人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラでヴェルディ「ドン・カルロ」を観る~6人の名歌手を揃えたグランド・オペラ

2014年11月28日 07時03分59秒 | 日記

28日(金)。わが家に来てから62日目を迎えた思索にふけるモコタロです 

 

          

          晩秋は何かと考えるところが多いなぁ ご飯の時間とか

           

   閑話休題  

 

昨夕、初台の新国立劇場でヴェルディの歌劇「ドン・カルロ」を観ました 劇場に入った正面にはクリスマスツリーが飾られていました

 

          

          (ガラケーで撮ったのでピンボケでクルシミマスツリーですが)

 

当日のキャストは、フィリッポ二世にラファウ・シヴェク、ドン・カルロにセルジオ・エスコバル、ロドリーゴにマルクス・ヴェルバ、エリザベッタにセレーナ・ファルノッキア、エボリ公女にソニア・ガナッシ、宗教裁判長に妻屋秀和ほか。指揮はピエトロ・リッツォ、オケは東京フィルハーモニー交響楽団、演出・美術はマルコ・アルトゥーロ・マレッリです 私は同じ演出で2006年9月7日に観ています。あれから8年が経ったのか、と感慨深いものがあります

 

          

 

この日のために、今週に入ってからヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン国立歌劇場管弦楽団によるCDで予習してきました キャストは、フィリッポ二世にシェザーレ・シェピ、ドン・カルロにユージニオ・フェルナンディ、エリザベッタにセーナ・ユリナッチほかです 私はユーゴスラヴィア出身のユリナッチの大ファンです カラヤン+ウィーン国立歌劇場管弦楽団によるR.シュトラウスの「ばらの騎士」のオクタヴィアン/マリアンデル役は彼女の”はまり役”で、ユリナッチ以上のオクタヴィアン/マリアンデルはいないでしょう

 

          

 

休憩時間を入れて3時間半のオペラです。途中の30分休憩に軽食を取ることにしました 先日この劇場で『ドン・ジョバンニ』を観た時、休憩時間に大通りの向こう側までラーメンを食べに行って、再開時間ギリギリに戻ってきて冷や汗をかいた経験があるので、いつものようにコンビニでおにぎり3個と100円のお茶を買うことにしました

 

          

 

舞台は16世紀のスペイン。スペインの王子ドン・カルロは、婚約者エリザベッタを父フィリッポ二世に奪われてしまう カルロは友人ロドリーゴの薦めで圧政に苦しむフランドル人民の解放に立ち上がるが、王への反逆罪に問われる 王子に恋心を抱いているエボリ公女は、エリザベッタへの嫉妬心から国王の前で彼女を陥れる。一方、宗教裁判所の刺客がロドリーゴを暗殺する 王子は解放されてフランドルに旅立つ前にエリザベッタと永遠の別れを惜しむが、国王が現われ王子の逮捕を命じる そこに先帝の霊が現われ、カルロを墓に引きずり込む

つまり、このオペラを一言で言えば、カルロとエリザベッタの”報われぬ恋”、カルロとロドリーゴとの”男の友情”、フィリッポ二世の”権力者としての孤独”、フィリッポ二世と宗教裁判長の間の”政治と宗教の対立”といった複雑極まるストーリーを、ヴェルディが美しく、勇ましく、悲しい音楽で彩ったグランド・オペラです

それだけに、フィリッポ二世、ドン・カルロ、ロドリーゴ、エリザベッタ、エボリ公女、宗教裁判長の6人の名歌手を揃えなければならないので、なかなか上演の機会がないのです その点、今回のキャストはかなり粒のそろった歌手陣でした

中でも一番声がよく通っていたのがドン・カルロを歌ったスペイン出身のテノール、エスコバルです ビックリするくらいの声量があり、声も滑らかです。また、ロドリーゴを歌ったオーストリア出身のバリトン、ヴェルバは魅力的な声で王と王子との間に挟まれながらも王子に尽くす難しい役を見事に演じました 第1幕第1場の最後にカルロとロドリーゴが歌う二重唱「友情のテーマ」の勇壮な音楽を聴いていて、2011年の米メトロポリタン歌劇場の来日公演「ドン・カルロ」でのバリトンのホロストフスキーの雄姿を思い出しました。そういえば、あの時は、エリザベッタをポプラフスカヤが歌いました

 

          

 

フィリッポ二世を歌ったポーランド出身のバス、シヴェクは、第3幕第1場でチェロに導かれて、アリア「ひとり寂しく眠ろう」を孤独感に溢れて悲痛に歌い上げました 宗教裁判長役の妻屋秀和は、一言で言うと”役者”です。何をやらせてもそつなく素晴らしい歌声を聴かせてくれます

女声陣では、エリザベッタを歌ったイタリア出身のソプラノ、ファルノッキアは、第4幕のアリア「世の虚しさを知る神」をはじめ悲劇のヒロインを歌い上げました また、エボリ公女を歌ったイタリア出身のメッゾソプラノ、ガナッシは、このオペラで唯一明るい第1幕第2場のアリア「ヴェールの歌」を美しく歌いました

 

          

 

歌手陣に負けずに検討していたのが、ローマ生まれのピエトロ・リッツォ指揮東京フィルハーモニー交響楽団の面々です この複雑なオペラのストーリーに沿って、勇壮なときは勇ましく、悲しいときはこれ以上なく悲しみを湛え、オーケストラ自らが歌っていました それは見事でした。それと、いつもながら新国立劇場合唱団の素晴らしいコーラスも忘れてはいけません

今回の公演は演出を含めた総合力で極めてレヴェルが高いのではないかと思います

 

          

          

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする