明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

地震続報( 38 )シーベルトとは何か覚えよう!

2011年03月24日 14時12分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です。(20110324 14:00)

みなさま。

今回は、原発の近くにおられる方、また近くで救援活動に従事されている方、
また東京など、一定の距離を持ったところにおられながら、飲料水などに
影響が出始めいてる方などを念頭において、今、何をすればいいかを
考察したいと思います。とくに半径30キロ以内で屋内退避されている方に、
支援物資と届けようとしている方がいると聞きましたので、それをも踏まえて
今回は被曝への気をつけ方、その目安としての被曝線量の見積もり方を
まとめます。


シーベルトとは何かを覚えよう

福島原発事故のより、放射能漏れが始まって以来、繰り返しマスコミで、
シーベルトという単位が使われていることはご存じだと思います。
シーベルトというのは放射線が人間に与える影響をあらわす数値です。

どれぐらいからが危険視されているのかというと、日本の法律では
一般人が浴びてもいいとされる許容量が年間1ミリシーベルトに定められて
います。これには宇宙から降り注いでいる放射線量年間2.4ミリシーベルトが
含まれていません。こうした自然界の影響も踏まえた上で、年間1ミリという
規制値が考えられているのです。

この年間1ミリが法的に設定されたものだということは重要です。
この法律は、原子力を推進してきた多くの人々も忠実に従ってきたものです。
安全の基準として、多くの人に支持されてきた数値だということです。

さて大事なことですが、これは1年間の値であるから、5年間では許容量は、
5ミリシーベルトになります。つまり時間の掛け算が必要なのです。この掛け算
によって被曝総量は計算されます。にもかかわらず、報道などではここが、
意識的にせよ、無意識的にせよ混同されてしまうことが多いです。

かりに1時間に1ミリシーベルトの線量がでているとすると、そこに10時間
いれば10ミリシーベルト被曝します。1日では24ミリシーベルトです。
シーベルトはこのように、その場で1時間あたりどれぐらい出ているかと
いうときと、人間が総量でどれだけ被曝したのかを表す場合とがあり、
この点をしっかり踏まえることが大切です。この間違い安さを利用して、
被曝の影響が少なめに強調されることもありるからです。

例えば、今、2号機の近くで、1時間あたり720ミリシーベルトの放射線が出ている
と見込まれています。見込みとは、この付近に近付いた作業員が、5分間で
60ミリシーベルトの被曝を受けたからです。ここから1時間では、60×12で、
720ミリシーベルトと推定されるわけです。

この720ミリシーベルトが、一般人が浴びる許容値の1ミリシーベルトと比較
されることがしばしばあります。そうすると、一見、放射線量が720倍で
あるかのように誤解されてしまいます。そのためこのような数字の並べ方を
している解説は要注意です。

実際には720ミリシーベルトは、1時間の値です。なので1年間になおすと、
8760をかけなければならないのです。そうするとこの値は6,307,200ミリ
シーベルトにもなります。つまり一般人の許容量の630万倍なのです。
ただしこれはその場でこの放射線を1年間浴び続けた場合の値ですが、
年間になおしてみると、危なくないとされる値の630万倍の放射線が今、
原発の周りで出ていることを知っておく必要があります。


それでは反対に年間1ミリシーベルトは1時間ではどれぐらいの値でしょか。
同じように8760で割ればいいわけですから、0.00011455ミリシーベルト、
したがって0.11455マイクロシーベルトであることが分かります。

この点から、お住まいの地域の放射線量が、時間あたり、この数値より
高ければ、1年間それが続くとすると、年間の被曝許容量を超えることに
なることが分かります。したがって、この1時間の数値は、その地域が、
安全か危険かの一つの目安になります。
この場合も、この数値が越えていてもそれが短い期間で収終息するならば
年間では1ミリに達しない可能性が高いです。


これを整理するために、昨日お送りした原発の半径30キロの被曝の値を
もう一度、とらえてみたいと思います。これは僕の説明の仕方では
誤解が生じるのではという指摘をうけたものです。まったくその通りで
申し訳ありませんが、その点の訂正の意味を込めて説明します。

ニュースにあったのは、原発から半径30キロ圏外で、放射性物質のヨウ素
が検出され、12日午前6時からから24日午前0時まで、屋外にいた場合の
合計で、身体に与える影響が100ミリシーベルト以上になったということでした。

