家に来てから今日で1261日目を迎え、ティラーソン国務長官がトランプ米大統領から突如解任を告げられ 31日付で退任することになった というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      やっぱり「トランプはバカだ」と言われたのを恨んでるんだろうな 本当だけに

 

         

 

昨日、夕食に「筑前煮」「焼肉」「生野菜と生ハムのサラダ」を作りました 「筑前煮」は久しぶりですが われながら美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨夕、初台の新国立劇場「オペラパレス」で、ドニゼッティの歌劇「愛の妙薬」を観ました 出演は、アディ―ナ=ルクレツィア・ドレイ、ネモリーノ=サイミール・ピルグ、ベルコーレ=大沼徹、ドゥルカマーラ=レナード・ジローラミ、ジャンネッタ=吉原圭子。管弦楽=東京フィル、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=フレデリック・シャスラン、演出=チェーザレ・リエヴィです

 

     

 

純朴な農夫ネモリーノは村一番の美人で 農場主アディ―ナに夢中になっている   軍曹のベルコーレが彼女を口説くので、ネモリーノも勇気を奮って告白するが まるで相手にされない そこへインチキ薬売りのドゥルカマーラが登場、愛の妙薬と称して安物のワインを売りつける 酔っ払ったネモリーノは酒の勢いで強気になるが、反発して怒ったアディ―ナはベルコーレと結婚すると言い出す 焦ったネモリーノはさらに妙薬を買うお金を稼ぐためにベルコーレの率いる軍隊に入隊する。自分の気を引くためにやった彼の行動に心を動かされたアディ―ナはネモリーノに愛を告白し、二人は目出度く結ばれる

 

     

 

私が新国立オペラの「愛の妙薬」をチェーザレ・リエヴィの演出で観るのは2010年4月、2013年1月に次いで今回が3度目です

イタリア出身のチェーザレ・リエヴィの演出は、この物語の冒頭 アディ―ナが「トリスタンとイゾルデ」の本を農民たちに読んで聞かせるシーンから始まるところから、プロダクションのキーワードを「本」としています 舞台の左右の袖には柱の代わりに巨大な「トリスタンとイゾルデ」の本が林立しています この後、大小さまざまな本が背景に登場することになります また、歌手たちの頭髪や衣装がポップで、頭髪はアディ―ナが銀色、ネモリーノが赤色、ベルコーレが紫色、ドゥルカマーラが緑色、ジャンネッタが金色といった具合です

歌手陣ではまず最初に、アディ―ナを歌ったミラノ出身のルクレツィア・ドレイを挙げるべきでしょう 彼女の歌はドニゼッティの求める「ベルカント」を体現するもので、とくに高音部のコントロールが抜群で、美しくも力強いソプラノを聴かせてくれました

次いでネモリーノを歌ったアルバニア出身のサイミール・ピルグは、後半に行くほど良くなっていき、第2幕のロマンツァ「人知れぬ涙」はアディ―ナに対する切なる想いを歌い込んだ感動的な歌声でした

ところで、この二人が二重唱を歌うところを見ていたら、香取慎吾とマリリン・モンローがデュエットを歌っているような錯覚を覚えました あくまでも錯覚です

日本人歌手では、ベルコーレを歌った大沼徹が演技力を伴った素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました もう一人、忘れてはならないのはジャンネッタを歌った吉原圭子です 秋葉原のメイド喫茶(行ったことはありませんが)のメイドさんのような衣装で登場した時は 思わず可愛い と(心の中で)叫んでしまいましたが、この小柄な身体のどこから合唱を突き抜けて力強く美しい声が出てくるのだろう、と思うほど声がよく通り ビックリしました

さて、このオペラの陰の主役は「愛の妙薬=実は安物ワイン」をネモリーノに売りつけたドゥルカマーラを歌ったレナード・ジローラミです 1991年から96年までウィーン国立歌劇場の専属歌手を務めていたイタリア出身の実力者です 前回(2013年)の時と同様、抜群の歌唱力とウィットに富んだ演技力で喝さいを浴びました 第1幕でドゥルカマーラが登場するシーンはチェーザレ・リエヴィによる意表を衝く演出が見られました 彼は実物大のプロペラ飛行機に乗って登場し、翼の上で自己紹介の歌を披露するのです(上のチラシ参照)。正直言って、あの高さは怖いと思います

