25日(火)。わが家に来てから59日目を迎えたいつものモコタロです
3連休もあっという間に終わったな 関係ないけど
閑話休題
昨日、東京オペラシティコンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパン(B.C.J)の第110回定期演奏会を聴きました 東京オペラシティコンサートホールのホワイエではクリスマス・ツリーがお出迎えです
プログラムはいつものバッハのカンタータではなく、大バッハ(1685-1750)の100年ほど前に活躍したハインリヒ・シュッツ(1585-1672)と同時代の作曲家の音楽です 出演はソプラノ=松井亜希、アルト=青木洋也、テノール=谷口洋介、バス=渡辺祐介、コルネット&トロンボーン=コンチェルト・パラティーノ、管弦楽と合唱=バッハ・コレギウム・ジャパンです
1曲目はスヴェーリンク(1562-1621)の詩編36編を鈴木優人のパイプオルガンで聴きました 3つの楽章から成りますが、第1、第2楽章が単純で穏やかな曲想だったのに対し、第3楽章はスケールの大きな迫力のある音楽でした
第2曲目から3曲はハインリヒ・シュッツの曲です。指揮の鈴木雅明がマイクを持って登場し、「シュッツは後のヨハン・セバスチャン・バッハをはじめとする音楽家に大きな影響を及ぼしました」と解説しました。プログラムに音楽学の佐藤望氏が次のように書いています
「『ダヴィデ詩編集』は非常に大規模な演奏体を必要とする作品である。当時の演奏習慣ではどの声部に声を配置するか、弦楽器、管楽器を配置するか、あるいはそれらをどのように重ねるかは、いくつかの重要原則に基づけば、あとは演奏現場の判断に任せられていた。つまり、正統的な編成法がひとつでないのである」
この解説のとおり、弦楽器、管楽器、通奏低音(チェロ、コントラバス、オルガン、チェンバロ等)、ソリスト、合唱は、後ろの椅子に座ってスタンバイしていて、曲に応じて前に出てきて演奏するスタイルをとります 例えば最初の「わが魂よ、いざ主を讃えよSWV41」では、ステージの左右に合唱がスタンバイし、中央左サイドにヴァイオリン・ヴィオラが、中央右サイドにトロンボーンが、中央前列に通奏低音が配置する態勢をとります。かなりの大編成です
次の「涙をもて種を撒く者等はSWV42」では、左サイドにヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバスとソリスト2人が、中央にオルガン、リュートが、右サイドにトロンボーンとソリスト2人がスタンバイします
曲ごとに出番が異なるので、とくに歌手陣には多少の戸惑いが見られようで・・・・・
A「今度、わたし出番だったかしら・・・・?」
B「そんなこと訊かれても、わたし自分のことで精いっぱいよ」
A「えらい、すんまへん」
という会話が聞こえてきたような気がします
「我らにではなく、主よ、あなたの御名に栄光が帰せられんことをSWV43」が違う態勢で演奏された後、指揮者・鈴木雅明氏がマイクを握ります
「これからお聴きになる曲には、何回もアーメンという三拍子の曲が出てきますが、3という数字はキリスト教の三位一体を意味します」
なるほど、3は三位一体か、と納得しました。そして「神 立ち上がり給えばSWV356」を演奏します。この曲はソプラノの松井亜希と藤崎美苗によって勇壮に歌われました
次にシャイト(1587-1654)の「ベルギーの歌によるカンツォン・イミタツィオSSWV100」がコンチェルト・パラティーノによって演奏されました このグループはコルネット2人とトロンボーン3人から成る古楽器グループですが、コルネットは縦笛で、ヴァイオリンが出現するまではこの楽器が活躍したようです。トロンボーンの音が大きいのでコルネットだけの音を聴きとりにくいのですが、トランペットのような音がします
前半最後の曲はシュッツ「ハレルヤ!主を讃えよ、その聖所にてSWV38」です。合唱、管楽器、弦楽器が4つのグループに分かれて演奏するだけに大規模な編成です
休憩後はシュッツ「全地よ、主に向かいて歓呼せよSWV47」、次いで、コンチェルト・パラティーノによりシャイト「カンツォン・ベルガマスカSSWV64」が祝祭的に演奏されました
ここで鈴木雅明がマイクを持って登場、トークに入ります
「プログラムの表紙はアルファベットのSをデザインしています。Sというのは今回取り上げたシュッツのSですが、その先輩格に当たる重要な人物スヴェーリンクのSでもあります。そう言えば、鈴木(雅明)もSですね・・・・」(ここで会場から笑と拍手が)
そして、そのスヴェーリンクの「詩編116篇」が鈴木優人のパイプオルガンで演奏されました
次にシュッツの「主に向かいて新しき歌を歌えSWV342」が小規模編成で演奏されました。ここでは、それまで目立たなかったリュートの音色がはハッキリと聴こえました
次に「主に向かいて新しき歌を歌えSWV35」が合唱で歌われ、「主を喜べ、義しき者らよSWV367」がヴァイオリン2、通奏低音のバックで男声3人で歌われました
最後に「慈しみ深き主に感謝せよSWV45」が出演者全員で演奏されました 鈴木氏の解説によると、「いつ終わるか分からない、果てしない曲」です。この曲で初めてティンパ二が登場しますが、このティンパニが全体に良いアクセントを付けていました
今回は、バッハのほぼ100年前のシュッツを中心とする音楽を聴いたわけですが、シュッツを通してバッハの偉大さを再確認したコンサートだったように思います