人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ピリオド楽器でピアノ・トリオを聴く~ベートーヴェン、メンデルスゾーン

2012年02月28日 06時29分37秒 | 日記

28日(火)。昨夕、紀尾井ホールで「4大ピアノ・トリオを聴く~第一夜。ベートーヴェンとメンデルスゾーン」を聴いてきました プログラムは①ベートーヴェン「ピアノ三重奏曲第7番”大公”」、②メンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第1番」の2曲ですが、両曲ともピリオド楽器(古楽器)で演奏されます。演奏はミュンヘンを中心に活躍する佐藤俊介(ヴァイオリン)、バッハ・コレギウム・ジャパンの首席・鈴木秀美(チェロ)、ミュンヘン音楽大学チェンバロ教授クリスティーネ・ショルンスハイム(フォルテピアノ)です

佐藤が使用するヴァイオリンは1846年オーギュスト・ベルナルデルの作、ショルンスハイムの弾くフォルテピアノは1820年ヨハン・ゲオルグ・グレーバーの作で、それぞれベートーヴェンが生きていた頃の楽器、鈴木秀美のチェロは1759年のティーノ・ルッケ・ペカットのモデルによる1998年製コピーとのことです

会場はほぼ満員。自席は1階17列22番、後方の最右翼です。舞台中央に鎮座するのは1820年製のピアノフォルテ。木製楽器ですが、茶色というより銅色と言った方が相応しい渋い色です

ベートーヴェンはピアノ三重奏曲を7曲作りましたが、最後の曲がこの日演奏される第7番”大公トリオ”です。タイトルは、作曲者のパトロンだったルドルフ大公に献呈されたことに由来します

ソリスト3人が登場し、念密なチューニングが始まります。そして、まずピアノフォルテが第1主題を奏でると、ヴァイオリンとチェロがそれに応えます その音を聴く限りでは、800人収容の紀尾井ホールが限界かも知れないと思います。2000人規模のサントリーホールでは、音が隅々まで十分には届かないでしょう。ベートーヴェンの生きていた頃はそれ程の大ホールはありませんでしたから、この日の音で十分だったでしょうが

まさにベートーヴェンの時代の演奏の再現です。”等身大”の演奏と言ってもいいかもしれません。ヴァイオリンもチェロもピアノフォルテも、現代楽器のような音の大きさと”鋭さ”はない反面、空気を包み込むようなやさしい響きが会場を満たします。楽章が終わるごとにヴァイオリンとチェロがチューニングをしますが、それほど微妙な楽器なのでしょう

隣席のカップルの女性は、映画「リング」の貞子のように長い髪を前に垂らして気持ちよさように舟を漕いでいました。贅沢な人です。どうか幸せになってくださいね、貞子さん

さて、この日の目的は、どちらかと言えばメンデルスゾーンの”短調”の魅力を楽しむことです。1840年2月1日に初演したとき、メンデルスゾーンがピアノを弾いたとのことです。この曲はメンデルスゾーンの短調の魅力が溢れた曲で、シューマンが彼を「19世紀のモーツアルトだ」と絶賛するきっかけとなったといわれる曲です シューマンでなくともそう思ったでしょう。ピアノ四重奏曲第1番とともに”哀しみが疾走する”素晴らしい曲です

演奏を聴く限り、ベートーヴェンよりもメンデルスゾーンの方が、ピリオド楽器による演奏がしっくりとハマっていたように思います。実に心地よい演奏でした

拍手に応えてアンコールを演奏しましたが、ゆったりとした曲想を聴く限りハイドンかベートーヴェンの変奏曲のような感じを受けました。あとでロビーの掲示を見ると「フンメル作曲ピアノ三重奏曲~第2楽章」とありました。フンメルはベートーヴェンと同時代に生きた作曲家です。彼のピアノ協奏曲のCDを持っていますが、感動的な曲です

アンコールを含めて、室内楽の楽しさを十分に堪能することができたコンサートでした

「第二夜」は3月12日に開かれ、ドヴォルザークとチャイコフスキーのピアノ三重奏曲が取り上げられます。ピアノを弾くのは河村尚子。こちらはモダン楽器により演奏されます。曲は違いますが、ピリオド楽器による演奏との比較が楽しみです

 

     

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