第1幕でドゥルカマーラがネモリーノにインチキ惚れ薬を売りつけた後、感謝の言葉を述べるネモリーノと 「こんなバカなやつは見たことない」と早口言葉で呆れるドゥルカマーラの二重唱は、何度聴いても笑ってしまいます

パリ出身のフレデリック・シャスラン指揮東京フィルは歌手に寄り添って演奏し、新国立劇場合唱団は素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました 演出のリエヴィ氏はプロダクション・ノートで「米メトロポリタン歌劇場合唱団が世界一だと思っていたが、それ以上だ」と語っています

私は交響曲、協奏曲、管弦楽曲、合唱曲、宗教曲、オペラ、ピアノやヴァイオリンのソロなどジャンルを問わず何でも聴きますが、「歌あり、演技あり、演出・舞台あり、演目によってはバレエあり」という総合芸術としてのオペラが一番好きです とくに今回のような喜劇は最高に楽しいです

 

     

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大井剛史+大谷康子+日本フィルでメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」、シューベルト「交響曲第8番”ザ・グレート”」他を聴く / メトロポリタン歌劇場 レヴァイン氏を解雇~過去のセクハラで

2018年03月14日 07時51分03秒 | 日記

14日(水)。わが家に来てから今日で1260日目を迎え、トランプ政権が12日 米南部フロリダ州の高校で17人が死亡した銃乱射事件を受け、教職員への銃の訓練などを柱とする学校の安全強化を発表した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ライフル協会の反対で 銃購入の年齢制限の引き下げは入ってない  方向性が疑問だ

 

        

 

昨日の朝日夕刊によると、

「米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場は12日、性的虐待の疑いが浮上していた指揮者ジェームズ・レヴァイン氏(74)について、外部機関による調査の結果、虐待の確証が得られたため『関係を絶った』とし、解雇したことを明らかにした レヴァイン氏は2016年まで40年にわたり同劇場の音楽監督を務めていたが、若い音楽家らに対し自らの権威をかさに性的虐待やセクハラ行為を行っていた確証が得られた。調査には70人以上が協力した

とのことです

METライブビューイングの歌手へのインタビューでは、多くの歌手が「レヴァイン氏のお陰で今の自分がある」とか、「レヴァイン氏ほど歌手に寄り添って演奏する指揮者はいない」とか語っていますが、デビュー間もない新人歌手には高圧的な態度を取っていたようですね とても残念です

 

          

 

昨夕、池袋の東京芸術劇場コンサートホールで日本フィルのコンサートを聴きました これは「2018都民芸術フェスティバル」参加公演です。プログラムは①メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」、②同「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」、③シューベルト「交響曲第8番ハ長調”ザ・グレート”」です ②のヴァイオリン独奏は 長年にわたり東京交響楽団のコンミスとして活躍し、現在フリートして演奏活動をしている大谷康子、指揮は2008年アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンクール第2位入賞の大井剛史です

 

     

 

オケのメンバーが配置に着きます。弦は左にヴァイオリン・セクションを集めています 残念ながら日本フィルの団員はほとんど分かりません。辛うじて分かるのはコンマスの扇谷泰明氏とソロ・チェロの辻本玲氏くらいです

1曲目はメンデルスゾーンの序曲「フィンガルの洞窟」です この曲は1829年の夏にスコットランド旅行中に訪れたヘブリディーズ諸島の印象をもとに書かれた作品ですが、序曲と言っても歌劇の序曲とは違い、独立した演奏会用の作品です 大井氏が指揮台に上がり演奏に入ります。現在、東京佼成ウインドオーケストラの正指揮者を務める大井氏にとっては得意のレパートリーでしょう。音による風景画を聴いているようでした

2曲目はメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」です この曲はちょうど1週間前に小林美樹さんの演奏で聴いたばかりです。そういう意味では、彼女の演奏と比較しながら聴けるのでラッキーでした 

この曲は1838年に着手され1844年に完成しました。第1楽章「アレグロ・モルト・アパショナート」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグレット・ノン・トロッポ~アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成りますが、続けて演奏されます