これから考えると約12日間そこにいた人は、ヨウ素が出す放射線を100ミリ
シーベルト浴びてしまったことになります。1日あたりだと約8.3ミリ
シーベルトです。だいたい3時間で1ミリシーベルトの被曝を受けたことに
なります。ともあれこの地域は、身に着いた放射能を洗い落とす除染が
必要ですね。

ただこれはヨウ素だけに限ったことで、放射性物質は他にもたくさんあります。
セシウム、ストロンチウムなどなど非常にたくさんです。ヨウ素が検出された
ところでは、他のものも検出されることが多い。そのため、この地域が
1日あたり8.3ミリシーベルト被曝することが分かったのではなく、ヨウ素だけで
この値になることが分かったということになります。


合計線量がどれぐらいになったら避難した方がよいのか

1ミリ以上の被曝をさけることを目安に、どれぐらいの被曝があったら
避難を考えた方がよいのか。一つの目安が出されています。

(1) 1000マイクロSv/時に達したら、緊急脱出しなければならない
= 赤信号。
(2) 100マイクロSv/時に達したら、脱出の準備を始めた方が良い
= 黄信号。
(3) 妊娠初期(妊娠かどうか分からない人を含めて)の場合、
300マイクロSv/時に達したら、緊急脱出しなければならない
= 赤信号。
(4) 妊娠初期(妊娠かどうか分からない人を含めて)の場合、
30マイクロSv/時に達したら、脱出の準備を始めた方が良い
= 黄信号。
逆に言えば、(2)や(4)の1割以下(普通の人で10マイクロSv/時、
妊娠初期の人で3マイクロSv/時)なら安心して良い
(5) もしも原発の近くで50ミリSv/時を越えたら風下100km以内
(左右60度の扇形)の 人は緊急に屋内に退避し、100km以上でも
近くの放射能値情報に随時注意する
= 赤信号。
(6) もしも原発の場所で急に5ミリSv/時以上の上昇が見られたら、
風下100km以内(左右60度の扇形)の人はなるべく屋内に退避し、
100km以上でも近くの放射能値に随時注意する
= 黄信号。

これは山内正敏さん(スウェーデン国立スペース物理研究所(IRF))が
示して下さったものです。詳しくは以下のサイトを参照してください。
http://www.irf.se/~yamau/jpn/1103-radiation.html


これは線量との関係から考えられた一つの目安ですが、ここでも
被曝量は総量として数えることを念頭においてください。線量はだんだんと
上がってくる場合もあります。したがって、100Sv/時に達した
ときは、累計では100マイクロシーベルト以上、浴びている
可能性が高いです。

また10Sv/時だったら安心とありますが、その状態が100時間
続けば、被曝総量は1ミリシーベルトになってしまいます。
これを念頭において、総量で被曝量が1ミリにならないように
注意してください。

またこの目安には、原発が炉心崩壊などの大事故を起こす
ことは想定されていません。そのときは放射線量が急激に
上がるので、この想定は役に立ちません。
大事故の報が入ったら、風の向きを確認して、ともかく遠くに
移動するのが賢明です。

その点では、可能なら放射線量が高くならないうちに避難した方が
良いと僕は思います。しかしその場合、避難先の有無、家族や
経済事情などいろいろな要素が判断材料になってきますし、なかなか
動けない方もおられると思います。
そのような方が、どうしても移動する必要のある場合の目安として
これをおさえていただけるとよいと思います。

なおこうした被曝線量に関して、非常によく内容がまとまっている
サイトを見つけましたので、紹介します。
この方は、福島原発では、炉心が格納容器の外に飛び出すことは
ないと考えられていますが、この点では、僕は設計者の後藤政志さんら
の見識を尊重しているので、意見が違います。

しかし放射線を扱うプロとしての、この方の放射線量と被曝に関する
見識と説明力は素晴らしいものだと思いました。大変、勉強になりました。
できれば要約を作りたいと思っていますが、とりあえずはこれを参照して
下さい。逃げられない場合はどうするのかなども考察してあり、読み応え
があります!!

武田邦彦
http://takedanet.com/

以上です。


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地震続報( 37 ) 1 号炉が高温・高圧化

2011年03月24日 12時15分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です。(20110324 12:15)

今僕は、放射能汚染の広がる現場で役に立つ内容をまとめようとしています。
危機の中でどうするか、知恵をしぼり、何か勇気がわくようにできないかを
考えています。

しかしその間にもシリアスな情報が入ってきます。無視できないのでお伝えします。
こうした情報ばかりでは辛いと思われている方への転送をどうするか、どうか
それぞれでご判断ください。

今回はまず記事から紹介します。


***************************

1号機の炉心、一時400度に…燃料棒露出続く

 原子炉内の温度が、一時400度まで上昇した福島第一原発1号機に関して、
東電は23日未明から仮設ポンプで、海水の注水量を増加、冷却作業を進め、
午後6時現在で温度を306度まで下げた。


 しかし、燃料棒は水面から露出したまま高温になったとみられ、
圧力も上昇し、炉内の状態は不安定なままだ。
専門家も炉心の一部が溶けた可能性があるなどとし、十分な警戒が必要としている。

 元原子力安全委員の住田健二・大阪大名誉教授(原子力工学)は、
「同じように原子炉内に注水し続けている2号機の温度(約100度)と
大きな温度差があるのが気になる」と指摘。
「炉心の一部が溶け、炉内が高温になったと考えられる。
圧力容器を溶かすほどではないが、炉内が落ち着いていない。
温度は今後、急上 昇する危険性がある。細心の注意が必要だ。
最も重要なのは、炉の近くで中性子線の有無を確認し、
核分裂反応が連続して起きる臨界がわずかでも起きているのかどうかを知ることだ」と話す。

 「異常な高温状態だ」と話すのは杉山亘・近畿大原子力研究所講師(原子力安全学)。
約70気圧になる通常運転中でも水温は280度程度にとどまるとし、
「冷たい水を高温の原子炉内に入れると、(原子炉につながる)給水配管が急な冷却で、
破損するおそれもある」という。

 宮崎慶次・大阪大名誉教授(原子力工学)は
「原子炉の上部と下部で同じ約400度を示したのは、燃料の上部が冠水していないというより、
水がほとんど入っていないのではないか。
圧力容器を壊すような数値ではないが、深刻な状況が続いていると言える」としている。

(2011年3月24日09時23分 読売新聞)


****************************


以下、解説です。すでに1号機の原子炉が400度になったことは、お知らせずみ
なのですが、この記事には重要な内容が含まれています。

まず先にも述べたことなのですが、この原子炉の設計基準における耐久
温度は302度であることです。原子炉内は通常70気圧がかかっていて、それで
水の沸点が高くなるようにしています。よりたくさんの温度を水が奪えるように
です。これらから、水の沸点の280度を上回る302度までもつように設計されて
いるのです。

ところが、これが400度になってしまった。非常に危険です。「圧力容器を
壊すような数値ではない」とのコメントがありますが、後藤政志さんや田中
三彦さんは、設計基準とは、そこまでは何があっても保障するというもので
あって、その倍の強度を作っているわけではないと語っています。

さらに懸念されるのは、この圧力容器の熱が、その周りの原子炉格納容器に
当然にも伝わることです。その場合、この格納容器は、すでに設計基準の
4.3気圧を大きく超えて8気圧になる事態を経て来ており、そのときにもかなりの
ダメージがあったと思われる点です。

また中の燃料棒も相当に溶けていると思われますが、どうなっているか
把握されていません。また他の記事で、この1号機からも水蒸気が上がり
はじめ、その原因が特定されていないことも報じられています。少し前の
NHKのニュースによると、現在、4つの原発共に白煙をあげているそうです。


さてここで注目すべきは、住田健二大阪大学名誉教授の発言です。
この方は、JCO事故のときに、現場にいって、臨界事故の終息を指揮された
方です。政府が隠していたデータに関してもいちはやく公開を要求して
いましたが、今回は、「今後、炉内で温度が急上昇する可能性がある」と
指摘しています。つまり非常に危機的な状態に1号機があるということです。

また住田教授は、臨界の可能性を指摘しています。JCOで「まさかこんな
ところで」という経験をされているため、不安でたまらないのだと思います。
そのために炉の近くでの、中性子線の計測を求めています。

ここまで書いてきて、また新しい情報をキャッチしました。


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黒煙止まり電源復旧作業再開 1号機は容器内圧力高まる(1/2ページ)

