明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1366)シノップでの原発建設は止められる(トルコで訴えたこと−1)

2017年04月05日 08時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20170405 08:30) 

昨夜、無事、帰国しました。成田のホテルにいます。

イスタンブールを飛び立ったのは現地時間で4日午前1時40分。日本時間では午前7時40分でした。フライト時間は11時間50分。午後7時30分に成田に着きました。この時間では京都まで帰るのは無理なので、成田のホテルに宿泊し、これからまた空港に戻って伊丹までフライトします。

ちなみに僕は若い頃、成田空港建設反対運動に明け暮れていたので、このホテルの周りも車で走り回った記憶があります。ホテルは空港建設の一つの象徴でもあったので、やむを得ざる宿泊とはいえ、なんとも微妙な思いがあります。 

さて、前回、シノップでの企画の報告を行いました。続けて当日、僕がお話しした原稿をアップします。

この原稿はいったん「明日に向けて」に掲載したのですが、いまのトルコの厳しい政治状況を考えた念のための配慮として、掲載は帰国後にすることとし、いったん削除しました。また前回掲載後に、さらにブラッシュアップして幾つかの箇所を削除し、原稿を短くもしてあります。シノップではこの原稿でお話ししましたのでお読みください。

なお私たち日本人の発言に続く、フランスの方達の報告の紹介は、僕の発言原稿掲載の後に行います。

*****

原発建設を止めてシノップを守ろう!私たちは必ず勝利できる!—前半

2017年4月1日 トルコ・シノップにて

トルコのみなさん。京都からやってきた守田敏也です。シノップはもう4回目の訪問で私の故郷のようなもの。ふるさとを守るために頑張ります。

今回、お招きいただいたトルコ弁護士連盟と、訪問の機会を与えてくださり、私のトルコ訪問の度に一緒に奮闘してくださっているアクティヴィストのプナール・デミルジャンさんにお礼を申し上げます。今回、私に与えられたタイトル「最近の日本の状況、福島原発事故後の社会生活、福島原発事故の経済的処理の状況」に沿ってお話しします。

 

1、日本の首相は大嘘つきです!騙されないように!

まず日本の状況ですが、ここ数年、日本では福島原発事故以降に政権党に返り咲いた安倍首相率いる自由民主党と公明党が連立政権を組み、国会の両院議席の大半を占めて大きな力を振るってきました。

安倍首相はみなさんもご存知だと思います。トルコに原発を売り込もうとエルドアン首相と核合意を結んだからです。次のオリンピック開催地をイスタンブールと東京が争った時も嘘の発言でイスタンブールを負かしました。

トルコのみなさん。私たちの国の首相は大嘘つきなのでけして騙されないでください。オリンピック招致演説のときも、「福島原発はアンダーコントロールだ。東京は安全だ」といいましたが、実際には事故は全く収束していません。

しかしこの政権は日本の選挙制度の歪みもあって国会の多数派を握っており、ひどいことを繰り返しています。とくに原子力政策では、福島原発事故の反省をしないまま、原発の再稼働と各国への売り込みに走りまわっています。

 

2、放射能の被害が様々に出る中、日本民衆は政権への抵抗を続けています!

福島原発事故後、大変な量の放射能が日本の国土の上に降りました。日本の本州の東半分が被曝しました。放射能は東京にもたくさん降っています。

 このため各地で大変な健康被害が出て来ています。顕著なのは甲状腺がんが多発していること。福島の18歳までのこどもたち38万5千人を検査して183人の患者が見つかりました。この病気は日本では15歳未満は100万人に1人、15〜19歳は100万人に5人しかおこっていませんでした。ところが福島では100万人に475人の割合で起こっています。しかも調査は福島だけ。東京でももっとたくさん起こっている可能性があります。