ソリストの大谷康子さんが濃いピンクの華やかな衣装で登場、スタンバイします 大井氏の指揮で第1楽章が開始されます。冒頭は大井氏が普通のテンポで演奏しようとするのに対し、大谷さんはたっぷり歌わせる動きを見せ、若干のせめぎ合いが見られたのが面白く感じました 全曲を聴いた印象は、先日の小林美樹さんの演奏が「流麗そのもの」だったのに対し、大谷さんの演奏は ただ美しく流れるように演奏するのではなく、各フレーズにこだわりをもって納得しながら演奏するような印象を受けました また、第3楽章フィナーレでは、指揮者や会場の聴衆を見ながら「音楽するって、こんなに楽しいんですよ」とでも言いたげな表情で演奏していたのが印象的でした 東響のコンミスをやっていた時もそうでした。今年デビュー43周年を迎えるということですが(あえてWikipediaで誕生日は調べません)、ものすごく若く見え、音楽をやるのに年齢は関係ない ということを目の前で実証してくれました   「明るい人は 人を引き付ける」と言われますが、この人の最大の利点でしょう 休憩時間に開かれたサイン会には多くの人が押し寄せていました

 

     

 

休憩後はシューベルト「交響曲第8番ハ長調”ザ・グレート”」です 昔は「第9番」でした。この曲は1825年夏から1826年春にかけて作曲され 1826年10月にウィーン楽友協会に献呈されましたが、その13年後の1839年にロベルト・シューマンがシューベルトの兄のもとにあった遺稿の中から楽譜を発見しました そして、1839年3月21日にメンデルスゾーン指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団により初演されました 第1楽章「アンダンテ~アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モト」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

大井氏のタクトで第1楽章が開始されます。冒頭ホルンによる やや速めの、というか現代では普通のテンポで音楽が進みます 第2楽章ではオーボエが良く歌います それと弦がすごく美しいアンサンブルを奏でます 日本フィルの弦ってこんなにいい音を出すのか、とビックリしました 全楽章を通して、シューベルトらしい同じメロディーの繰り返しがあり、ともすると飽きがくるのですが、大井氏の指揮は微妙に表情を変えていて 飽きさせません   ひと言で言えばアクセントを付けたメリハリの効いた演奏です。とても気持ちの良い演奏でした

大井氏+日本フィルは会場いっぱいの拍手とブラボーに応え、アンコールにシューマン(サン・サーンス編)「夕べの歌」を静かに演奏し、聴衆のクールダウンを図りました

 

 

toraブログのトータル閲覧数が340万 PV を超えました。これもひとえに普段からご覧いただいている読者の皆さまのお陰と感謝しております   これからもド根性で毎日書き続けて参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします

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コパチンスカヤのチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」をCDで聴く~挑戦的で刺激的な演奏 / 土田京子著「和声法がさくさく理解できる本」を読む~音大生にとってはそうでしょう

2018年03月13日 08時01分43秒 | 日記

13日(火)。わが家に来てから今日で1259日目を迎え、財務省が12日 「本件の特殊性」や「特例的な内容」を削除するなど 学校法人「森友学園」への国有地売却の決済文書の書き換えを認めたことを受け、野党は麻生副総理・財務相の責任は免れないとして辞任を要求していく方針である というニュースを見て 当事者の立場になって一人会話をするモコタロです

 

     

                 野党:本件の特殊性にかんがみ 特例的に辞任を要求する 麻生副総理:あっそう

 

    

 

昨日、夕食に「牛肉と玉ねぎの甘辛炒め」と「生野菜とツナのサラダ」を作りました 「牛肉~」は肉を 作ったタレに漬け込んで冷蔵庫で30分放置してから焼くのが秘訣です

 

     

 

    

 

土田京子著「和声法がさくさく理解できる本」(ヤマハ ミュージック メディア)を読み終わりました 著者の土田さんは東京藝大作曲科とトロント王立音楽院のピアノ科を卒業、成徳学園短大や同志社女子大の音楽科講師を経て、現在「アカンサス音楽教育研究所」所長を務めています

 

     

 

