『アラスカを追いかけて』 ジョン・グリーン 伊達淳・訳
面白かった。面白くて、面白くて・・・
本を閉じたとき、思わず、立ち上がって拍手を送りたくなった。ブラボー
ある時期から、アメリカ的なものより、ヨーロッパ的なものに惹かれることが多く、
文学においても、つい、(どんなに面白くても)一つか二つ、文句をつけたくなる
性格の悪い私ですが、この本は・・・・・・・・文句なしに面白かった!!!
物語全体に漂うアメリカ的軽さも、子ども達の抱える、マリファナや煙草や酒やSEX、
貧富の差という問題もひっくるめて、全部、全部、面白かった。
物語は、ある寄宿高校が舞台。
主人公は、「偉大なるもしかして」~フランソワ・ラブレーの言葉~を探して、この
学校に転校してきた少年です。
何でもない自分から抜け出したい主人公の姿は、きっと、多くの子ども達が自分を重ね
るのでは、ないでしょうか。もちろん、かつての私もその一人。
主人公は、偉大なるもしかしてを探しあてることができるのか?
そして、少年と、その友人達につきつけられた
「一体どうやってこのラビリンスから抜け出せばいいんだ」という命題。
少年たち、それぞれが見つける、答えとは・・・・・。
ラビリンス。
青春期の子ども達の思考回路は、何を考えても、すべてがラビリンス。
それこそが、青春なんだろうなと思います。
ラビリンスに入り込んだ主人公が、答えを見つけようともがく苦しみが、読み手にストレートに
伝わってきて、「あの日」を境に、最後のページまで、涙は止まることがありませんでした。
そしてまた、「いつでも、自分が物語の主役」である子ども達が、その傍らで頭を抱えている
友人もまた、同じ、ラビリンスの住人だと気付くことができた瞬間の感動に、言葉もなく
立ち尽くしている私がいます。ブラボー!
こういう本に出会えるんだから、読書は、やめられないなー。
いつか、主人公たちが抱える問題をひっくるめて、理解できるような年齢になったら、
是非、息子にも手渡したい!と思った本でした。