人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

萩原麻未のラヴェル「ピアノ協奏曲」を聴く~南西ドイツ放送交響楽団バーデン=バーデン&フライブルク

2012年02月18日 07時12分44秒 | 日記

18日(土).昨夕5時半から,地下の炭火焼鳥OでS監査役、E部長、T君、K君,S建設のFさん,そして私の前職Sさんと飲みました 私は7時からコンサートを控えているので,6時には引きあげることを目途に時間を気にしつつ飲みました.タイムキーパーのK君が「殿,そろそろお時間で御座りまする.出立のご準備を!」と知らせてくれたので,E部長による滞在延長作戦を振り切って6時10分頃「バスで行きます.速いんですよバスは.なにしろ”とばす”というくらいだから」と言い残して,虎ノ門から都バスに乗りサントリーホールに向かいました

フランソワ・ロト指揮南西ドイツ放送交響楽団バーデン=バーデン&フライブルクのコンサートを聴きました プログラムは①ラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」(ピアノ:萩原麻未),②マーラー「交響曲第5番嬰ハ短調」の2曲です

萩原麻未は2010年11月の第65回ジュネーヴ国際コンクール優勝者です。彼女の演奏を聴くのは、昨年の新日本フィルとのモーツアルト「ピアノ協奏曲第20番~第2楽章」(7月,トリフォニーホール)、ハープ高野麗音との「デュオ・コンサート」(9月,紀尾井ホール)、初めての「ピアノ・リサイタル」(11月,紀尾井ホール)、「生きる」コンサート(12月,横浜みなとみらいホール)に次いで今回が5回目です

南西ドイツ放送交響楽団バーデン=バーデン&フライブルクという長い名前のオーケストラは、かつてミヒャエル・ギ―レンが主席指揮者を務めていたことでも分かるように、とくに現代音楽を積極的に取り上げて成果を挙げてきた演奏集団です

指揮者のロトは2011年からこのオーケストラの首席指揮者を務めており、2003年から出身校のパリ音楽院の指揮科の教授も務めています 日本では毎年5月の連休に東京国際フォーラムで開かれている「ラ・フォール・ジュルネ・オ・ジャポン」に招かれていることで名前が知られています

サントリーホールはほぼ満員です.自席は,ソリストの萩原麻未を間近かで見たいため1階8列4番という,かなり前の左端の席を取りました.ピアニストの背中を見る位置です

オーケストラのメンバーが入場すると拍手が起こりました 海外オケの場合はこういうケースが多いです.N響とは大違い チューニングが終わって,指揮者ロトがピアニストの萩原麻未とともに登場します.萩原はブルーの鮮やかなブルーのドレス姿です ラヴェルのピアノ協奏曲がムチの音で開始され,萩原は軽快なテンポでジャズのようなラヴェル独特の曲想を奏でていきます 目を凝らしてピアノを見ると「YAMAHA」の文字が.彼女はヤマハ愛用者のようです.そういえば,昨年聴いたショパンコンクール優勝者アヴデーエワもヤマハを弾いていました.スタインウェイ,ベーゼンドルファーに追いつけ追い越せの勢いなのでしょうか?

聴きどころは第2楽章「アダージョ・アッサイ」です.抒情的なメロディーが続き,イングリッシュホルンとピアノの掛け合いが美しく響きます

そして,最終楽章「プレスト」に突入します.背中から萩原の演奏姿を観ていると,まるで雌豹が獲物を追いかけて疾走しているような迫力を感じます.その姿は若き日のマルタ・アルゲリッチを彷彿とさせます

演奏が終わると,ニコニコして観客の声援に応えてお辞儀をしますが,とても20代半ばには見えません.まだ10代のようなあどけなささえ感じさせる風貌です 鳴り止まない拍手に応えてサン=サーンスの「トッカータ」を演奏しました これは昨年のリサイタル等で3回ほど聴いていますが,初めて聴いたときは超絶技巧の極致のような難曲を何の苦もなくサラッと演奏したのに唖然として口あんぐり状態でした ただ演奏スピードが速いということだけではなく,ちゃんと「音楽」になっているのです.この日初めて彼女の弾く「トッカータ」を聴いた人は,さぞかしショックだったことでしょう これからは「君は萩原麻未のトッカータを聴いたか?」が合言葉になるでしょう

マーラーの第5交響曲がトランペットのファンファーレで始まります この曲はベートーヴェンの”運命”のパロディとも,メンデルスゾーンの”結婚行進曲”のパロディとも言われています.席が前過ぎて,どうも演奏の全体像が掴みにくいのですが,底力のあるオーケストラだと思います.第3楽章「スケルツォ」を始めるにあたり,首席ホルン奏者が指揮者の左横に出てきてスタンバイしました.そして,まるでホルン協奏曲のようにオーケストラと掛け合いを始めました.この演奏スタイルは昨年10月に高関健が新交響楽団を指揮してこの曲を演奏した際に採用したのと同じです.このホルン奏者,ソリストとしてもやっていけるような素晴らしい演奏でした

第4楽章の「アダージェット」では,弦楽器の波がやさしく流れてきました.自席は第1ヴァイオリンの側にあるのですが,向こう側のヴィオラの分厚い音がこちらへ押し寄せてくると心地よい響きを感じました.

前の方の席だから気がついたのだと思いますが,第1ヴァイオリンの客席寄り,コンマスを入れて4番目の男性奏者の奏でる音が他のメンバーよりも強いのです.第1ヴァイオリンは2列で各6人,合計12人いますが,コンマスが前の6人を統括し,残り6人を4人目の奏者が統括しているように見えました

拍手に応えて日本語で「ありがと ございます」と言って,アンコールにプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」から「騎士たちの踊り」を演奏しました.ロトは最後までタクトを持たず,両手で指揮をしていましたが,タクトは無くともコンタクトは取っていました

プログラム,演奏者とも最高にご機嫌なコンサートでした.次に萩原麻未のピアノを聴くのは3月29日に銀座ヤマハホールで開かれる「フランスの情景」コンサートです.プーランク,ミヨーなどを演奏します.これもまた楽しみです

 

 

      

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