著者は「はじめに」で、この本を書いた動機について次のように語っています

「私がこの本を書いた動機は、長年、音楽大学で『周辺領域』(これを音楽の専門教育機関では「副科」と呼びます)の教師をしてきた経験から、『わかる日本語で書かれた和声法の教科書』がどうしても必要だ、と考え続けてきたからです この本は『教科書』としては使い勝手がよくないかもしれません。しかし、『和声法とはどういうものか』ということを、音楽を学ぶ数多くの人たちにわかってもらいたい。そういう思いから、現代の日本人が日常使っているわかりやすい日本語で、時には目の前にいる相手に話しかけるように語った本ですから、教科書を脇から支えるものとしてお使いいただきたいと思います

この本を読み終わった結論から言うと、「はじめに」に書いてある通りであるがゆえに、途中でギブ・アップ、サッパリ理解できませんでした つまり、この本は「音楽大学の教科書の副教材」的なテキストとして、音楽大学に入学できるレベルの力を持った人たちに向けて書かれた本なのです もっと分かり易く言えば、ピアノが弾けるレヴェルの知識と能力がないと読んでも分からないのです 著者がいくら「現代の日本人が日常使っているわかりやすい日本語」で語りかけても内容が伝わらなければ意味がありません もっとも、私の頭が相当悪いというのが真相かも知れません その上で言わせてもらうと、この本のタイトルは「音大生にとって和声法がさくさく理解できる本」というのが正しいと思います

 

    

 

パトリツィア・コパチンスカヤのヴァイオリン、テオドール・クルレンツィス指揮ムジカエテルナによるチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」のCD(2016年)を聴きました

 

     

 

コパチンスカヤの演奏を聴いてみようと思ったのは、先日のブログで書いたように、FM放送から流れて来た彼女の弾くベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」の演奏を聴いて、そのユニークさに興味を持ったからです

結論から先に書けば、コパチンスカヤ自身が言うところの「粗製乱造」されてきたチャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」の演奏に殴り込みをかけるような挑戦的な演奏です 分かり易く言えば、故アーノンクールがクラシック音楽界に仕掛けてきた数々の挑戦的な試みに通じるものがあります しかも、コパチンスカヤもムジカエテルナもガット弦を張ったピリオド楽器(古楽器)を使用しているので、その点もアーノンクールと共通しています

コパチンスカヤの演奏は「楽譜通りに弾きながら即興的に演奏しているように感じる」とでも言ったらよいでしょうか それがソリストのやりたい放題の演奏だったら聴衆からすぐに飽きられてしまうでしょうが、確かな技術力に裏付けられた彼女の演奏には説得力があります

このCDにはストラヴィンスキーのバレエ・カンタータ「結婚」も収録されています

この作品は、第1部=第1場「花嫁の家」、第2場「花婿の家」、第3場「花嫁の出発」、第2部=第4場「結婚の祝宴」から成りますが、独唱4人(ソプラノ、メゾ・ソプラノ、テノール、バス)、4部合唱、ピアノ4台、打楽器という変わった編成により演奏されます 数年前にラ・フォル・ジュルネ音楽祭で初めてこの曲を聴いた時は、ストラヴィンスキーらしい面白い曲だと思いました CDの方は、ムジカエテルナの刺激的な演奏が聴けます

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クァルテット・エクセルシオでモーツアルト「弦楽四重奏曲第22番K.589」、「歌劇”フィガロの結婚”」(弦楽四重奏版)他を聴く~名アリアの数々が楽しい!

2018年03月12日 07時48分57秒 | 日記

12日(月)。わが家に来てから今日で1258日目を迎え、トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩労働党委員長との首脳会談を受け入れたことについて、ホアキン・カストロ下院議員が、空席の韓国大使や北朝鮮問題の特別代表を速やかに決めるべきだと忠告し、「トランプ氏は自称している『ディールの技術』を使うより、国務省などの政府の専門家の意見を聞くべきだと主張した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

        今やアメリカにとって最大のリスクは あらゆる局面で トランプ大統領じゃね?