 東日本大震災で被災した東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)では24日朝、
前日に3号機から黒い煙が出た影響で中断していた電源復旧作業を再開した。
東電が24日午前5時ごろに確認したところ黒い煙は出ておらず、
午前7時51分には前日に出た退避命令が解除された。

 1~6号機のすべてが22日までに外部電源に接続されている。
24日午前11時半には、1号機の中央制御室の照明が点灯した。

 今後、地震発生当時に運転中だった1~3号機の原子炉の冷却システムが復旧できるか
が焦点になる。

 22日夜に原発の状態を監視する中央制御室の照明が最も早く復活した3号機では、
原子炉に真水の冷却水を送り込む「補給水系」のポンプの試運転に向けた準備を進める。
24日中に動作試験にこぎ着けたい考えだ。

 1、2号機では、中央制御室での電源復旧作業を進める。
順調にいけば24日中に1号機中央制御室の照明が点灯できる可能性がある。
23日夕方に外部電源による海水注入ポンプが停止した5号機も復旧を目指している。

 15日に格納容器につながる圧力抑制室で爆発があったと見られる2号機では、
18日に原子炉建屋の隣にあるタービン建屋で、
1時間当たり500ミリシーベルトというこれまでで最も高い放射線量を検出した。
強い放射線が、復旧作業を困難にしている。

炉心の冷却については、1号機で23日未明、
原子炉内の温度が設計上の最高温度302度を超え、一時的に約400度になった。
このため、炉心を冷やす海水注入量を
1時間当たり2立方メートルから18立方メートルに増やした。
24日午前1時現在、温度は243度まで下がり、
状況は「良くなっている」(東電)とし ている。

 ただ、この1号機の圧力容器を覆う原子炉格納容器内の圧力は、
22日午前11時時点で約1.7気圧だったのが、
23日午後6時には3.6気圧まで上昇したため、
24日午前2時半に海水の注入量を1時間あたり約10立方メートルに減らして様子をみている。
23日夜に記者会見した国の原子力安全委員会の班目(ま だらめ)春樹委員長は
「個人的には1号機の圧力が高まっているのを懸念している。
(蒸気を逃がす弁操作である)ベントをしないといけないかもしれない」と話していた。

(2011年3月24日11時50分 朝日新聞)

**************************


何かぎょっとする記事です。ここにあるように温度はなんとか設計基準値を
下回る243度まで落とせましたが、今度は圧力が3.6気圧にあがってきてしまった。
冷却のために注水を多くしたため、今度は水蒸気がたまってしまったのです。
つまり冷やすと圧力が高くなり、冷やすのを控えると温度が高くなってしまう。
圧力と温度と、原子炉と原子炉格納容器が、ジレンマとも言えるような対処の
中で、交互にダメージを受け続けているということです。

この結果、再びベントが行われる可能性があります。それ以外にない選択
で、再び水蒸気とともに放射能が排出されますが、ともあれ1号炉の危機は
そのシリアスさが強まっていると思われます。

ともあれウォッチを続けます。


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地震続報( 36 )拡大する放射能汚染

2011年03月24日 02時32分00秒 | 東北地方太平洋沖地震3月12~31日
守田です。(20110324 02:28)

さてみなさま。
今日も驚くべきニュースが続きました。幾つか紹介します。
メーラーの調子が悪く、太字になってしまって恐縮ですが、ご参考ください。

東京の水道水汚染と、厚労省の基準値引き上げの功績

一つは、東京都の金町浄水場の水道水から、1キロあたり210ベクレルの
放射性ヨウ素が検出されたことです。これは乳児の安全基準値の100ベクレル
を超えるため、飲ませないようにとの呼びかけが厚労省から出ました。
ついに東京でも赤ちゃんに水を飲ませることのできない地域が発生したのです。
(ちなみに昨日のニュースの解説で、僕はセシウムが放射線管理区域の5分の4と
書いてしまいましたが、正しくはヨウ素でした。訂正しお詫びします)

実はこのニュースにはもう少し深い内容が含まれています。この赤ちゃんの
基準値について、いわば直前に厚労省が高い値に修正していたのです。
ヨウ素は成人よりも子ども、わけても乳児や胎児ほど、危険な影響を与える
ため、大人だけの基準であったものに、乳児の基準を付け加えたのは
その値が妥当かどうかは別として、正しい措置だったと思います。