健康被害は他にもたくさん起こっている事が考えられています。心臓病の増加が伝えられ、他のいろいろな病気が進行が早く、治りにくくなっています。

もちろんこんなひどいことが続く事に対して、私たち日本民衆も黙ってはいません。原発再稼働に対し、東京で20万人が参加したデモを起こし、さらにその後も各地で原発の再稼働と輸出に反対して毎週金曜日に人々が集まってデモを行っています。全国で100箇所以上、その多くが連続200回を超えています。

このためいま日本で動いている原発はたったの3基。福島原発事故前にあったのは54基、このうち事故で壊れたのは4基ですが、事故後に稼働に向けた審査が厳しくなりさらに7基が廃炉になりました。このため稼働可能なのは43基ですが、うち40基を私たちは止め続けています。

こうした中で今年の2月ぐらいから大きな政治スキャンダルが持ち上がりました。大阪の幼稚園で軍隊のような教育をしている軍国主義者が、小学校を作ろうとしました。彼は安倍首相の熱烈な信奉者で、学校の名前を「安倍晋三記念小学校」と決めました。この学園が9億円もする国有地を200万円で取得していたことが明らかになったのです。名誉校長に安倍明恵首相夫人が就任していました。日本は今、連日このスキャンダルをめぐって大騒ぎになっています。このことで安倍政権が倒れる可能性も見えてきました。いやぜひ倒したいと思います。

 

3、日本政府の原発輸出路線は行き詰まっています!

安倍政権が崩れ出している背景にはこの政権の経済成長の柱の一つの原発輸出路線がつまずき、原発メーカーの一つの東芝が倒産寸前なことがあります。

みなさん。東芝という名を聞いたことがあるでしょうか。日本企業の中で中心的な位置を占めて来た企業です。それが無くなろうとしています。理由はアメリカでの原発事業の展開での大失敗です。これは安倍政権の政策の大失敗をも意味しています。そんなときだから政権に不利な情報が出てくるのでしょう。

ここで日本の原発メーカーの苦境について、もう少しお話したいと思います。

日本の原発メーカーは東芝と日立製作所、および三菱重工の三社です。このうち先頭に立ってきたのは東芝でした。東芝は世界の原子力産業のリーディングカンパニーになろうと、2006年にアメリカの原発メーカーのウェスチングハウス社を買い取りました。

同社が売りに出されたのは、アメリカでの原発建設が難しくなっていたからで、この購入はかなりの賭けでした。しかし強気な東芝は、高額で買い取りました。当時、時価3000億円と言われていたのに6400億円も出しました。ところが2008年にリーマンショックが起こり、東芝は赤字に転落。経済犯罪である不正会計に手を染め始めました。

東芝はこの状態を脱するため、ウェスチングハウス社にアメリカで6基の原発を受注させ、自身も2基を受注しました。日本メーカー初の原発輸出でした。

ところがその直後に福島原発事故が起こってしまったのです。このとき東芝が受注していた原発事業からアメリカの提携会社がすぐに逃げ出しました。なぜか。事故を起こした福島原発2、3号機が東芝製だったからです。

一方でアメリカ原子力規制委員会が、事故後に高まる脱原発の声に押されて安全基準を強化したため、ウェスチングハウス社が受注した6基のうちの2基が建設中止になり、残りの4基は継続したものの安全対策費が膨らんで採算割れを起こしてしまいました。これらの果てに東芝は昨年末で7000億円以上の赤字を抱え込み、海外の原発事業からの撤退を表明したのです。しかもそれでも苦境を乗り切れず、決算報告すら出せない状態です。

ちなみに東芝は僕がトルコに向けて旅たった3月30日にとうとうウェスチングハウス社を売却することを発表しました。その際にさらに損害が膨らむそうで、赤字総額が1兆円を超えることも明らかにされています。

もう一つの原発メーカーの日立製作所は、東芝・ウェスチングハウス社連合に対抗して、アメリカの原発メーカーのゼネラルエレクトリックと提携。ウラン燃料の新会社設立を目指しましたが、ゼネラルエレクトリックが原発事業から撤退する中で事業化に失敗し、700億円の損失を出しています。

続く

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