 

        

 

昨日、晴海の第一生命ホールでクァルテット・エクセルシオ「アラウンド・モーツアルトvol.3」を聴きました プログラムは①フンメル「弦楽四重奏曲第2番ト長調」~第1楽章、②モーツアルト「弦楽四重奏曲第22番変ロ長調K.589”プロイセン王第2番”」、③同:歌劇「フィガロの結婚K.492」(弦楽四重奏版)です

 

     

 

自席は1階7列12番、左ブロック右通路側です。会場は1階席の6~7割くらい入っているでしょうか

第1ヴァイオリン=西野ゆか、第2ヴァイオリン=山田百子、ヴィオラ=吉田有紀子、チェロ=大友肇といういつものメンバーが入場します。女性陣は赤・オレンジ系の衣装で統一しています

1曲目はヨハン・ネポムク・フンメル(1778-1837)の「弦楽四重奏曲第2番」から第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」です  フンメルは8歳の時にモーツアルト(1756-1791)に認められ、「フィガロの結婚」初演の年=1786年から翌87年にかけてモーツアルト邸に住み込みでクラヴィーアを学んだという羨ましい作曲家です

4人の演奏で聴く限り、明るく端正なメロディーはモーツアルトよりもハイドンに曲想が近いような気がしました

2曲目は、モーツアルト「弦楽四重奏曲第22番変ロ長調K.589」です この曲はモーツアルトが1789年にベルリンへ赴いた時にプロイセン国王フリードリヒ・ヴィルヘルム2世と謁見した機会に作曲された3曲の弦楽四重奏曲(「プロイセン王第1番~第3番」)の1曲です 国王からの委嘱によって書いたのか、自発的に書いたのかは不明です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「メヌエット:モデラート」、第4楽章「アレグロ・アッサイ」の4楽章から成ります

4人が再登場し第1楽章に入ります。冒頭のメロディーは、まるでそよ風が吹いてきたような爽やかさを感じます 西野ゆかさんを中心に美しい演奏が続きます。チェロがかなり目立って活躍する場面が多いのは、素人ながらチェロを嗜んだ国王を意識して書いたことが窺えます 大友氏のチェロはいつ聴いても明るく明快で大好きです 第2楽章では冒頭からチェロが美しいメロディーを奏で、ヴァイオリン、ヴィオラと絡みますが、アンサンブルの極致です 最後まで聴き終わって思うのは、生きてモーツアルトが聴けるということは何と幸せなことか、ということです それは4人のアンサンブルが素晴らしいからこそ可能なのだと思います

 

     

 

休憩後のプログラム後半は、モーツアルトの歌劇「フィガロの結婚K.492」を弦楽四重奏曲用に編曲した版による演奏です 「フィガロの結婚」はモーツアルトが30歳の時の1786年にウィーンで初演されましたが、当時、オペラを聴ける人は極めて少数で、「テレビもねぇ、ラジオもねぇ、CDもDVDもiPodもねぇ、おらこんな村イヤだ―」という状況の中で、小編成向けに編曲された楽譜が作られ、オペラの普及に役立ったのでした

大友氏がモーツアルト時代の銀髪のカツラをかぶって登場すると、会場のそこかしこから笑いが起こりました 前半は第1ヴァイオリンの西野ゆかさんがリーダーでしたが、後半は大友氏がヘッドを務めるということでしょうか 見てたら酔っぱらっちゃったぁ、ウィ~ッグ

演奏されるのは、全4幕の中の「序曲」から第29曲「フィナーレ”皆の者、みんな、武器を取れ、武器を”」までのうち主だったアリアや重唱などですが、いかにモーツアルトが1曲のオペラの中で数多くの名旋律を残したかが良く分かります 演奏を聴きながら、それぞれの場面を思い浮かべていました 第1幕のスザンナとマルチェリーナが道を譲り合う二重唱「お仕えさせてくださいませ、まばゆい奥さま」や、第3幕のアルマヴィーヴァ伯爵とスザンナの二重唱「ひどいぞ、どうしてこんなに焦らせるんだ」などは、聴きながらニヤニヤしてしまいました

一方、第2幕冒頭の伯爵夫人のカヴァティーナ「愛の神様、慰めをお授けください」は、ヴァイオリンを中心とするアンサンブルの美しさに聴き惚れてしまいました

とにかく楽しい演奏でした こういう企画はもっとやってほしいと思います。次は「コジ・ファン・トゥッテ」の弦楽四重奏版はどうでしょうか

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