この点について、化学者の友人の推論なのですが、どれほど放射能汚染が
明らかになっても、「ただちに健康に害はない」を繰り返す、政府・経産省
(保安院)・文科省に対して、原発とは無関係な厚労省が危機感を持ち、
先手を打って、乳児を守ろうとしたのではないか。つまり政府内部の
たたかいがここに反映されているのではないかと言う事です。

この点を考えると、農水省が、食品加工に東京都の水を使うのは問題ないと
声明している理由が見えるように思えます。これは明らかに厚労省の
指示と矛盾します。国民を守ろうとする立場と、政府を守ろうとする立場の
対立と見るのはうがちすぎでしょうか・・・。

僕は、この友人と連絡しあいながら、とりあえず厚労省の担当官に感謝と
激励のメールを送っておきました。


30キロ圏外でも、100ミリシーンベルト以上の被曝の恐れ

つづいて、これも多くの科学者たちの努力で、政府が隠し持っていた放射能
汚染のデータが表に出されたことを告げるものです。
なんと30キロ圏外でも、被曝量が100ミリシーベルトを超えることが明らかに
なりました。この地域に、ボランティアなどで入ろうとしている知人が
おられたら、ただちにお伝えください。

これはとても高く、危険な値です。一般人の法的な被爆許容量は1ミリ
シーベルトです。原発などの関係者は50ミリシーベルト、この50ミリ
シーベルトを超えるとガンになる確率が急激にあがります。こんな高い値が、
屋内退避指定地区の外で観測されているのです。

政府は国民を1ミリシーベルト以上の被曝から守るべき義務があります。
即刻、避難勧告地域を広げるべきです。
(またしても、この記事にはこの重要な事実が書かかれていません。)


放射能汚染は長期化する可能性あり

この汚染がいつまで続くのか。現状からすると長期化するのではないかという
洞察が、朝日新聞に載せられています。

しかし実はここには朝日新聞が、東電に騙されてしまっていることがあらわれて
います。記事は、この放射能漏れがどこから発生しているのかを考察して
います。そして格納容器の圧力を逃がす、ベントからではないか。いやベントの
場合は水を通しているので、可能性はないと思えると書いています。

この推論は、これまでの東電の発表を信じるなら正しいのですが、実は東電は
こそっと、水を介さないベントを行っていたのです。


東電による高濃度放射能の排出隠し

このことを告げているのが、産経新聞の短い記事です。
ここでは16日から17日にかけて実施したベントが、実は15日だったということを
「修正」として東電が発表したことが記事になっています。ところが東電は
これにこのときのベントが、水を介してなかったこと、高濃度の放射能が
出されていたことを付け加えています。

記事を書くなら、こちらをメインに扱わなければならないのに、産経新聞は、
日にちを修正した方をフォーカスしてしまっています。それでも水を介さずに
ベントがされたことを報じたことは功績だと思います。

ただいずれにせよ、このように東電が、高濃度の放射能を出すタイミングを
明らかにしていない重大な事実がここに表れています。なぜなら、せめても
タイミングを教えてくれれば、風向きなどへの注意をすることができるから
です。僕もこれから水を介さないベントが行われる可能性のある3号機に
ついて、そうした思いでウォッチしていたので、この東電のやりかたは
ひどいと思いました。ようするに少しでも実態を隠そうとして、反対に少しでも
人々の被曝を軽減しようなどとは思ってないのです。

実は3号機のベント排出は、陸から海へと風の吹くときを待っているのでは
ないか。つまり少しでも被曝を避けようとしているのではないかなどと
思いながら見ていました。またしても裏切られました。僕は人が良すぎる
ようです・・・。


実は臨界がおこっていた

さらに驚いたのは、12日から14日の間に、13回も中性子線が観測されて
いたことが今になって明らかにされたことです。

中性子線が出ているというのは、ウランないしプルトニウムの核分裂反応が
進行していること、つまり臨界状態になっているという極めて重要な情報です。
ほっておけば核暴走、そして核爆発にもなりかねないからです。かなり
深刻な事態です。それが13回も起こっていた。恐ろしいです。
それが隠されていた。

記事には観測データの計算ミスで見落としたとありますが、ありえないことです。
というか、これをミスで見落とすとしたら、臨界を見落としていたということで、
それ自身がまた大変なことです。

