明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1703)地震予測はあまりに難しい・・・過去記事の訂正も含めて

2019年06月19日 15時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190619 15:00)

昨日18日夜半に、新潟・山形で震度6強・弱の大きな揺れがありました。幸いにも死者は出ていませんが、20数名のけが人がでているそうです。屋根瓦に被害が出た家屋もたくさん出ています。


毎日新聞 2019年6月19日より

このことから地震に対する関心が高まっています。とくに地震の予測を期待する声が高いですが、しかし現状では「ほとんど予測できたことがない」というのが実情です。このため「予測を防災対策に反映させない方がよい」という意見すら出てきています。
しかしこの間、この点に関し誤解を与える記事も出ており、そのうちの一つを「明日に向けて」でも無批判的に掲載してしまいました。この点の捉え返しを含めて地震予測について整理しておきたいと思います。

東洋経済に載った地震予測批判図は間違い!

ここで問題にしておく必要があるのは東洋経済onlineに掲載された以下の記事の中の図です。

「地震保険は損だ」という考えが危ない理由 
日本は地震国「安全な地域はない」と心得よ 東洋経済オンライン 20160529 https://toyokeizai.net/articles/-/118566?page=4

ここでは2014年に地震調査研究推進本部が出した今後30年の予測図の上に、現にこの間あった大きな地震をマッピングし、「予測があたってない」ことを示しています。これを僕も過去の記事で紹介しています。
しかしこれは大きな誤解の上に立っていることをある方がネット上で指摘しました。地震調査研究推進本部が出した予測は2014年から今後30年間のことなのに、書きこまれたのは2016年の熊本地震以外は以前のものだという点です。
2014年時点での予測なのですからやはりこれは間違いです。僕もこの単純なミスに気が付かずにそのまま「地震予測が難しい」ことの証左として紹介してしまいました。この点を訂正し真摯にお詫びしたいと思います。


東洋経済online掲載の図 2014年以降の予測にそれ以前の地震を書きこんでいるのであやまり

地震予測図そのものはやはり大きく外れている!

それではこの2014年の予測図は信用があるのかというと、やはり僕にはそうは思えないし、その証左と言えるものもあります。 なぜならこの図は2005年に初めて作られたものを更新してきたものなのですが、その2005年版を見るならばやはりその後の多くの地震が「大きな地震の起きる確率の高い」とされた地域にほとんど入ってないことが分かるからです。 まずは以下の報告書をご覧ください。

「全国を概観した地震動予測地図」報告書 平成17年3月23日 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 https://www.jishin.go.jp/evaluation/seismic_hazard_map/shm_report/shm_report_2005/

図3.3.1-1 今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率の分布図PDF https://jishin.go.jp/main/chousa/05mar_yosokuchizu/f331-1.pdf


2005年版の地震予測図 なお色が何%を示すかの記述はないが2014年版に近い色分けと考えてよいと考える

この図と東洋経済が近年の大地震を記した図を重ね合わせてみると、1993年北海道南西沖地震、1994年北海道東方沖地震、1995年阪神・淡路大震災、2004年新潟県中越地震などはやはり2005年版以前ですから除外すべきではあるものの、それ以外の地震がみな確率の低い地域で起こっていることが分かります。いやさらに続いた2018年の大阪北部地震も、北海道胆振東部地震も入っていませんし。
(なおこの報告書は現在アクセス数が多いためか非常に閲覧しにくい。すぐにパソコン画面が固まってしまいます。閲覧のときは注意してください)

地震の予知そのものがまだ始まったばかりの学問

この報告書を読んでこんなことも分かりました。冒頭にこう記されています。 「地震調査研究推進本部は、「地震調査研究の推進について-地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策-」(平成11年4月23日)を決定し、この中において当面推進すべき地震調査研究の主要な課題として、全国を概観した地震動予測地図の作成を挙げている。」

つまり予測図の作成は平成11年=1999年に始まっており、最初の版がやっとできたのが平成17年=2005年であったということです。 それ以前は予測図など作ることもできていなかったのです。それほどに地震学は新しい学問なのです。 それでいま予知精度はあがったのかというとまったくあがっていない。「予知失敗は100回中99回」なのだそうです。

予知失敗、100回中99回 南海トラフ地震で学者回答 実用化の難しさ浮き彫り
日経新聞 2019年5月24日 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45208760U9A520C1CR0000/ 


日経新聞の記事から

防災に生煮えの地震学の知見を持ち込むのは危険

こうした点はこの発表以前から明らかになっていたことも踏まえて地震学を防災に持ち込むことそのものへの批判も行われています。
「(地震学は)大きな地震が起きるたびに、新しい知見が積み重なり続けている段階だ。生煮えの地震研究の成果は学問の範囲にとどめ、防災に持ち込むべきではない」という主張です。

防災に地震学の最新成果を持ち込むな 研究を役立たせることを優先させるより、住民視点での減災策からスタートせよ
黒沢大陸 朝日新聞大阪本社科学医療部長
論座 2017年9月22日
https://webronza.asahi.com/science/articles/2017091800001.html
(なお途中から有料記事になります)

予測はあまりに困難です。なのに予測を取り入れてしまうと、かえって予測に示されていないところでの油断や慢心が生まれやすい。そうではなくて地震はどこでも起こりうることを前提に対策を重ねるべきなのです。
その点では原発を動かし続けてはならないことはあまりに明白です。地震が来ないなどという保障はまったくないのです。
しかも元福井地裁裁判長の樋口英明さんが繰り返し指摘しているように、すべての原発がハウスメーカーが建てている家よりもはるかに耐震性が低いのです。それでこれ以上、動かしていていいはずがない!

地震はとてもではないけれど予測できません。
この前提にたってすべての災害対策を進めるべきです。 


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