友人によると、実はこれもこそっと読み取りにくいようにPDFファイルで
東電からすでに出されていたのだそうです。ネットからは数値が読み取りにくい
形式だったとか。(これはこの友人が調べています)


これらから見えること

これらから見えることは、放射能汚染がどんどん拡大していること、
またそれが長期化する傾向にあること、さらに政府は東電の言っていることは
まったく信用ができないことです。
一方で、厚労省のように、基準を引き上げて、乳児を守ることに踏み込んだ
努力も見え隠れしています。

これらの情報を、自ら批判的に読み解いて、今、それぞれがおられる場が
安全かどうか、避難は必要なのかを検討する材料としてください。
なお、明日は避難できない場合、したくばい場合には、どのようなことを
すると有効かを考察して、お届けします。

本日は以上です。



**********************

都が乳児のいる家庭に水配布へ 水道水から放射性ヨウ素

 東京都は23日、金町浄水場(葛飾区)の水道水から
1キロあたり210ベクレルの放射性ヨウ素を検出したと発表した。
乳児の飲み水についての国の基準の2倍を超えるため、
同浄水場から給水している東京23区と多摩地域の5市を対象に、
乳児に水道水を与えるのを控えるよう呼びかけている。

 金町浄水場は利根川水系の江戸川から取水している。
同じ利根川水系から取水している千葉県も同日、全域に同様の呼びかけを始めた。

 都の対象は23区の全域と武蔵野、三鷹、町田、多摩、稲城の5市で計約489万世帯。
都は「基準は長期にわたって飲み続けた場合の健康への影響を考慮して設定されており、
代わりの飲み水が確保できない時に一時的に飲むのならば差し支えない」
と冷静な対応を求めている。
都によると、対象地区に1歳未満の乳 児は8万人おり、粉ミルク用の緊急対応として、
放射性物質検出前に詰めた水道水550ミリリットル入りのペットボトルを乳児1人につき3本、
計24万本配布する。
24日にも各区・市役所などで配り始める。

 厚生労働省によると、母親が飲んでも母乳や胎児への影響はなく、
入浴など生活用水としての利用にも問題はないという。

 東日本大震災を受け、都は21日の降雨の影響を調べるため、
22日午前9時に同浄水場からサンプルを採取。
23日午前11時ごろ、基準を超える値を検出したと報告を受けた。
同日午前9時のサンプルでも190ベクレルを検出した。
都は「21日の雨で大気中の放射性物質が溶け込んだため、
濃度が上がったので はないか」とみている。
サンプル採取から発表まで24時間以上かかったことについては
「最大限早く対応した。発表が遅れたとは考えていない」としている。

 放射性ヨウ素が体内に入ると甲状腺がんなどの原因になることがある。
原子力安全委員会は飲料水について、1キロあたり300ベクレルという基準を定めているが、
子どもは放射性ヨウ素が甲状腺にたまりやすいため、
厚労省は牛乳や乳製品については1キロあたり100ベクレルという基準を設定。
同省は21日、この値を水道水にも当てはめ、乳児に与えないよう全国に通知していた。

 都は原発事故後、放射性物質の除去効果が期待できるとして
浄水に使う粉末活性炭の量を通常の3倍にしていたが、
今回の検出結果を受けて通常の4倍に増やした。

 農林水産省は製造や流通、市場の各団体に対し、
「食品加工などの際に都の水道水を使うことは問題がない」として、
冷静な対応を求める文書を23日に出した。

(2011年3月24日0時28分 朝日新聞)
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103230282.html


放射性物質、初の拡散試算…原子力安全委

 東京電力福島第一原子力発電所の事故に関して、政府の原子力安全委員会は23日夜、
放射性物質の拡散を予測した模擬計算「SPEEDI(スピーディ)」の結果を発表した。

 現在、避難や屋内退避の指示が出ている原発から半径30キロの範囲外でも、
事故後の12日から24日までずっと屋外にいた場合、
大気中に漂う放射性ヨウ素を体内に取り込んで、
事故発生からの被曝(ひばく)量が100ミリ・シーベルトを超える危険性があることがわかった。
100ミリ・シーベルトは、甲状腺がんを予防するために安定ヨウ素剤を服用する基準で、
同日夕に記者会見した枝野官房長官は「現時点で直ちに避難や屋内退避をする状況ではないが、
念のため、風下の場合は、窓を閉め屋内にとどまってほしい」と注意を呼び掛けた。

 試算の対象は、放射性ヨウ素の影響を受けやすい1歳児で、
甲状腺に放射性ヨウ素がたまった時の体内被曝量を予測した。
事故後の12日午前6時から24日午前0時まで、ずっと屋外にいた場合を想定した。
屋内での被曝量は、屋外の4分の1から10分の1になる。

 今回の原発事故では、どれだけの量の放射性物質が放出されたか不明だったため、
原発周辺の大気中の放射性物質の観測結果をもとに逆算。
その数字をもとに、放射性物質の拡散を広範囲にわたって計算した。

 被曝量は、福島第一原発に近いほど、高い傾向があったが、
30キロ圏外の福島県川俣町などでも、
100ミリ・シーベルトを超える被曝の危険性があることがわかった。

(2011年3月23日22時52分 読売新聞)



放射能漏れ、どの部分から? 特定遅れれば放出長期化も

 東京電力福島第一原発では、爆発が起きて以降、
人体に有害なレベルの放射線が敷地内で観測され続けている。
放射性物質は、どこからもれているのか。考えられるのは使用済み核燃料の貯蔵プールと、
原子炉やその周辺部分の破損だ。
漏出部分を突き止めるのが遅れれば、放射性物質の放出は長引くことになる。

 同原発4号機では15日に核燃料プール付近で火災があった。
プールの水位が下がって使用済み核燃料が露出し、水素が発生して爆発したとみられている。
このとき外部に放出された放射性物質が、敷地内にとどまって放射線を出し続けている。
これが考えられる一つのシナリオだ。

 プールでなく、原子炉からもれている可能性もある。
 東電は、水素爆発が起きて建屋が壊れた1、3号機について、
「格納容器の健全性は保たれている」との説明を続けている。
格納容器につながる圧力抑制室で爆発が起きた2号機も、
大きく壊れているとは考えにくいとの立場だ。
損傷が大きければ「放射線量はこんなものではすまないはず」(東電)だからだ。

 だが、部分的な破損の可能性を示すデータはある。
その一つが、核燃料のウランが核分裂してできる
放射性のセシウムが外部で検出されていることだ。

 内部の圧力が高まった格納容器が壊れないよう、蒸気を外に逃す措置もとられている。
ただ蒸気はいったん水の中をくぐっているため、この措置でセシウムが外部に出た可能性は低い。

 では、破損部分はどこなのか。
可能性が高いのは、検査の際などに人間が内部に出入りするときにつかう
「パーソナルエアロック」というドアだという。
関係者によると、ドアと格納容器のすきまを埋めるパッキンが「一番弱い」とされているからだ。

 東電はこのほか、接続部分などの小さな箇所が破れている可能性も認めている。
たとえば、圧力容器や格納容器から外部へ通じる配管だ。
配管には弁があり、地震を感知して発電が自動で止まると同時に、弁は閉じられる。
仮に弁から先の配管が破れても、炉内部と外部が直接つながるわけではないが、
もともと配管の中に あった放射性物質を含む水などが、漏れだした可能性はあるという。

(2011年3月24日0時38分 朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0323/TKY201103230386.html


東電、蒸気放出の実施日を訂正

 東京電力は21日、福島第1原発2号機で
原子炉格納容器内の放射性物質を含む蒸気を外に逃がした操作について、
実施したのは15日午前0時からの数分間だったと発表、
「16日から17日にかけて実施した」との20日の説明を訂正した。
 格納容器につながる「圧力抑制プール」内の水を通さずに蒸気を直接逃がすため、
放射性物質をより多く放出する方法だった。

(2011.3.21 11:15 産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110321/dst11032111150032-n1.htm


中性子線検出、12~14日に13回

 東京電力は23日、東電福島第一原発の原子炉建屋の
約1・5キロ・メートル西にある正門付近で、
これまでに2回だけ計測されたとしていた中性子線が、
12~14日に計13回検出されていた、と発表した。

 観測データの計算ミスで見落としていたという。
 中性子は検出限界に近い微弱な量だった。東電は、
「中性子は、(核燃料の)ウランなど重金属から発生した可能性がある。
現在は測定限界以下で、ただちにリスクはない。監視を強化したい」としている。

(2011年3月23日13時10分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110323-OYT1T00534.htm?from=navr


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